安倍首相の独り相撲、または錯乱


 さすがに自民党のお歴々も、参院選自民党が獲得議席数30台の大敗となった場合には、首相の責任は免れないと思っていたようである。ところが、安倍が首相の座にあくまでこだわったために、最終的に続投が決まったのだという。記事は以下のとおり。

森氏ら、「首相続投困難」伝えていた 安倍氏は続投貫く
2007年08月02日03時18分


 自民党森元首相青木幹雄参院議員会長、中川秀直幹事長の3人が参院選投開票日の29日、「安倍首相の辞任は必至」という見方を一時固め、安倍首相本人に「続投は困難」と伝えていたことが関係者の話でわかった。しかし、安倍首相は「いかなる結果になろうとも首相を続ける」と続投に強い意欲を示したため、森氏らも最終的に受け入れたという。


 安倍政権を支えてきたキーパーソンである3人は29日午後、東京都内のホテルで会談した。獲得議席ごとに複数の選挙結果を想定して、安倍首相や自民党がどのように対応するか協議した。この結果、「自民党の獲得議席が30台後半になる可能性が高い」との認識で一致。40議席を割り込んだ場合には、青木氏は参院議員会長を、中川氏は党幹事長を、責任をとって辞す考えを、この場で示した。


 しかし、それでも「世論は収まらないのではないか」(出席者の一人)という声が上がり、安倍首相の続投も難しいと判断。中川氏が首相公邸に安倍首相を訪ね、選挙結果が惨敗に終わった場合に、首相が開票後にテレビ出演をするにあたってどのような発言をすべきか、などの対応策を具体的に伝えた。


 これに対し、安倍首相は中川氏との面会後に森氏に電話。「どういう事態になっても、私は辞めない」などと伝えた。安倍首相は28日にも、森氏に電話し、「厳しい状況だが、どういうことがあっても、私は首相をやらせていただきます」と語っていたという。森氏はこのときは一度、返事を留保したが、安倍首相が重ねて続投に強い意欲を示したため、最終的にこれを受け入れた。

 どこまで安倍は常識を欠いているのだろうか。自らの出処進退をわきまえないようでは、社会人としても一人前とは言えない。同じことは、ようやく大臣を辞職した赤城とやらについても言える。参院選投票の前に辞めてほしかったと思っている自民党の落選議員は少なくないだろう。社会人として通用しないような人間が国会議員になるなどということがあってはならないのであって、赤城は国会議員も辞職するのが相当である。


 率直に言って、これは議員の世襲の最も醜悪な部分の露呈だと言ってよい。ろくな社会経験も積まずに政治家になり、しかも首相という職ですら、自分がだだをこねれば手放さずに持っていられると思うような感覚、これを政治の私物化と呼ばずして何と呼ぼうか。


 安倍政権は政権末期の症状をいよいよ深めつつあると言ってよい。もちろん、安倍が首相を辞めてもすぐに政権交代とはいかないだろうが、どのみち遅くとも2009年には総選挙がある。次の総選挙では、自民党を野党に転落させなければならないことは無論だが、それだけでなく、世襲議員も政界から一掃すべきだろう。


 本当に、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。