実にふざけた話、おかしな理屈


 安倍首相は、叫べばよいとばかりに、「社会保険庁の親方日の丸体質をドーンとぶちこわしていきます!」と言っているのだとか。今朝の朝日新聞では自民党の色刷り全面広告もあって、安倍首相の写真をでかでかと掲げたその広告の中では「社会保険庁は徹底解体・職員解雇。やる気のある人材だけを再雇用し、公務員ではない新しい組織になります」とある。


 これは要するに、国がやってきたことは信用できないことでした、と言っているのと同じである。それを国の行政の長である内閣総理大臣が絶叫しているのだ。


 これほどふざけた話が他にあるだろうか。


 既に本ブログの別の記事で指摘したとおり、社会保険庁の改革は、国税庁に吸収合併の上歳入庁とするという民主党案によるのがよい。絶対やってはならないのは、政府案(今回無理やり法案を通してしまったが)である。断然、政府案は撤回されなければならない。そのためにはどうすればよいか。政府・与党が今のように無反省で暴走を続けている限りは、与党を与党でなくするほかに手はない。当然、その第一歩は今回の参議院選挙での与野党逆転である。



 また、朝日新聞の社説では安倍首相のおかしな理屈が批判されている。政治に関心のある者なら周知のはずだが、案外知られていないかもしれないので、ここで確認しておくことにする。まず、当該社説を引用すると

 赤城氏は閣僚である。6年前、当時の森内閣は「公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する」という国務大臣規範を閣議決定した。普通の政治家以上の倫理観が求められると確認し合ったはずだ。


 先の通常国会で与党が通した改正政治資金規正法は、1件5万円以上の経常経費に領収書の添付を義務づけた。だが、その対象は資金管理団体だけで、赤城氏の後援会のような政治団体は対象外だ。


 この抜け穴に対する批判の高まりを意識してか、首相は最近、党の自主的な措置として資金管理団体にできるだけカネの流れを集中させる考えを示した。自民党で内規の改正が検討されている。


 改正法の不備を認めたのかと指摘されると、首相はこう開き直った。「法律を決めるというのは全体の合意で初めてできる。自民党だけではできない」


 おやおや、野党のせいで十分な法改正ができなかったと言いたいのだろうか。それは事実に反する。たとえば民主党はすべての政治団体に網をかけようと主張した。そんな修正要求を一顧だにせず、抜け穴だらけの改正案で突っ走ったのは自民、公明の与党ではないか。

そうなのである。強行採決ザル法を作っておいて、今さら「法律を決めるというのは全体の合意で初めてできる。自民党だけではできない」とは、あまりにもひどすぎる。理屈も何もあったものではない。


 とにかくひどいのだ、安倍政権は。


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。