本ブログ終了のお知らせ


 思うところあって、今後は実名を明らかにして発信するほうが良いだろうと考えるに至りました。よって、そちらは別途、本ブログとは異なる場所で始めることとし、これに対して、匿名でこれまでやってきた本ブログは、これにて終了ということにさせていただきます(本ブログで実名を明らかにすれば良いとの考えもあるかもしれませんが、本ブログはもともと実名を明らかにしないという立場から運営してきたので、ここで実名を明らかにする形に変更するのは適当でないと考えました)。記事自体はこのまま残しますが、今後は更新は行ないません。お読みくださった方には、これまでこの場末のブログに対して賜ったご注目に対してお礼を申し上げる次第です。


当主(vox_populi)敬白


 

民主党幹事長小沢一郎氏秘書の逮捕――明らかに東京地検特捜部のやりすぎ


 率直に言って、この手の話題にはあまり付き合いたくない。金がどこからどこへ流れたの、それが何に使われたのといった話をくまなく追いかける趣味は当方にはないからである。


 しかし、今回の逮捕劇はどう見てもやりすぎである。もし万が一小沢氏の側に何らかの非があったとしても、である。この印象は私だけがいだいているものではなく、例えば、実際にこの種の問題で検察への告発を行なっておられる弁護士、阪口徳雄氏もそういう印象を述べておられる


 もとより私は、こういう按配だから、今回の件について特別な情報源など全く何も持っていないが、一連の動きの中で気づいたことを記しておきたいと思う。その前に、知る人ぞ知る情報サイトThe JOURNALにおいて、今日(2010年1月16日)の午後に行なわれた民主党大会における小沢氏及び鈴木宗男氏の発言を紹介したページがあるので、ここでもそのリンクを紹介しておくことにする。リンクはこちら


 まず今回の報道の中で驚いたのは、昨年3月に突然東京地検特捜部によって逮捕された小沢氏の公設第一秘書、大久保隆規氏が今でも相変わらず公設第一秘書のままだということである。小沢氏が自ら及び大久保氏の無実を完全に信じているからこそこういうことができるのだろうと想像される。この事実は、今回の一連の報道に接する際に大いに重視されるべきである。言うまでもなく、大手メディアは検察情報の垂れ流しに終始しており、小沢氏側の言い分はほとんど全く伝えられていないからである。


 次に指摘しなければならないのは、今民主党政権にはこの件との関連で何ができるか、という点についてである。これについては、上で紹介したThe JOURNALのページから聞くことができる鈴木宗男氏の発言が重要である。詳しくはご自分で聞かれるがよいだろうが、鈴木氏は昨年12月に検察からの情報のリークの有無について鳩山政権に対して質問主意書を出しており、これに対して鳩山内閣答弁書で検察のリークを否定する趣旨の回答をしたとのことである。しかし、同じ鈴木氏が、今回逮捕された石川議員との会話の中身を「ムネオ日記」で披露しており、それを読む限りでは、検察からのリークはやはりあるとしか思えない(「ムネオ日記」の2010年1月12日の項を参照)。つまり、今や検察の捜査について、民主党は検察のリークの言わば被害者になり、かつ同時に、行政の一部門である検察を有する政府の立場にあるものとして、加害者にもなっているのである。鳩山首相を始めとする民主党政権の閣僚たちは一刻も早くこのことのおかしさに気づく必要がある。そして気づいたなら、これを改めるべきである。これまでの活動を見る限り、この問題で役割を果たすべき千葉法務大臣には行動力のかけらもないことが窺われるので、同法相に任せておかずに、民主党政権は政府全体の問題として事に当たるべきだろう。


 とりあえずこの程度にしておく。


 

民主党政権初の予算――問題も見えてきた


 民主党政権初の予算ができあがったという。朝日新聞の記事をまず見ておくことにする。

92.3兆円の政府予算案決定 人を重視、公共事業圧縮
2009年12月25日20時46分


 鳩山政権は25日、2010年度政府予算案を閣議で決定した。「コンクリートから人へ」を掲げ、公共事業の削減率を過去最大とする一方、社会保障は手厚く配分した。一般会計総額は92兆2992億円と過去最大に膨らむなか、予算の組み替えは進まず、借金頼みが加速。マニフェスト政権公約)関連予算も圧縮を迫られた。


 「コンクリート」の代表格である公共事業費は09年度当初比18.3%減の5兆7731億円と1978年以来の6兆円割れ。削減率は小泉政権下の02年度当初予算の10.7%をはるかにしのぐ。道路や港湾は25%も削減した。


 一方、「人」に関連する社会保障費は同9.8%増の27兆2686億円と急拡大した。中学生以下の子ども1人あたり月2万6千円(10年度は半額)を支給する子ども手当に国費1.7兆円も計上。医師不足対策として診療報酬も0.19%増と10年ぶりにアップ。年金や介護、雇用のための予算も増えた。


 この結果、社会保障費は、各省庁が政策に使う一般歳出(53兆4542億円)の半分を初めて超えた。高校の実質無償化の費用増で文教費も同8.2%増の4兆2538億円に急増した。


 「地域主権」を掲げる立場から地方税収の落ち込みを補うため、地方自治体に配る地方交付税など地方への配分額は5.5%増の17兆4777億円と過去最大になった。


 このため、歳出総額は09年度当初予算より3兆7512億円(4.2%)も増えた。


 歳入面は、火の車だ。


 景気低迷で10年度の税収は18.9%減の37兆3960億円。新規国債の発行額は過去最大の44兆3030億円に上り、目標とした「約44兆円以内」はかろうじて守ったが、当初予算段階としては戦後初めて借金が税収を上回った。


 鳩山政権は公約実現に必要な財源は、一般会計と特別会計の予算の全面組み替えでひねり出すとしてきた。「霞が関埋蔵金」と呼ばれる特会の剰余金などによる税外収入を15.8%増の10兆6002億円まで確保した。財政投融資特会と外国為替資金特会を中心に計8特会から7.9兆円を一般会計に繰り入れた。外為特会では、本来は計上できない10年度分の剰余金を法改正して計上するという異例の措置でつじつまをあわせた。


 しかし、行政刷新会議の「事業仕分け」による削減額は約7千億円どまりとなったこともあり、公約関連予算の圧縮を迫られた。ガソリン税などの暫定税率の廃止は見送り、子ども手当は現行の児童手当の仕組みを残して地方自治体や事業主に負担を求める。公約で7.1兆円としていた必要財源は、減税分を含めて計3.1兆円に減った。


 公約の工程表通りなら、11年度は12.6兆円の財源が必要になる。10年度末の国と地方の長期債務残高は862兆円と、国内総生産(GDP)の1.8倍に達する見通しで、中長期的な財政再建目標の設定も急務だ。(福間大介)


 ところで、さきほどNHKで、政権発足から今回の予算政府案決定までを追う番組をやっていたが、その中で、障害者(障碍者)関係で厚労省が300億円を要求したところ、3分の1しか認められず、200億円を削られたというような話があった。この後で見た記事だから余計に強く印象を受けたということもあるのだが、民主党の平岡議員の「今日の一言」の最新記事をここで紹介しておきたい。

12月25日 岩国基地関係の来年度予算


 本日、鳩山政権で初めての当初予算となる平成22年度予算の閣議決定が行われました。当初予算としては最大規模の92兆円余の予算となりましたが、この予算の中には、米軍岩国基地関係の予算が含まれています。その中で、岩国市民の皆さんにとって特に関心の高いのが、米軍再編(空母艦載機の厚木から岩国への移駐)予算で、防衛省所管で約470億円(契約ベース)、国土交通省で約20億円(民空関係)ありました。


 一般的には、予算が計上されることは有難いことなのですが、今回の予算計上には、大いに問題があります。特に、愛宕山用地買取経費約200億円については、地元の住民の皆さんに事前に何らの説明の機会が設けられることもなく計上されました。ある記者から、以前「前政権時代に既定路線になっている」と聞いたことがありますが、地元住民の皆さんへの説明もなく、官僚が敷いていた路線をそのまま踏襲してしまったと言えると思います。


 私としては、新政権発足時に21項目の要確認事項(「空母艦載機の移駐問題に関する要確認事項」、9月30日付の「今日の一言・在日米軍再編見直し」に掲載)を防衛大臣外務大臣等に提示して検証を求めていたにも拘らず、このような事態に至ったことを大変申し訳なく思っています。そして、今回の件については次の通りコメントさせて戴くこととし、防衛省及び外務省の政務三役(大臣、副大臣大臣政務官)にも伝えました。


『1、民間空港再開に必要な事業に係る予算計上は、政府も「空母艦載機の受入れが条件となっているものでない」ことを認めているところであり、米軍再編問題発生のずっと前から地元の要請であったことに応えるものと理解している。


2、しかしながら、空母艦載機移駐関係の予算(特に、愛宕山地域開発の土地買取り、岩国基地内施設整備等)については、私が新政権発足時に21項目の要確認事項(「空母艦載機の移駐問題に関する要確認事項」)を防衛省及び外務省に提示し回答を求めていたにも拘らず、地元住民の皆さんに対する説明の機会を作ることもなく今回多額に計上されたことは、極めて遺憾である。


3、地元住民の皆さんに対する説明の機会が新政権発足後今日まで作れなかったことは、政府が普天間基地の移転先問題に奔走していたこともその原因の一つであると思われるが、説明の機会がこれまで十分に作れなかったことからすれば、今回の空母艦載機移駐関係予算は、辺野古関係予算と同様、「計上はするけれど執行は見合わせる」とすべきである。


4、私としては、「空母艦載機移駐関係予算は、21項目の要確認事項に関する説明も含め、あくまでも地元住民の皆さんに対する説明責任が果たされた後でなければ執行すべきではない」と考えており、政府に説明責任を果たすための行動を速やかにとるよう強く要請したい。』


 防衛大臣は、予算の閣議決定前ではありましたが、「できる限り早い機会に、地元の皆さんに説明をする機会を持ちたい。」との意向を示していましたので、是非その機会を早く作りたいと思っています。



 ところで、上記の21項目の要確認事項については、昨日(24日)、防衛省から「回答」をもらいました。末尾に添付していますのでご覧になって戴きたいと思いますが、はっきり言って、「これまでの政権が行ってきたことを正当化しよう」という意識が強く出すぎており、新政権の防衛省・外務省の政務三役による十分な検証がされていないのではないか、と私は思っています。


 例えば、「厚木から岩国への移駐は日米両国のどちら側からの提案か」の問に対して、「日米のどちらかが提案したというものではない」(1、(1)?)と回答していますが、守屋・元防衛事務次官は、07年11月号の「月刊現代」で、「岩国への移駐は自分(守屋)の発案であり、当時の国務次官補が、『それは良い案でやってみる価値がある』と言った」旨の記述を行っています。その事実を全く知らない素振りです。


 また、「岩国への移駐以外の選択肢はあり得ないのか」の問に対しては、防衛省が自分達で勝手に条件を作って「他の基地においてこれらの条件を満たしているところは、存在しませんでした」(1、(1)?・?)と回答しています。私が具体的に尋ねた「グアム」については一応の説明があるものの、現在、空母艦載機の夜間離発着訓練を行っており、かつ、これらの条件を満たしていると考えられる「硫黄島」についての言及は全くありません。


 更に、「防衛省が岩国市役所建替え経費の補助金をカットしたこと」についての質問に対し、「4 最後に」で「強引な方法により、市民の間に混乱や迷惑をかけたり、行政に対する不信感を募らせるようなことは決してあってはならないと考えています。」と言いながら、他方で、そのカットを正当化するための言い訳を展開しています(1、(2)?)。岡田外務大臣が10月27日の記者会見で防衛省補助金カットのやり方を批判しているにも拘らず、です。


 更に、「愛宕山用地の買取り要請に応じる場合、その土地利用策定はどのように行うつもりか」との問に対しては、「買取り後の土地利用は地元の意向も十分考慮して、決定することとしています」(2、(2)?・?)と回答していますが、その前段で「買取の経緯」を述べる中で、「米軍家族住宅用地としてなら、山口県と岩国市からの買取り要請に応じる」ものであることを明らかにしています。


 いずれにしても、普天間基地の移設問題で多大の時間と労力を費やしてしまった新政権ですから、岩国への空母艦載機移駐問題については、今から本格的な検証を行ってほしいと思っています。その観点からも、政府による現地の住民説明をできる限り早く実現して行きたいと考えています。
(以下、防衛省からの回答書が掲載されている――ここでは略)

 こういうところで、無駄なことに金がつけられている。しかも、「愛宕山用地買取経費約200億円」は、これをそのまま上記の障碍者関係に回せば、少なくとも2010年度は厚労省の要求どおりの資金の手当てがつく規模の金額である。


 しかも、平岡議員のこの記事によれば、民主党政権が少なくとも防衛に関しては前政権の方針を踏襲しようとしているかのごとき印象を与えているという。これは単にこの一事にとどまらない重大な問題である。言うまでもなく、民主党政権の使命は、前政権と異なることをするという点にこそあるのであり、それは防衛という分野にも当てはまるはずなのだから。


 だいたい、今回の予算政府案でも防衛関係の予算総額は4兆7903億円だとのことだが、そんなに必要なのか。防衛予算ではよく、高いものを購入して後年度負担などという形がよく使われるやに聞いているが、こここそまさに予算削減のメスが入れられるべき領域なのではないか。鳩山政権が防衛大臣に北沢などという輩を当てたことに私は失望しており、果たしてこの北沢とやらは、グアムにちょっとさわってきたぐらいで「海兵隊のグアム移転は無理だ」などと抜かすような、全く役に立たない(その意味で、予想どおりの)活躍をしてくれているが、これはやはり(平野とやらを官房長官に当てたことと並んで)人選ミスだったと言わざるをえない。


 平岡議員は今後は国家戦略室入りをして、政府内部から予算の問題にも携われることになるようだ。同議員は、共謀罪創設防止などで活躍したこともあり、また安全保障に関しても総合雑誌に論文を発表するなどしており、大変期待のできる政治家である。理想的には、こういう政治家をこそ、例えば防衛大臣に据えるべきだと私などは思うが、仮にそうならないとしても、同議員には活躍を期待したい。そして、平岡議員だけでなく、政府に入っていない民主党の政治家たちは、これから行なわれるであろう予算審議において、実のある審議を行なって予算を修正し、民主党政権によりふさわしい予算案を作り上げるよう努力してもらいたいものである。


 

藤崎駐米大使は即刻更迭されるべきだ


 少し前の話になるが、事の重大さに鑑み、本ブログの記事として載せておくことにする。


  有名ブログ「きっこのブログ」にあった記事だが、

「米政府、駐米大使の呼び出しを否定」(世田谷通信)


 日本のマスコミ各社は、日本時間の21日、ヒラリー・クリントン国務長官藤崎一郎駐米大使を国務省に呼び出し、日米合意に基づき辺野古への移設計画を早期に実施するように指示したと報道し、「異例の呼び出し」「アメリカの怒りは頂点」などと書きたてた。しかし、日本側のこれらの報道を受け、米国務省クローリー次官補は、日本時間の23日、ワシントンでの記者会見で、「クリントン長官は藤崎大使を呼び出してはいない。藤崎大使は『普天間問題の解決には時間が必要だ』という日本側の立場を伝えるために、自ら国務省に立ち寄ったのだ」と説明し、日本のマスコミの報道内容を否定した。(2009年12月23日)

 これだけでは確かとは言えないので、国務省のWebサイトを見たら、ブリーフィングのページがあった。以下引用すると、

Philip J. Crowley
Assistant Secretary
Daily Press Briefing
Washington, DC
December 22, 2009


INDEX:


JAPAN
The Secretary and Japan's PM met briefly in Copenhagen; the U.S. feels that the current plan for the realignment is the best way to go forward; we are continuing to work with the Government of Japan and the Realignment Roadmap High-Level Working Group


DPRK
"Rumors of the demise of the Six-Party Talks have been greatly exaggerated" and the U.S. and other Six-Party members continue to urge North Korea to return to the talks; recent meetings in Pyongyang were hopeful; however, future actions by North Korea will speak louder than words


CLIMATE CHANGE
The results of talks in Copenhagen bear out that verification aspects are among the most important ingredients in any successful climate change progress; access to data will allow for the kind of transparency that is necessary


TRANSCRIPT:
 QUESTION: Do you have any readout of the Secretary’s meetings yesterday with the Japanese ambassador? I had heard she called him in to talk about Futenma.
 MR. CROWLEY: The -- I think the Japanese ambassador came by to see both Assistant Secretary Kurt Campbell, stopped by to see Secretary Clinton. During the course of the meeting, the ambassador gave us an indication that they needed more time to work through issues related to the basing agreement. We continue to believe that the current plan provides the best way forward, but we’ll continue our discussions with Japan on this issue.
 QUESTION: You said that -- “stopped by.” You wouldn’t describe him as being called in on a --
 MR. CROWLEY: All right, let me --
 QUESTION: -- day when the government was being closed and --
 MR. CROWLEY: He was -- I think -- my -- I mean, he -- I don’t think he was called in. I think actually he came to see us.
 Yes.
 QUESTION: There were some reports in the Japanese press that the Secretary perhaps took issue with some comments that the prime minister had made in Copenhagen. He said something like she showed understanding, or basic understanding over the Futenma issue. Can you confirm?
 MR. CROWLEY: I was with the Secretary in Copenhagen, and she had an encounter with the prime minister in the hallway as they were both moving to meetings. I think they also interacted during the course of a dinner there hosted by the Queen of Denmark. I don’t know, very specifically, what the nature of their discussions were. Obviously, this remains important to us and we will continue to work with the Japanese Government on these issues.
 We continue to think that the realignment plan that currently exists is the best way in reducing the burden on Okinawa and -- but maintaining our ability to defend Japan and to maintain security in the region. I think the message that Japan gave to us yesterday was just it’s going to take a little more time.
 QUESTION: Thank you.
 QUESTION: One more on Japan.
 MR. CROWLEY: All right. We have some -- we’re -- go ahead.
 QUESTION: Can I ask on North Korea?
(以下略)

 確かに、「きっこのブログ」にあるように、大使は呼び出されてなどいないようである。つまり、今回の「大使呼びつけ」とやらは、藤崎大使とやらが自分で出向いていき、その顛末を自分でメディアに語った話が誇張されて伝わったもののようだ。


 今回の報道が、外交に関する民主党政権の不安定さを人々に印象づける上で大きな役割を果たしていることを重大視するのであれば(そしてもちろん、重大視するべきである)、民主党政権はこの駐米大使を即刻更迭するべきである。さもなければ示しがつかず、民主党政権はますます外務(害務)官僚に侮られることとなろう。


 

利用者無視の一方的な不利益変更には抗議するべき――バス共通カードの廃止


 迂闊ながら私は今ごろになって「バス共通カード」の廃止を知った。このページから見られるいろいろなバス会社のWebサイトによると、早いところでは既に11月20日ごろにこのことが発表されていたらしい。例えば東急バスの場合ではこのページで発表が見られる。


 それにしても、利用者を無視したこのような変更は実に腹立たしい限りである。これに関して、例えば東急バスでは「バス利用特典サービス(バス特)」なるものを実施しており、バス共通カードのサービス終了に伴いこの「バス特」のサービスを拡大することで埋め合わせを図るかのごとき姿勢をとっている(これに関する発表はこちら)。


 しかしこの「バス特」とやらが全くインチキなサービスであることは明らかである。なぜなら、当該ページの下のほうに小さく書いてあるが、「ご利用累計額が10000円分を超えた場合、または、翌月になった場合は、新たに0円からの累計となります」とあるからである。つまり、「バス特」とやらのポイントは1か月間しか続かないのだ。これは明らかにサービス低下、しかも大幅な低下である。


 当然ながら、私は既に抗議のメールないし意見を各バス会社に送った。自分がやったから言うわけではないが、こういう勝手な不利益変更に対しては、個々人が抗議の声を上げるべきである。それをせずにただ文句をつぶやいているだけでは、この社会は良くならない。他でもなく我々自身が、社会を形作りつつ生きている結果として、今の社会はかくあるわけなのだから。


 

インフレ目標論というデタラメと、日銀による新規国債引受というまっとうな政策


 経済について書く場合、本ブログの書き出しはいつも同様である。すなわち、私は経済に関するド素人だと言ってよいが、しかしそのド素人であっても、書きたいこと、書かなければならないと思うこともあるのである。


 11月29日の朝日新聞のオピニオン欄では、「デフレとどう闘うか」との題のもと、2人の経済学者の論考が掲載されていた。うち1人(池尾和人氏)の論考については特に何かを言うつもりはない。全く具体性を欠いた談話にすぎず、論評に値しないからである。


 ここで問題にしたいのはもう1人の論考(「寄稿」となっている)のほうである。その著者、岩田規久男氏は、いわゆるインフレ目標論の主唱者として有名だが、その氏は今回の論考の中で、自らの主唱するインフレ目標論的政策は実現に「時間がかかる」として、そこでそれに代わって「考えられるのが、昭和恐慌からの早期脱出に成功した高橋是清蔵相にならって、日銀による国債の直接引き受けを実施することである」とのたまっている。これを読んで、岩田氏の節操のなさ、いい加減さを感じたのは私だけだろうか。


 誤解のないようにまず言っておくが、ここで問題になっているインフレ目標論とは、物価上昇が昂進している時のインフレ目標論ではない。物価上昇が強まっている時のインフレ目標導入が有意義であることは、もとより論を俟たない。これは自明であり、そのような意図からする物価安定化は、先進国であればどこでも実施されているたぐいの政策だろうと思われる。これに対して、岩田氏ほかがこれまで唱道してきたのは、デフレ時におけるインフレ目標論である。そして、私の誤解でなければ、岩田氏ほかのインフレ目標論は、金融の超緩和を目指すという、金融政策的な議論だったはずである。


 金融の超緩和を目指すという、岩田氏ほかの言わば金融的インフレ目標論は、全くのペテンであると言ってよいのではないだろうか。だいぶ前にこういう話に多少首を突っ込んだことがあったが、その時にも、何度聞いても、金融の超緩和がどのようにしてインフレ醸成につながるかということが私にはわからなかった。もちろん、私の頭が悪いからだからなのだろうが、しかしもし私の頭が悪いだけなら、なぜアメリカでは、岩田氏と同様インフレ目標論を主唱していたバーナンキFRB議長になったにもかかわらず、そして、今のアメリカがほぼ間違いなくデフレ状況にあるにもかかわらず、金融的インフレ目標論者たちが主唱した金融的インフレ目標論(金融の超緩和などを伴う)は今日まで現実に実施されずに来たのだろうか。このことこそが、デフレ下のインフレ目標論なる議論の非現実性を如実に示しているように私には思える。


 これに対して、日銀による新規国債引受というのは、要するに紙幣を刷ってばらまくという政策であり、非常手段ではあるのだが、しかし決してデタラメではない。否、今の日本ではまさにこういう政策こそが、景気回復のために重要なのではないだろうか。なぜなら、紙幣を刷ってばらまけば、当然相対的にインフレが生じることになり(これはデフレの解消につながりうる)、かつそれに伴って、円は今の円高から(相当大幅な)円安へと振れるだろうが、そうなれば日本の輸出産業の競争力が回復することになる。


 但し、岩田氏のダメさ加減は、日銀による新規国債引受によって得られた資金で何をやるかという点が明確でないところに現れている。ここで意味のある政策を提言できないようではどうしようもない。


 ではお前には何が言えるのかって? もとより私は経済の素人であり、私と岩田氏を比較すること自体が間違いなのだが、それでもあえて言えば、今大都会の都市部では自転車の交通がめちゃくちゃである。片側一車線の道路で自動車に向かって走ってくる自転車(つまり、片側一車線の道路の右側を走る自転車)の数は最近とみに増えており、また、歩道を高速でぶっ飛ばす暴走自転車もある(その他、無灯火の自転車も実に多い、などなど)。これらの問題の一部はもちろんマナーの問題だが、実はそのほかに、今の交通体系の中で自転車の位置がきちんと定められていない点が、これら問題の原因の一つであるように私には思える。すなわち、今の交通体系では自転車は車道の左端を走ることになっているはずだが、実際には車道には違法駐車が多く、自転車がまともに走れない状況が存在する。また、仮に違法駐車がない場合でも、道路の幅が充分でなく、自転車のすぐわきを自動車が追い抜いていくような状況があり、これでは自転車を運転する側は、当然ながら、生きた心地がしない。つまり、車道の左端を走れなどという現行の規則を振りかざすだけでは問題は到底解消しないのである。


 ではどうすれば良いか。すべきこととは当然、自動車用の道とも歩道とも異なる自転車専用道の整備であり、例えばこれを、大都市部を中心に大々的に行なえばよいのではないか。そのために、日銀による新規国債引受で得られた資金を使って公共事業を行なえばよいのではなかろうか。


 もちろんこれに限った話ではないが、少なくとも私は1つの案は提示できたことになろう。


 

郵政新社長人事をめぐる、低劣な批判報道


 メディアでは、元官僚の日本郵政社長就任が、脱官僚依存を掲げる新政権への疑念とともに語られているが(例えば朝日新聞のこの記事。末尾に引用しておく)、報道の低レベルぶりには全く呆れるほかない。


 新政権が脱官僚依存を言うのは、大小様々な政策の大胆な転換は政治主導でなければできないからであり、問題は、新政権がどういう政策転換を目指すかだ。前政権は、もっぱら輸出大企業を優遇し、世帯所得が増えない実感なき「景気回復」を目指してきた。竹中平蔵氏や「過労死は自己責任」と放言した人材会社社長等を宣伝役とした新自由主義的政策の結果であり、新政権はこれに非常に批判的だ。圧倒的大差で政権交代を実現させた国民世論も、同じく批判的だと言ってよい。


 だから、輸出大企業を中心とする今の経済界(経済界がこうなっていることは、経団連の主要メンバーを見れば一目瞭然である)から日本郵政の社長が出ないのは理の当然だ。新政権は報道の低劣な批判にひるまず、必要な政策転換をどんどん実行すべきだ。


 なお、朝日新聞は今なお上記二氏他を紙面に頻繁に登場させている。長年愛読してきたが、社の姿勢を大いに疑わざるをえない。


追記
 朝日新聞民主党批判のレベルの低さを裏づける証拠として、本文中に引用した記事と、関連する社説とを以下に引用しておくことにする。松田京平とかいう記者、及び朝日新聞全体は、自らの不見識を恥じてもらいたいものである。

官僚OBの「ドン」起用 郵政社長に元大蔵次官・斎藤氏
2009年10月21日14時35分


 日本郵政の後任社長に元大蔵省(現財務省事務次官斎藤次郎氏(73)が決まった。今でも古巣の財務省に影響力を持つと言われる官僚トップOBの起用は、「脱官僚依存」を掲げる鳩山政権の理念とは大きく異なる人選だ。


 斎藤氏は93年発足の細川連立政権時代、新生党代表幹事だった小沢一郎氏と連携を強め、その後も親交は続いた。07年、民主党代表だった小沢氏が当時の福田康夫首相(自民党総裁)と「大連立」に動いた時は、仲介役を果たしたとされる。日本郵政トップへの起用は、民間の有力候補が見当たらない中、亀井静香郵政改革担当相が「小沢人脈」を頼ったとの見方もある。


 だが、民主党はこれまで、官僚出身者の「天下り問題」の是正に積極的に取り組んできた。昨年の日銀総裁人事では、参院財務省OBの正副総裁候補を3回にわたって不同意にした経緯がある。


 今年8月の総選挙では官僚主導から政治主導への転換を掲げ、大勝につなげた。有権者の強い支持を得て成立した鳩山政権の理念と、今回の人選は結びつかず、政権としての一貫性を欠いている。


 平野博文官房長官は21日の記者会見で、日銀総裁人事との整合性を問われ、「それと一緒に比較するのはちょっと違うと思う」。重ねて「どう違うのか」と問われると、「私は違う。こういう認識です」と述べ、具体的に説明することはできなかった。(松田京平)

郵政新社長―民から官へ、逆流ですか


 「官から民へ」を掲げた小泉改革の本丸だった郵政民営化を、鳩山政権が逆回転させ始めたことを象徴するような人事である。


 亀井静香・郵政改革担当相は、日本郵政グループの持ち株会社である日本郵政の次期社長に元大蔵(現財務)事務次官斎藤次郎・東京金融取引所社長を起用すると発表した。


 前日には政府が郵政改革見直しの基本方針を閣議決定。それが自らの経営方針と相いれないことを理由に、西川善文日本郵政社長が会見で辞意を表明したばかりだ。


 政権交代した以上、公約に沿って郵政改革を抜本的に見直し、郵便局網の公共性重視に軸足を置いて軌道修正することは、うなずける。それでも、将来の国民負担を避けるための経営改革を断行し、同時に民間との公平な競争を確保するという民営化の基本原則は守られるべきだ。


 そのためには、民間出身の優れた経営者の下で組織を活性化させることが必要条件ではあるまいか。


 ところが、西川氏の後任は官僚の代名詞のような事務次官OBの斎藤氏だというのだから驚く。政治主導で決めたこととはいえ、「官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ」とした鳩山政権の政権公約の理念に背くのではないか。


 西川氏が辞意表明に追い込まれた経緯からして、後任の社長を引き受ける人が民間から出てくるとは考えにくい状況だった。火中の栗を拾う人が他にいないということだろうが、斎藤氏は今は民間人であるにせよ、天下り先の金融取引所のトップであり、「剛腕の大物次官」と呼ばれた人物だ。これでは社長も経営も「民から官へ」ですか、と問わずにはいられない。


 24万人の大所帯である日本郵政グループが、株式会社の形は維持されても、実態は官業へと後退するのではないか、と心配でならない。


 不思議なことに、民主党内に目立った反発は出ていない。斎藤氏は細川政権下で新生党代表幹事だった小沢一郎民主党幹事長と組んで国民福祉税構想をかつぐなどした盟友である。今回の人事にそうした背景を感じる人もいるだろう。


 斎藤氏はきのうの記者会見で「小沢さんからは全く話はなかった」とし、亀井氏の要請だったと述べた。


 いずれにせよ、この人事は旧特定郵便局長とつながりの深い国民新党や亀井氏の言いなりとも映る。亀井氏は斎藤氏について「郵政民営化見直しに関する考え方が連立3党と一致している」ことを起用の理由とした。


 だが、閣議決定した郵政見直しの方針や今回の社長人事が民営化を柱とする郵政改革とどう両立するのか。鳩山由紀夫首相の明確な説明を聞きたい。