新銀行東京の赤字垂れ流し――責任を負うべきは石原都知事自身である


 まず朝日新聞の記事の引用から始める。


 「都が出資の新銀行東京、累積赤字936億円に

都が出資の新銀行東京、累積赤字936億円に
2007年11月30日22時49分


 東京都が1000億円を出資してつくった新銀行東京が30日、9月中間決算を発表した。当期赤字は87億円で累積赤字は936億円に膨らみ、資本金(1187億円)の8割にのぼっている。09年度に予定している単年度の黒字転換は厳しい情勢だ。発案した石原慎太郎知事は「起死回生の妙案がそうざらにあるものじゃない」と語った。


 決算では、融資先の中小企業の経営悪化に伴う不良債権処理などの費用が計画より26億円多い71億円になり、赤字を膨らませた。不良債権比率は半期で6.42%から10.17%に上がった。本業のもうけを示す業務純益は33億円の赤字。貸出金金利や手数料などの収入21億円に対し、人件費などの経費が54億円だった。


 同行は今年3月期決算で当期赤字547億円、累積赤字が849億円となった。経営規模の縮小や店舗統合などのコスト削減で半期の赤字幅は縮めたものの、津島隆一代表執行役は「コスト改革や不良債権の圧縮をさらに進めていく」としている。


 石原知事は同日の定例会見で「経営状況は厳しく、もっとシビアに経営改善を進めていく必要がある」と話した。


     ◇


 〈田村晋一・UBS証券シニアアナリストの話〉 営業費用や不良債権処理費用をまかなう収入が無く、企業として成り立っていない。経費削減など努力の跡も見られるが、もうけが出ない状態で、回復の見込みは相当厳しい。

 新銀行東京の問題については、先の都知事選の際に本ブログでもこの記事(朝日新聞の記事の転載)や この記事で扱ったが、毎年300億円の赤字を出しているだの、出てくる話が皆ろくでもない。上で引用した記事もそれと同様であり、特に「不良債権比率は半期で6.42%から10.17%に上がった」という事実などは、この新銀行とやらがカネの貸し方を全く知らないことを立証していると評すべきデータである。


 しかも、この新銀行は石原都知事の思いつきで始まったにもかかわらず、その石原氏は、新銀行の業績の悪さについては他人事を決め込む発言を繰り返しており、実に無責任極まりない。上で引用した記事でも「起死回生の妙案がそうざらにあるものじゃない」などと、まるで評論家のようなセリフを言う一方で、「経営状況は厳しく、もっとシビアに経営改善を進めていく必要がある」などと言っているが、果たして経営改善程度で済む話なのだろうか。答えは明らかに「否」である。


 先の都知事選では、新銀行東京の解散を主張した候補は残念ながら当選しなかったが、しかし今からでも、この銀行を解散させることは、税金の無駄遣いをやめさせる意味で極めて重要であり、緊急に行なうべきことである。そしてもちろん、単に解散させればそれで良いのではない。こういう事態に立ち至ったことについて、責任を誰が負うべきかを明確にしなければならない。その責任者は誰か。もちろん、誰よりもまず、石原都知事その人が責任者である。


 石原都知事には自らの大失政の責任をしかるべくとってもらわなければならない。民間ならこれは、株主代表訴訟の訴えを起こすのが相当なケースだろうから。都政に引き写すなら、追求されるべき経営トップはもちろん都知事であり、そして代表訴訟を起こす原告とは株主、すなわちこの場合には納税者たる都民である。