麻生政権はもうダメ。民主党は自民党に手を突っ込んででも解散を促すべき


 5日(金)の予算委員会の様子をビデオで見たが(リンクは民主党の質疑開始のところにつけた)、ほとほと麻生首相はどうしようもないと思わせられた。今の経済情勢(特に雇用情勢)がどれほど危機的かということを全く理解していない。政治の無策ゆえに、この年末から年度末にかけて、数千人から数万人単位の人が新たに路頭に迷うことになりかねず、そうなれば責任は挙げて麻生内閣に向かうこととなろう。なぜなら、菅民主党代表代行が質問の中で述べていたように、予算を提案できるのは内閣だけであり、野党はもちろん与党にもそれはできない話だからである。


 麻生内閣の危機感の欠如を憂いているのは私のような庶民だけでもなければ民主党等の野党だけでもなく、与党の中でもそれを憂いている人々があるようである。渡辺喜美元行革担当相がその一人で、氏は超人大陸というWebサイトの自分のコーナー「渡辺よしみの政界生中継」(ビデオ形式)で、今の経済危機は百年に一度のものだから、対策も百年に一度のものでなければならない、こういう時こそが政治家の出番だ、などと繰り返し述べている。これはもちろん、麻生政権の無策に対する痛烈な批判であると言ってよい。


 最新の回「世界経済危機対策 いつの間に日本はビリ!」では、渡辺氏は先の党首討論に触れており、どっちもどっちだったと言いつつも、一方で「小沢さんは痛いところを突いていた」と言い、他方で「欧米の政府はとてつもない大規模な対策を打ち出しており、日本は一番遅れているという情けない状況になっている。麻生さんには危機認識が見られない」と言い切っている。渡辺氏の目から見て、党首討論でどちらに軍配が上がるかは明らかだろう。


 今こそ「政局よりも政治」であり、政治は今の状況に対して手を打たなければならない。そのために、「民主党自民党に手を突っ込んででも解散を促すべき」ということを言わねばならないのは、確かに一種の矛盾ではあるが、しかし今の首相がどうしようもないボンクラであり、そのボンクラを誰も辞めさせられない以上、政権運営を行き詰まらせるよりほかに方法はない。


 ではどのようにすればよいか。一つの手がかりは、上記の渡辺氏がかねてから念願している公務員改革にあると思われる。氏の上記のコーナーでは「公務員制度改革 内閣人事局関連法案に関して」という文書を見ることができ、今回の記事の末尾にも掲げておくことにするが、確かに、ここで述べられている改革は、官僚主導の政治を批判する民主党の立場から見ても、注目に値する内容を持っていると言える。そこで、この改革案を民主党は丸呑みして、これに署名している人々を自民党から引き剥がすぐらいのことをすべきではないだろうか。20人くらいを引き剥がせれば、3分の2以上での再議決は不可能になり、今の国会の勢力図では全く政治が動かなくなる。そうなれば、いかに麻生首相でも解散以外の道は取りようがなくなるだろう。


 平時ならこういうことは単なる党利党略としてさんざんに言われる話だろうが、しかし今は、政治が最も機能すべき時、緊急に機能すべき時であり、しかも現状ではその政治が全く機能していない。与党がろくでもない首相しか輩出できなくなったことがその原因である。であるなら、もっとましな政党を与党に据える以外に、解決の方法はないのである。


 文中で触れた「公務員制度改革 内閣人事局関連法案に関して」という文書は以下のとおり。

公務員制度改革 内閣人事局関連法案に関して


 公務員制度改革は、日本に活力を取り戻し、明るい未来を切り開く鍵となる、国家百年の計である。先の通常国会では、その認識に基づき、与野党を超えた画期的な修正協議が行われ、その結果、国家公務員制度改革基本法が成立した。しかし、基本法は今後の改革プログラムを定めたに過ぎず、改革はこれからが本番である。基本法の精神を最大限体現し、正しい改革を実現することが、政府及び我々国会議員に課された責務である。


 基本法では、今後の新たな公務員制度を担う、いわば“政府全体の人事部”として、「内閣人事局」を設けることとした。「内閣人事局」は、以下の役割を担うべきものである。
・ 省庁の壁・官民の壁を越えて、優秀な人材を幹部に登用し、各省縦割りや閉鎖性を打破する。
・ 優秀な人材を登用する一方で、働きの悪い人材は降格・減給など厳格に対処し、「信賞必罰」を徹底する。
・ 人件費削減を徹底する。「天下りの根絶」を断行しつつ、高齢職員の滞留による人件費高騰を招かないよう、「民間並みのリストラ」を実行する。
国民から強い批判のある天下りも、「内閣人事局」が正しく設計され、その役割を果たすことで、確実に根絶できる。


 政府において、次期通常国会に向け、「内閣人事局」関連法案の準備が進められているが、“器”だけを先に作って、“中身”の改革はすべて先送り、ということになってはならない。それでは、実際の人事はこれまでどおり年次順送りとなり、「内閣人事局」は看板倒れになる。国民の理解・支持を得ることも全くできない。


 また、“中身”の議論をセットで進めなければ、結局、“器”の設計も中途半端になる。一部報道されている「総務省の2局(行政管理局、人事・恩給局)を移管するだけ」とか、「今後の改革の中身を検討するための人事局」といった、“骨抜き”改革に終わりかねない。


 我々は、国民の利益を最大限に実現するため、国民の理解と支持を得るに足る、実質を伴った改革を推進しなければならない。
 具体的には、以下の内容を盛り込んだ法案の準備を早急に進め、次期通常国会に提出すべきと考える。


1、「信賞必罰」、「民間並みのリストラ」、「天下りの根絶」など、新たな公務員制度の基盤を確立する。
具体的には、給与体系の抜本見直し(給与法改正)、身分保障規定の見直し(国家公務員法改正)を行い、抜擢人事の一方で、降格・減給などを円滑に行う制度を確立する。


2、こうした制度を担う実行機関として、強力な「内閣人事局」を創設する。
具体的には、人事・組織行政に関わる政府内の関係部局の機能をすべて統合する。総務省の関連部局(行政管理局、人事・恩給局)のみならず、人事院の公正中立性確保に関わる部局、財務省の給与共済課などの機能も統合する。
なお、その際、現在の関係部局をそのまま移すのでなく、複数部局で重複している業務の整理統合、不要業務の廃止などを行い、組織規模は徹底的にスリム化することを前提とする。


3、政治主導、官邸主導を確立する。
具体的には、国家戦略スタッフの創設、機動的な行政組織編制を可能にするための制度改正などを行う。


政府・与党として、こうした法案を提出し、国会での成立に全力を尽くすことこそ、国民の期待に応える途である。
以上決議する。


平成20年11月12日  正しい公務員制度改革を実現する会


正しい公務員制度改革を実現する会
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