社会保険庁の改革案・・・採るべきは民主党案

 はっきり言って社会保険庁に、そしてもちろんその背後にいる厚生省に、年金の管理を任せるわけにはいかない。年金問題について聞けば聞くほど、知れば知るほどそう思う。


 なかなか時間がとれず、岩瀬達哉氏の『年金の悲劇』『年金大崩壊』や岩瀬氏・保坂展人氏の共著『官の錬金術』などを、読もうと思って読めずにいるが、ともあれ今の制度ではだめである。何らかの改革が必要だが、この点に関しては、社会保険庁に任せるのをやめて国税庁と統合して歳入庁をつくるという民主党の案が良いだろう。公務員改革と称して与党がやっていることが全くのザルないしペテンであることは、昨今様々に報じられている。例えばこのニュース。以下引用しておくと、

 役人、独立法人経て企業へ 「抜け道」天下り366人


 中央省庁から、独立行政法人に天下った後、さらに民間企業や省庁主管の公益法人へ天下った省庁OBは、06年4月までの10年間で少なくとも366人にのぼることが朝日新聞社の調べでわかった。天下りを規制するため国会で審議されている国家公務員法改正案では、独法から民間などへの再就職は制限されていない。独法が、省庁から企業などに天下る「抜け道」になっている実態が浮かび上がった。


 衆院調査局がまとめた各独法OBの再就職状況について、特殊法人などの前身組織を含め分析。国立病院の職員が「国立病院機構」に移るなど、組織改編で身分だけが変わった人や、研究機関を往来する研究者らを除いて集計した。


 その結果、独法から公益法人や民間企業へ天下りしていたのは38法人の1388人で、このうち省庁OBは366人。独法を退職後、出身省庁の関連団体や民間などへ再々就職する「わたり」をしていた。ただし、職員の退職後の動向すべてを把握していない独法も多く、実際にはさらに多いとみられる。


 現行制度では、国家公務員は退職後2年間は、出身官庁と関係がある企業への再就職が原則的に禁じられているが、独法への再就職は制限されていない。このため独法は、退職した直後の省庁OBの一つ目の受け皿になっているとみられる。さらに、国会で審議中の国家公務員法改正の政府案では、独法から企業への再就職は現行通り無制限だ。


 農業、漁業者の信用保証を行う農林水産省所管の独法「農林漁業信用基金」では、主に農水省から天下った42人全員が、退職後に農林関係の公益法人や業界団体などへ再就職していた。基金農水省はいずれも「再就職の紹介やあっせんはしていない」と話す。厚生労働省所管の「福祉医療機構」から別法人に再就職した14人のうち13人は同省OB。うち12人が福祉・医療関係の公益法人や学校法人に渡っていた。


 独法から営利企業に幅広く天下っていたケースもある。「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」を退職した後に、JR西日本の役員や大手ゼネコンの顧問などに再就職した52人のうち37人が国土交通、財務などの省庁OBだった。また、「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」からの再就職者33人のうち22人が省庁OBで、多くが石油会社や鉱業関連企業の顧問などに就いていた。機構の担当者は「知識や経験、人柄を見て、受け入れてもらっている」と話す。


 官製談合が問題となった独法「緑資源機構」をめぐっては、林野庁長官ら幹部OBらが機構を経て、談合への関与が疑われる複数の公益法人、林野関連企業に渡り歩いていたことがすでに明らかになっている。


 公務員改革との関連で見た場合、独立行政法人がいかにろくでもない代物であるかはこちらの記事でわかる。これまた引用しておくと、

 独立法人、公務員より高給 1.5倍以上の法人も


 政府にかわって行政サービスを行う独立行政法人のうち、職員の平均給与が国家公務員の平均給与を上回っている法人が6割以上あることが朝日新聞社の調べでわかった。公務員の1.5倍以上の高給を払っている法人もある。経営の自立による行政のスリム化をめざして政府が導入した独法だが、自ら支給基準を定める仕組みがかえって人件費をふくらませ、効率化の足かせになっている一面が明らかになった。


 総務省の資料から、独法113法人の05年度の一般事務・技術職員3万5673人(平均年齢43.3歳)の平均年間給与を、年齢構成に合わせて国家公務員の平均年間給与を100とするラスパイレス指数で比較した。


 結果、独法の給与の指数は107.5と国家公務員より7.5ポイント高かった。このうち国家公務員より高い給与が支払われていたのは69法人。うち25法人が20ポイント以上も上回っていた。


 指数が最も高いのは05年9月発足の「沖縄科学技術研究基盤整備機構」で151.8。年間給与(推計額)は41.1歳で1000万6000円にのぼる。尾身財務相が沖縄・北方対策、科学技術政策担当相だった01年6月に提唱した「沖縄科学技術大学院大学」の設立を進めている。


 次に高いのは、年間数兆円に上る高速道路建設の債務返済を進める「日本高速道路保有・債務返済機構」で140.5。貿易相手国の紛争や財政破綻(はたん)などで受ける損害を補償する貿易保険を運営する「日本貿易保険」は134.4、「農畜産業振興機構」は133.8で、いずれも国家公務員より30ポイント以上高い。農畜産業振興機構は05年度末に623億円に上る欠損金を計上しているが、職員には年間936万円(43.6歳)の給与が支給されていた。


 一方、最も低いのは「国立高等専門学校機構」で指数83、年間給与577万7000円(44.3歳)。指数は沖縄科学技術研究基盤整備機構の半分余りで、独法間の格差も際立っている。


 高い給与水準について、沖縄機構は「少数精鋭で業務を進めており、相当高い給与レベルを設定しないと英語力や情報処理能力の高い優秀な人材を確保できない」。高速道路機構は「旧道路関係4公団が民営化した会社から出向者を受け入れており、出向元の給与水準に合わせた」などと説明している。

 自民党政権公務員制度改革ができないことは明らかである。社会保険庁の改革についても然り。自民党はいったん野党に落とさなければならない。


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。