首相にあるまじき失言・・・「公約違反というほどのものではない」


 言うまでもなく、本ブログは自民党政権にも、そして日替わりメニュー式に首相となった福田首相にも全く期待していないが、だからといって、政府・与党がいい加減なことをやっていることを「やはりその程度か」と言って、あきれて不問に付すというようなつもりは毛頭ない。よく聞いているなら、福田首相は実は失言をよく漏らしているのだが、その中でも今回の失言は実にひどい。毎日新聞の記事を引用しておく。

年金問題:公約破たん 「公約違反というほどか」−−首相が発言


 福田康夫首相は12日夜、首相官邸で記者団に対し、宙に浮く年金記録の一部が特定困難になったことについて「公約違反というほど大げさなものなのかどうかねえと思うけどね」と述べ、来年3月末までの照合完了を掲げた政府方針には反しないとの認識を示した。


 首相は「最後まで確認しなければいけない」と述べた。【石川貴教】


毎日新聞 2007年12月13日 東京朝刊

 先の選挙の時にあれほど、来年3月末までに、宙に浮いた5000万件の年金記録名寄せを完了すると言ったではないか。ところが実際には、そのうちの約4割、1975万件が名寄せ困難だというのである(これに関する朝日新聞の記事は末尾に引用)。公約違反であることは明らかである。


 しかも、この期に及んで福田はまだ理解していないようだが、要するに年金問題とは、国に預けた金がどうなったかという問題であり、問われているのは国の信用そのものなのである。福田内閣には年金問題の適切な処理は到底期待できないと言わざるをえない。


 なお、言うまでもないが、次のような発言をしている輩は即刻クビにするべきである。

「最後の一人、最後の一円まで全部、3月末に(支払い、特定も含め)やると言ったわけではない。(参院)選挙だから(表現を)縮めて言った。3月末までに仕分けがはっきりするということだ」

 発言の主は町村官房長官(出典は毎日新聞のこの記事)。政治家は言葉が命だというのに、全く以てろくでもない輩である。議員もやめてもらったほうが良いだろう。


 以下は朝日新聞の記事の引用。

名寄せ困難な年金、1975万件 宙に浮く5000万件
2007年12月11日06時06分


 基礎年金番号に統合されず、持ち主の分からない5000万件の「宙に浮いた年金記録」の内訳の全容が10日、社会保険庁の調査で分かった。コンピューター上の照合作業で本人を特定できた記録は2割にあたる1100万件にとどまった。厚生年金を脱退済みなど、統合の必要のない記録が3割あるとし、4割近くの1975万件は入力ミスなどで本人の特定が困難とした。


 政府・与党は来年3月末までに「名寄せを完了する」としていたが、持ち主が分かったのは一部にすぎず、記録問題の解決にはほど遠いことが浮き彫りになった。


 調査結果は現時点での作業をもとに推計した。11日にも発表される。


 年金記録は現在、1人で複数の記録をもつ人もおり、記録件数に比べて持ち主の人数は少なくなる。このため、特定できた1100万件は、850万人分に相当する。


 照合作業では、年金の受給者と現役世代の加入者を合わせた計1億300万人の記録と、宙に浮いた5000万件を突き合わせるコンピュータープログラムを開発し、持ち主を捜している最中だ。


 作業の結果、氏名、生年月日、性別の3条件が一致したのは、年金受給者では300万件(250万人分)。現在3700万人いる年金受給者のうち、少なくとも約7%にあたる250万人が本来の年金の一部を受け取れず、受給漏れを起こしている計算だ。


 また、現役世代で先の3条件が一致したのは800万件(600万人分)。両方を合わせ、本人が特定できたのは計1100万件、全体の21.6%とした。社保庁はこれらの記録について、12月中旬から本人に該当の可能性を知らせ、確認を求める。


 社保庁は今後、データを修正中で名寄せの成否が不透明な「氏名欠落」の470万件などを対象に、検索条件を広げて持ち主を捜す「2次名寄せ」も実施する。この作業で持ち主が特定できそうなのは「100万〜200万人」と見込んでいる。3月末までに持ち主が分かるのは最大でも、850万人にこれらを加えた1000万人程度となりそうだ。


 一方、本人の特定が困難な記録は、1975万件、全体の38.8%に達する見込み。このうち、社保庁によるコンピューターへの入力ミスと考えられる記録が945万件、漢字の氏名をカナに変換するときの誤りが240万件。これらのずさんな事務上のミスだけで宙に浮いた5千万件の2割以上を占めている。


 これらの記録については、コンピューター上だけでなく、紙台帳などの原簿にさかのぼって照合するなどして、来年4月以降も本人の特定作業を続けるという。