労働の実態を知らなさすぎる、あまりに愚かな安倍首相

 評論家の立花隆氏が「メディア ソシオ-ポリティクス」の一番新しい記事(12月27日づけ)で「未熟な安倍内閣が許した危険な官僚暴走の時代」という文章を書いているのは既に周知だろうが、要するに氏はこの記事で「安倍は阿呆だ」と言っているのだと理解してよいだろう。もちろん、安倍が阿呆だというのは、本ブログでも繰り返し指摘しているところではあるのだが。


 そして、安倍がいかに馬鹿で阿呆かということを裏づける証拠と言ってよい記事がまたまた出てきた。次の「残業代ゼロ 首相「少子化対策にも必要」」という記事によると、安倍は次のように言っているらしい。

 安倍首相は5日、一定条件下で会社員の残業代をゼロにする「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入について「日本人は少し働き過ぎじゃないかという感じを持っている方も多いのではないか」と述べ、労働時間短縮につながるとの見方を示した。さらに「(労働時間短縮の結果で増えることになる)家で過ごす時間は、例えば少子化(対策)にとっても必要。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を見直していくべきだ」とも述べ、出生率増加にも役立つという考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。


 首相は「家で家族そろって食卓を囲む時間はもっと必要ではないかと思う」と指摘。長く働くほど残業手当がもらえる仕組みを変えれば、労働者が働く時間を弾力的に決められ、結果として家で過ごす時間も増えると解釈しているようだ。

つまり、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入が労働時間の短縮につながるなどという途方もない理解を述べているのだ。


 いったい、ホワイトカラー・エグゼンプションを導入した国で、その対象者の平均労働時間が短くなった国がこれまでに一つでもあっただろうか。あるなら教えてほしいものである。私が耳にするのは、労働時間が長くなった、仕事を家に持ち帰って土日もやるようになった、といった話ばかりなのだが。


 こんな妄言を口にして恥じないような、経済音痴の首相を日本国は担いでいてよいだろうか。断じて否。安倍はお引き取りを願わなければならない。


 そしてもちろん、安倍を始めとして、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。


追記
 なお、私自身はホワイトカラー・エグゼンプションの導入には基本的に反対だが、もし万が一導入するなら、その前にやるべきことをやった上で導入するのであれば、導入もあって良いかもしれないと思う。


 そのやるべきこととは、サービス残業を徹底的に駆逐することである。つまり、ホワイトカラー・エグゼンプションを導入できる企業は、導入以前の一定期間(例えば5年なら5年)、サービス残業を社員(当然ながら、正社員だけでなくパート労働者その他も含む)に課したことが一度もない企業に限る、とするのである。そして、ホワイトカラー・エグゼンプションを導入した後にサービス残業が行なわれていたことが発覚すれば、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入は直ちに取り消され、当該企業は再び、残業代を支払わなければならないこととする。


 このようにするとどうなるか。当然ながら、企業はなるべく多くの社員、可能ならすべての社員をホワイトカラー・エグゼンプションの対象者としようとするだろう。しかし、そもそも「ホワイトカラー」の労働の特殊性に鑑みた制度であるホワイトカラー・エグゼンプションが、すべての社員を対象者とすることはできないはずである。したがって、該当者にならない社員は必ず存在しよう。その社員たちだけには残業代が支払われることとなる。そうなれば、社員の側では、ホワイトカラー・エグゼンプション対象者であっても、低賃金に甘んじて残業代を受け取る方をむしろ好む社員が増えるのではあるまいか。いずれにせよ、サービス残業という日本の企業の悪しき慣行を駆逐することには役立つはずである。


 それが可能なら、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入には全くメリットがないわけではないかもしれない。・・・もちろんこれは、半分以上皮肉で言っているのだが。