討論の下手な日本人

 ビデオニュース・ドットコムで新番組「政策討論クロストーク」が始まった。政治問題に特化した番組の登場を期待していた(例えばこの記事で)本ブログとしては、これを歓迎しなければならない。その第1回は「存続か廃止か 死刑制度の是非を問う」というものである。


 ということで、まずは声援を送りたいところではあるが、しかし残念ながら、手放しの賞賛とはいかない。なぜなら、日本人は概して討論が下手だと言ってよいが、その下手さが今回の番組では遺憾なく発揮されているからである。


 まず、両方の論者の(書面での、ではなく、口頭での)議論の力量を揃えておくという配慮が、ともかくも「番組」を作る以上は、必要だったのではないか。存続派の学者は有名な方であり、書いたものでは力があるのかもしれないが、しかし番組となると、話に力がなければ困る。その点を今後の人選の際にはもっと重視してほしいものである。


 また、番組の進行も満点にはほど遠いと言わざるをえない。ディベートでまず必要なのは、それぞれの論者が主要な論点を提示することであり、したがってまず最初の5分程度ぐらいでそれぞれの論者が自らの主張をまとまった形で述べる機会を設けるべきだった。出演者の都合でそれが行なわれなかったのかもしれないが、そうであるなら再考すべきは出演者の人選の方だろうと思われる。


 理想の討論は、(御厨教授には失礼かもしれないが)司会者が口をさしはさむのが最小限で済む討論だと思われる。そういう討論を日本人がすることができることを示す場へと、この「政策討論クロストーク」が成長することを願ってやまない。


 ともあれ、試み自体は歓迎しなければならないので、今後の改善に大いに期待するものである。


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。