憲法9条に関するアンケート


 終戦記念日の放映が予定されている<日本の、これから>の「憲法9条に関する番組」が、現在アンケートを実施中である。私の回答を以下に転載しておくことにする。

・このアンケートは、いわゆる「統計調査」ではありません。従って、個々の設問についてどの答えを選んだ方が多かったのかを、集計したり、発表したりすることはありません。
・お答え頂いた内容は、個人情報に配慮した上で「日本の、これから」の番組やホームページで紹介させて頂くことがあります。その際、趣旨を変えない範囲で要約・修正させていただくことがあります。
・皆様の個人情報の取り扱いに関しては「NHKにおける個人情報保護について」をご参照ください。


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憲法改正に関する議論についてお聞きします。
Q1
1−1 あなたは、現行の日本国憲法についてどう考えていますか?


 2) 改正しない方がよい


1−2 なかでも、戦争の放棄と戦力の不保持を定めた「憲法9条」についてどう考えていますか?


 2) 改正しない方がよい


なぜそう思うのか、特に9条改正に関するご意見やお考えなど自由にお書きください。
また、そう思うようになったきっかけなどがあれば、お書きください。


 先に教育基本法が与党による強行採決によって改悪されてしまったが、あの教育基本法は、それ自体素晴らしい理想を謳ったものであり、何ら改正の必要がないばかりか、むしろその理想に現実を合わせるべく努力をすべき、そのようなものだった。現行憲法についても全く同じことが言える。現行憲法が掲げる理想は崇高なものであり、我々は今むしろ、その理想を実現するための努力をこそするべきである。


戦後日本の歩みと憲法9条についてお聞きします
Q2
日本の戦後の歩みの中で、あなたは憲法9条の果たした役割を評価しますか?


 1) どちらかといえば評価する


なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書き下さい。


 選択肢の中に「どちらかといえば」という文言が否応なく入っていたのでこう返答するほかなかったが、憲法9条の果たした役割は極めて高く評価されてよい。その証拠が、戦後60年余の間、日本が一度として国内・国外での武力行使に巻き込まれなかったという事実である。とりわけ、憲法9条2項があったゆえに、日本は海外派兵を求める米国からの圧力をこれまではねのけ続けることができたことは、知る人の知るところである。


Q3
日本国憲法はその成立過程において、連合国軍総司令部(GHQ)が作成した憲法草案を日本側が受け入れ審議したという経緯から、外国に「押し付けられた」憲法だという見方があります。
あなたは、この考え方についてどう思いますか?


 2) 「押し付け」ではないと思う


なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書き下さい。


 戦後の憲法改正は国会での決議によって決定されたが、私の記憶違いでなければ、採決の時に反対したのは日本共産党だけだったということである。このことから2つのことがわかる。すなわち第1に、後の自由民主党(周知のように、自民党は結党以来自主憲法制定を党是としているということである)に連なる政治家たちはこの時こぞって賛成票を投じたということであり(つまり、後の自民党に入った政治家たちの憲法押し付け論は後知恵だということ)、第2に、共産党の反対に見られるように、この時憲法改正に反対しようとするなら、反対の意思表示をすることは全く可能だったということである。共産党が反対できたのに、当時反対しなかった政治家たちが後から押し付け論を言うことは、とりもなおさず、自分たちのへっぴり腰を露呈していると言ってよい。


 かくて、憲法押し付け論は、それが後知恵であること、また、それが、主張する当の政治家たちの思想的だらしなさを露呈していることに鑑みて、全く破綻していると言ってよい。


Q4
憲法施行後、朝鮮戦争の勃発を受けて警察予備隊が発足し、その後、1954年(昭和29年)には自衛隊が誕生します。政府は「自衛隊は戦力にはあたらず、自衛のための武力行使憲法違反にならない」という見解を示していますが、あなたは自衛隊の存在をどのように考えていますか?


 4) その他
(なお、これ以外の選択肢は 1) 自衛隊の存在は憲法違反であり、なくすべきだ 2) 自衛隊は必要最小限度の戦力であり、憲法違反にはあたらない 3) 憲法9条を改正し、自衛隊を軍隊として明記すべきだ というもの)


なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書き下さい。


 憲法を単純に解釈するなら1)が妥当であり、2)が誤っていることは明らかだが、現実には世論の大勢は自衛隊の存在自体は認めていると思われる。したがって、自衛隊の存在を直ちになくすということは、政治的決断としてはとりえないものである。他方、現行憲法との関係で自衛隊は「戦力」でないという解釈のもと、自衛隊の軍備拡張が抑制されてきたという歴史的経過がある(但し、近年では自衛隊の軍備拡張には著しいものがあるようだが)。軍備拡張自体が平和に対する脅威であることを思うと、3)は、軍備拡張に対する歯止めを放棄することを意味するため、賛成できない。


 以上を踏まえて、私の現状認識を記すなら、「自衛隊の存在は憲法違反だが、直ちにこれを廃棄することはできない」となる。


日本の安全保障と憲法9条についてお聞きします
Q5
近年、北朝鮮弾道ミサイルの発射実験や核実験を行っています。また、中国の軍事費は拡大傾向にあり、その中身も不透明とされています。こうしたことから日本を取り巻く環境に「脅威が高まっている」という指摘がありますが、こうした中で憲法9条の存在をどう考えますか?


 3) 軍事力は用いるべきではなく、あくまでも外交で対応すべきだ


なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書き下さい。


 憲法9条を改正すべきでないとする立場からは、「軍事力を用いず外交で対応するべき」との回答になるのは論理的必然である。


 付言するなら、昨今のいわゆる「北朝鮮の脅威」は全く誇張されている。まず、北朝鮮が独自に核弾頭を開発する能力を持っているとはまず考えられない。北朝鮮がそうするためには、外国の協力が不可欠であり、そのような協力が行なわれないようにするためには、必要なのは(もちろん軍事力ではなく)外交力である。日本の立場を中国・ロシアなど(核兵器開発の技術を有する)諸外国に理解させ、北朝鮮にそのようなことをさせないように、また北朝鮮に対してそのような協力をしないように、求める必要がある。


 中国の軍事的拡大については、もちろん懸念すべきだが、その拡大の理由の一半は、アメリカとの対抗という点にあり、その際特に、在日米軍が中国に対する攻撃の基地となる可能性を有する点が想起されねばならない。東アジアの軍事的緊張を高めているのは、(日米安保条約を締結していることに由来して)日本側にも原因があることを考慮に入れるべきだろう。


自衛隊の役割についてお聞きします。
Q6
自衛隊は国内での活動に加えて、PKO(国連平和維持活動)などでカンボジア東ティモールイラクなど海外に派遣されていますが、あなたは、自衛隊はどんな役割を担うべきだと考えますか?


 2) 日本の防衛に加えて、PKOや人道支援活動に参加するべきだ


選択の理由や、憲法9条との関係など、ご意見を自由にお書きください。


 国際平和の維持のために日本も役割を果たすべきだという主張には或る程度の妥当性がある。自衛隊が「PKOや人道支援活動に参加するべきだ」と考える所以である。但し、いかなる意味でも、自衛隊は海外での武力行使には参加すべきでない。自衛隊がPKFに参加することや、まして多国籍軍の一翼を担うことには断然反対である。


 日本が国際平和の創造・維持のために果たすべき役割は、一言で言うなら「国際的花咲か爺さん」ではないかと思われる。交渉によって紛争当事者たちの調停に当たり、調停がなった暁には、紛争をしないことを評価して日本が率先して紛争当事者たちにNGOなどを用いた復興協力等をすることで、平和創造・平和維持について日本独自の貢献が可能なのではないだろうか。特に、NGOの活用が図られるべきである。


国際関係と憲法9条についてお聞きします
Q7
日本は戦後、日米安全保障条約を結び、アメリカに「核の傘」の提供を受けるなど、安全保障面での協力関係を進めてきました。これからの日本の国際的な安全保障体制のあり方と憲法についてどうあるべきだと考えますか?


 2) 現行憲法のまま、アメリカとの関係を見直して、新たな安全保障体制を模索する


なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書きください。


 回答の中にある「新たな安全保障体制」とは、私の場合、中国・韓国・台湾を巻き込んだ地域的安全保障体制のことであり、もちろんそのようなものは今後つくられるべきもの、したがって現在では未だ存在しないものである。そもそも安全保障とは、とりわけ侵略の防止ということであり、その観点からするなら、必要なのは近隣諸国との間の平和状態である。さらに、そもそも日本が属する東アジアという地域において平和が保たれるためには、当の地域の諸国がその平和維持のために役割を担うのが筋である。このように考えてくれば、日本が加わる、かつ中国・韓国・台湾を巻き込んだ地域的安全保障体制の創設が望ましいことは明白だろう。しかし、言うまでもなく、現状ではその創設のためのハードルは様々存在する。それらハードルを克服する努力がまず図られねばならないのが現在の状況だろうと思われる。


 次にアメリカとの関係について言うと、まず日本がすべきは、核兵器による安全保障を放棄することである。唯一の被爆国として核兵器のもたらす惨状を世界に訴えていくのであれば(そしてもちろん、そのような活動は大いにするべきである)、その日本自身が核の傘によって守られるのはこの上ない矛盾だと言わなければならない。この矛盾は解消されるべきであり、日本は国防における非核化を宣言するべきである。そして、その非核化宣言と、日米安保条約が矛盾するのであれば、日米安保条約は廃棄されねばならない。しかし、日本を非核化した上でなお、日米安保条約の維持が可能なら、或いは(現状の安保条約が無意味化するとしても)安全保障に関する別の条約を日米間で取り交わすことが可能なら、安全保障に関してアメリカとの条約を保持することは否定するべきでない。なお、言うまでもないが、非核化宣言の狙いは、東アジア地域における核保有国である中国が日本を核兵器で威嚇するための大義名分を一切なくする点に存する。


 以上は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないようにする」ため、かつ唯一の被爆国として核兵器の惨状を訴えるという日本の歴史的使命に鑑みて、引き出されるほぼ必然的な結論だと考える。


Q8
アメリカのような同盟国が他の国から攻撃を受けた時に、日本が直接攻撃されていなくても反撃する権利のことを「集団的自衛権」と言います。日本政府は「集団的自衛権は持っているが、憲法解釈上、行使できない」としています。あなたは、集団的自衛権についてどう思いますか?


 4) 集団的自衛権自体を認めるべきではない


なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書きください。


 Q7への回答に記したように、将来、地域的安全保障体制ができた暁には、日本は集団的自衛権を認めてよいと思われる。そもそも集団的自衛権とは地域的安全保障体制と表裏一体を成す概念であり、集団的自衛権を認めない地域的安全保障体制は言わば形容矛盾だからである。


 これに対して、昨今議論されているような、米国への攻撃の際に日本が集団的自衛権を発動するということは、上に述べた集団的自衛権の本旨にも反するばかりでなく、(攻撃を受けた日本の代わりに米国が反撃を行なうとする)日米安保条約の性格に照らしても全くおかしい。そもそも、軍事力を考慮するなら、米国は国防のために日本の助力を必要としない。


 したがって、正確に答えるなら、「現状では集団的自衛権自体を認めるべきでない。但し、将来において地域的安全保障体制ができた暁には、集団的自衛権を認めるべきである」となるが、今回の設問の狙いに鑑みるなら、私の考えに最も近いのは選択肢4)だと言わなければならない。


Q9
今後、国際社会において、日本はどのような国を目指すべきだと考えますか?


1)憲法9条の精神を推し進め、武力には関わらない平和国家として生きるべきだ


なぜそう思うのか、ご意見やお考えなどを自由にお書きください。


 この点に関する考えは既にQ6・Q7への回答の中で記したので、ここでは繰り返さない。


Q10
 あなたの憲法9条に対するお考えをお書きください。その際、戦争体験や国内・海外での旅行や留学、ビジネスなどを通じて、憲法9条について考えた個人的な体験や経験、エピソードなどがあれば、あわせてお書きください。


(無回答)


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。