イラク問題を解決させるための方法


(本ブログで[政治]というジャンルに分類するのは基本的に国内政治に関する記事のみだが、イラク問題は、テロ特措法との関連などから見ても、単なる国際社会の問題だとは言えない、国内政治にも大いにかかわる問題だと言える。あえて今回の記事を[政治]関連記事とも位置づける所以である。)


 アメリカ側の一方的な対イラク軍事攻撃が開始されてから4年半を経て、イラク問題は泥沼化の一途をたどっている。言うまでもなく、私ごとき一民間人・一私人にイラク問題を解決させるための方法などあるのか、と疑問に思う人がいても当然だろう。


 しかし、問題の解決は、問題の根本が一体奈辺に存するかということを心静かに観ずるなら、案外見えてくるものではないかと思われる。ではその解決策とは何か。


 言うまでもなく、問題の解決には手品などはありえない。したがって残るのは正面突破だが、何がイラク問題の中心かと言えば、それは、そもそも開戦自体が間違っていたということにある。周知のように、アメリカが理由として挙げた大量破壊兵器の存在は、実際には真っ赤な嘘だった。また、イラク民主化するという謳い文句も、かつての独裁者だったフセインを処刑したこと(これだけは、多くのイラク人もまた歓迎したところかもしれない)を除けば、アメリカのやっていることはすべて裏目に出ており、イラクの秩序の破壊に寄与していると言ってよいのではあるまいか(クルド人地域は例外かもしれないが)。つまり、何から何までアメリカは間違っていたと言ってよいと思われる。


 であるなら、それを改めるために必要なのは、誤りを認めることである。つまり、ブッシュ米大統領はすべからく自分の過ちを認めて、イラク国民に対して謝る必要があり、かつ、自分の過ちを認めた上で国際社会に対して協力を呼びかける必要がある。


 ――こう書くと、「なんだ、そんなことか。ブッシュが自分の過ちを認めるなどするわけないではないか」という反応が返ってくるかもしれない(そもそも何か反応があるとすれば、だが)。しかし、イラク問題を本当に解決したければ、アメリカが過ちを認めて新規まき直しでやり直す以外に方法はないと思われる。もちろん、過ちを認めると、イラク国民に対して巨額の賠償責任が発生するなど、大変な問題が生じるかもしれない。しかしそれでも、今のまま泥沼的状況をずるずると続けるよりも、その方が結果的には安上がりであり(イラク問題を単に経済的な問題として片づけたいとは全く思わないが)、かつ問題の早期解決につながるのではないだろうか。


 では、ブッシュ自身が進んで謝ろうとしないとして、誰がブッシュに、イラク国民に対して謝るよう諫言することができるか。他国の政府であり、他国の国民であり(もちろんアメリカ国民自身であっても良いのだが)、つまりは我々自身である。ブッシュこそがイラク問題の張本人であり、イラク問題にかかわる最大の悪人であり、彼こそが改まらなければならない――こう我々は言い続けなければならないのではあるまいか。


 テロ特措法の延長をめぐって行なわれるであろう来たるべき国会の論戦でも、この根本問題が議論されることを期待したい。特に、対アフガニスタン戦争と対イラク戦争を盲従的に支持した政府と異なり、民主党は、この問題に関してアメリカ批判という正論を掲げることができる立場にあるはずである。間違ったことに追随することは、外交関係として見ても決して良いことではない。民主党アメリカ(特にブッシュ米大統領)批判を展開することを大いに期待する次第である。


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。