日本国民よ、刮目して今の政治のていたらくを見よ


 遅ればせながらだが、ここへ来て湯浅誠氏の『反貧困』(岩波新書)と民主党衆議院議員長妻昭氏の『闘う政治 手綱を握って馬に乗れ』(講談社)を読んだ。どちらも蒼惶の間の読書なので、ここでその内容を要約することはできないが、しかしどちらも、読めば読むほど、いかに今の日本社会がひどい状況にあるか、またそれに対処すべき政治がいかにひどい状況にあるか、痛感させられる内容となっている。両書に書かれていることは極端な事例だ、と言いたい気もする。しかし実際は、そうではないのだろう。本当に日本はひどい状況になってきているようである。


 今報道では、麻生首相を始めとする自民党の政治家が郵政民営化をめぐって無責任な発言を繰り返し、それを小泉元首相が嘲笑い、といった具合で、くだらない茶番劇と、その中で自民党の政治家がどうにかして民意を迎えようとすることばかりが目につく。しかし、本ブログの(いるかいないかわからないが)読者にはよく考えてもらいたいが、ここ数年で特にひどくなってきている今の日本の状況を作り出したのは誰だろうか。確かに、企業が人間を人間と思わない雇い方をするようになり、それでひどくなっている部分もある。しかしそれは、企業の側から言わせれば、(脱法行為も多々あるに違いないが、ともあれしかし)法律の範囲内でやっている、ということになるらしい。


 となれば、悪いのは結局、そういう悪法を作った政治の責任ということになる。そして、国会で法律を通すことができるのは基本的に与党だけである。であるなら、ここ数年で特にひどくなってきている日本の状況、これを作り出したのは与党(自民党公明党)であると言わなければならない。町を歩くと其処此処で公明党の「生活を守るのは公明党です」などという白々しいポスターが目につくが、公明党を含む与党こそが、ここ数年、国民の生活を破壊してきたのである。間違ってはいけない。また、官僚の天下りが悪いと誰もが言い、しかも数十年来言っている。しかしそれが今日まで続いているのはなぜか。言うまでもなく、与党がそれを野放しにしてきたからである。与党に公務員制度改革が実行できないことは、事実がこれを証明して余りある。


 民主党が完全だなどと言うつもりは毛頭ない。不十分な点も多々あろう。しかし、それら欠点を思っても、今の政治のていたらくはそれらを遥かに凌駕する規模でひどいと言わざるをえない。何がどうあれ、とにかく今の与党の政治はもうたくさんである。これこそが、来たるべき総選挙の最大の争点であるはずであり、また、そうでなければならないと私は思う。