守屋逮捕は第一歩にすぎない


 守屋前防衛事務次官が妻とともに収賄の容疑で逮捕された。防衛省をめぐる政官業癒着の構図の全容解明を図るための、これが第一歩にすぎないことは言うまでもない。


 言うまでもなく、妻が逮捕されたところが非常に興味深い。両者が別々に取り調べを受け、片方がしゃべり出せば、もう片方も、黙秘を続けることはできなくなるだろう。28日夜のTBSのニュースでゲストの元検事が言っていたが、ここまで堕ちたとなれば、きっかけさえあれば「自白の自動販売機」になるらしい。守屋容疑者が今、日本国のためにすべきことは、防衛省をめぐる様々な澱みを一掃するために、種々の疑惑に関して自らの知りえた事実を明らかにすることである。それこそが、防衛省の刷新と、防衛省を取り巻く政治環境の一新とにつながり、その結果、今地に落ちているであろう防衛省の省庁としての士気の速やかな回復にも資するのではあるまいか。


 ついでに言うと、防衛省改革のための会議とやらが行なわれたらしく、今晩のニュースでは防衛省政務官とやらがインタビューに答えて何やら話していたが、言うまでもなく、防衛省政務官とやらが取り仕切る程度の改革会議では到底だめである。なぜなら、今回の騒動を通じて明らかになったように、防衛省が海外のメーカーとの間にいわゆる専門商社をかませるのは、防衛省自衛隊の高官の天下りポストを確保するためでもあるのだから。内輪の人間の会議では、この天下り慣行(言うまでもなくこれこそが――これだけが、とは言わないが――、疑惑の源泉であり不正の温床なのである)の廃絶などという結論は出しようがないだろう。無意味な会議をやるべきではなく(カネの無駄)、ましてそんな会議に改革などを期待するべきではない。


 今後守屋容疑者の自供を経て、どこまで政治家が捜査線上に上ってくるか、注意して見守りたい。巷間言われるように、防衛省をめぐる疑惑は沖縄の基地移転をめぐる問題にまでつながらなければ、本丸に踏み込んだとは言えない。次なる展開は当然そういう方向で見られるものと期待したい。