自滅が近い福田政権


 「道路財源問題で首相が緊急会見をする」というニュースが伝えられ、果たして会見が行なわれた(朝日新聞の記事を末尾に引用しておくことにする)。その結果は何かと言えば、予想されるのはまさに表題に書いたことである。こういうたぐいの記者会見をやって、しかも案の定ずっこけて(首相の会見を受けて自民党の伊吹幹事長が語った言葉は、実にお寒いものだった)、政権が求心力を保てるはずはない。まさに、民主党菅代表代行3月21日づけの今日の一言で書いているように、「福田政権の与党内での求心力が急速に落ちている。福田政権が総辞職か解散かの選択を迫られる日は近そう」である。


 以下は記事の引用。

福田首相、「09年度から一般財源化」提案 道路財源
2008年03月27日23時28分


 福田首相は27日、首相官邸で緊急記者会見し、道路特定財源の修正について新提案を発表した。道路特定財源を09年度から全額一般財源化すると約束し、10年間で最大59兆円を投じる道路整備中期計画は5年間に短縮して策定し直す。ただ、民主党が求める08年度からの暫定税率廃止には応じられないとした。このため、民主党は首相が求める税制改正関連法案の年度内採決は受け入れない方針で、ガソリン税などの暫定税率が3月末で期限切れとなるのは確実な情勢だ。


 首相が自民党内で異論の強い一般財源化に踏みこんだにもかかわらず、野党との妥協の見通しが立たないことで、日銀総裁の空席に続き、政権への打撃は避けられそうにない。


 首相は会見で、新提案を打ち出した理由について、「混乱を回避し、国民生活を守るという総理大臣の責任を全うするため、何としても野党の皆さんとの話し合いの機会をつくらなければいけないと考えた」と強調。道路特定財源について「今年の税制抜本改正時に廃止し、09年度から一般財源化する」と言明した。


 与党が21日に野党側に示した修正案では「一般財源化に向け見直す」との表現だったが、一般財源化することを明示したうえで、時期もはっきりさせた。


 首相はまた、「どういう状況にあろうとも、申し上げたことは守っていきたい」と述べ、野党との合意が得られない場合でも、09年度に一般財源化を実現する方針を明確にした。ただ、一連の新提案を与党が了承しているのかどうかについては「おおむね了解されていると理解している」と述べるにとどまった。党内の道路族議員を中心に、一般財源化には抵抗が出ることも予想される。


 一方、民主党が強く求める暫定税率の即時撤廃については「2兆6000億円という財源が失われる。08年度から廃止するのは現実無視の議論だ」と述べ、応じられないとの考えを強調。09年度以降は、暫定税率分を含む税率について「検討する」としたが、「国際的な石油不足や環境問題の観点から維持が必要だと思う」と述べ、現行水準からの引き下げは困難との認識を示した。


 与党修正案で「計画の期間を含め見直す」としていた道路整備中期計画については、5年間に期間を短縮する方針を表明。与党案にあった「必要な道路整備は着実に進める」とのただし書きは削除した。道路特定財源が職員のレクリエーション費などに充てられていた問題では、「行政の長としておわびする」と陳謝。「道路予算に大きく依存する公益法人は廃止・民営化を進める」など、無駄な支出を徹底的に排除するとした。


 首相の新提案を受け、民主党は27日夕、国会内で小沢代表を除く衆参執行部が対応を協議。一般財源化の方針は評価しつつも、暫定税率撤廃については「ゼロ回答に近い」として譲らない方針を確認した。菅直人代表代行は記者団に「今こそ暫定税率を撤廃する時だ。その点については福田首相の見解と我が党の主張、意見は異なる。残念ながら全く評価するに値しない」と述べた。


 ただ、自民、公明両党がこの日、与野党幹事長会談で、混乱回避のため、道路特定財源を除く税制改正関連法案については暫定税率の期限を4月末まで1カ月延長する「つなぎ法案」を提案したことから、首相提案も含め、28日に与野党政調会長国会対策委員長の合同協議で話し合うことになった。


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 福田首相が公表した「道路関連法案・税制の取り扱いについて」(全文)
 1、地方財政や国民生活の混乱を回避するため、08年度歳入法案の年度内成立
 2、道路関連公益法人や道路整備特別会計関連支出の徹底的な無駄の排除
 3、道路特定財源制度は今年の税制抜本改正時に廃止し、09年度から一般財源
 4、暫定税率分も含めた税率は、環境問題への国際的な取り組み、地方の道路整備の必要性、国・地方の厳しい財政状況を踏まえて検討
 5、道路の中期計画は5年として新たに策定
 6、新たな整備計画は、08年度道路予算の執行にも厳格に反映。08年度予算における一般財源としての活用は、民主党から現実的な提案があれば協議に応じる
 7、与野党協議会を設置し、一般財源としての使途のあり方、道路整備計画などを協議・決定