民主党政権はすべての記者会見をオープンにせよ


 民主党政権がスタートしたこういう日に民主党の批判をしたくはないが、政権の本質にもかかわることなので、あえて書いておきたい。


 「新首相就任会見、雑誌記者の参加認める 内閣記者会」という記事がある。一応引用しておくと、

新首相就任会見、雑誌記者の参加認める 内閣記者会
2009年9月15日20時9分


 内閣記者会は15日、鳩山新首相が首相官邸で16日に行う就任会見について、外国特派員10人程度、雑誌・専門紙誌の記者10〜15人の出席を認める方針を決めた。内閣記者会は規約で、原則として会員以外の会見への出席を認めておらず、これまではオブザーバーとして特派員5人程度が参加するだけだった。


 官房長官に内定している民主党平野博文役員室長から内閣総務官室を通して内閣記者会に対し、情報公開の観点から、外国特派員、雑誌・専門紙誌の記者の出席を認めるよう要請があった。内閣記者会加盟各社の代表が15日、協議した結果、規約の規定にかかわらず今回は参加を認めることにした。規約を改正するかどうかは今後協議する。

見られるように、雑誌記者が参加できることがさも情報公開の前進であるかのごとき形で語られているが、しかしこれはとんでもない話なのであって、実際には、記者クラブ(この場合には内閣記者会)に所属しないジャーナリストは原則として参加できなかったらしい。


 つまり、民主党が自らの政治姿勢の根幹に据えていたはずの「情報公開」ということが、政権スタート当日から歪められたのである。この点について詳しくは、次のコラムが書いている。
新聞が書かない民主党の「公約破り」
 また、この点を論じた番組(収録は9月15日、つまり政権発足前日のことだと思われる)が以下のリンクからビデオで見られるので、これもぜひご覧いただきたい。
1-6民主党 記者クラブ開放の公約を反故に 神保哲生 x 上杉隆
2-6民主党 記者クラブ開放の公約を反故に 神保哲生 x 上杉隆
3-6民主党 記者クラブ開放の公約を反故に 神保哲生 x 上杉隆
4-6民主党 記者クラブ開放の公約を反故に 神保哲生 x 上杉隆
5-6民主党 記者クラブ開放の公約を反故に 神保哲生 x 上杉隆
6-6民主党 記者クラブ開放の公約を反故に 神保哲生 x 上杉隆


 これで民主党は本当に政治改革などできるのだろうか。政権の先行きを大いに懸念させると言わざるをえない。例えば、容易にできる記者会見のオープン化を実現できずに、取り調べの全面可視化などという、遥かに難しいであろうことが、実現できるだろうか。


 既存のメディアがいかにダメであるかということを、我々はよく知っている。そしてその原因の相当部分が記者クラブの存在にあるということもよく知られている。記者クラブがあるからこそ、既存のメディアは相当程度官僚のプロパガンダに踊らされており、それが今の官僚主導政治を作ってきたのではないだろうか。これを突き崩さずして、どうして官僚主導政治を打破できるだろうか。


 民主党政権は、官邸での会見を始めとして、各大臣及びその下の政務三役の会見に至るまで、すべての記者会見を政権主催の会見とし、すべてのジャーナリストにオープンにすべきである。そうせずして、民主党政権が官僚主導を打破できるとは私には思えない。