教育における競争の問題

 マル激トーク・オン・ディマンド第305回(2007年02月02日)「地域の「ハブ」としての公立校再生プランとは」は、たぶん宮台氏の人脈からのゲストだろうが、今回はヒットだったと評してよい。メディアへの露出度も高く、公的な場面でも登場する機会の多い(ように見える)藤原和博氏(東京都杉並区立和田中学校長)だが、話を聞いてみるといろいろ面白いところも少なからずあった(ながらでの視聴だが)。


 ここでは、番組全体にかかわるテーマであり、番組中でもさまざまな形で触れられてはいる表題の問題(教育における競争の問題)に関して、番組ではしかしはっきり述べられていなかった点を指摘しておきたい。


 番組後半の7分あたりで、藤原氏は「教育(や医療)においては、競争を導入しても良い部分もあるが、絶対に市場化(つまり、競争原理を導入すること)をしてはならない部分もある」という趣旨のことを述べておられる。そしてその少し後で、公立校で重要なのは地域の力を最大限に引き出すことだ、とも述べておられる。


 番組ではっきり述べられていなかった点とは、この2つの発言の論理的帰結に当たる部分で、それは、公立校の学区を自由化することはすべきでないということである。想像するに、藤原氏は、公的な場面でも登場する自らの役割(発言権)を顧慮して、現政府が掲げる教育政策(アホの安倍が教育バウチャー制度を掲げていることは周知のとおり)に正面から反対するような発言をすることを避けたのではないかと思われる。しかし、これははっきり言うべきことではないだろうか。


 さらに、これは私の独創では少しもないが、義務教育期間においては私学教育を禁止することすら考えても良いのではないだろうか。その趣旨は、あらゆる種類の人(特に、学力の面で)がいるミニ社会の中で子どもが育ち、その中で(総覧者たる教師の指導・監督のもとで)社会性を身につける、そういう期間を確保することである。もちろん、私学教育の禁止などということを強制的に実現することはまず不可能だろうが、しかし、子どもを育てる親自身がこういう理念に共鳴するようになり、そして子どもを公立校に送る親が増えるようになれば、これは必ずしも全くの夢想ではないのである。この意味でも、教育問題においては親の役割がきわめて重要だと言ってよいだろう。


 教育問題についてはこの他にも書くべきことがあるが、今回はこの程度にしておく。


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。