衆院山口二区補選――断然民主党の平岡秀夫候補を支持する


 国会で与野党の激しい対立が続く中で、衆院山口二区の補欠選挙が実施されることとなった。本ブログの立場は明確である。というのも、平岡議員(当時)や社民党の保坂議員などの頑張りがあったからこそ、天下の悪法<共謀罪創設法案>の成立が阻止されたからであり、この件で日本の全国民は平岡氏に対して感謝すべきはずである(共謀罪の創設は、特に日本の場合には、密告社会を招来することが強く懸念される)。平岡氏にはぜひ再選してもらわなければならない。


 これに対して、対立候補である自民党山本繁太郎だが、あろうことか、これが国土交通省出身の官僚上がりである。全く自民党という政党は国民をなめきっているとしか言いようがない。道路特定財源の問題で問われているのはまさに、国土交通省特定財源を使って国費の無駄遣いをしているという、そのことではないか。なのに、その国土交通省の出身の人間で、しかも仄聞するところによれば

耐震偽装の問題でも、徹底的に官僚の責任を隠し続け、民間の一部の人たちだけを悪人にすることに成功し(中略)その結果、全国で建築確認の混乱をおこし、官製不況をまきおこした張本人じゃないですか?

なのだそうである。こんな輩を当選させるようでは、日本の政治はますます劣悪になるばかりである。だいたい、有権者はよく知る必要があるが、結局、役人上がりが政治家に転身し(つまり、言わば官僚の政治家への天下り)、かつての役所の利益を守るという行動パターン・政治家擁立パターンこそが、いわゆる官僚主権国家を現出させ、かつ維持させている原因なのである。


 こういう輩を担ぎ出す自民党という政党は、骨の髄まで腐りきっていると言わざるをえない。その性根を叩き直すには、何としてでもいったん野に下ってもらわなければならない。そのための第一歩が今回の補選であるということは、改めて言うまでもあるまい。


 参考までに、朝日新聞の記事を以下に掲げておくことにする。

道路財源、代理戦争 衆院山口2区補選
2008年04月11日07時04分


 「補選は大丈夫ですか?」


 福田首相は心配そうに自民党古賀誠選対委員長に声をかけた。2月末、衆院本会議場でのことだ。


 4月15日告示、27日投開票の衆院山口2区補選は、昨秋誕生した福田政権にとって初の国政選挙。現職だった福田良彦氏が出直し岩国市長選に転出したのに伴う補選で、民主党は「必ず議席を奪還する」(小沢代表)と年明け早々、比例中国ブロック平岡秀夫衆院議員(54)が走り始めた。05年の衆院選こそ惜敗したものの、00年、03年は2区を制している。


 自民党は出遅れていた。参院議員や地元の柳井市長らの名が浮かんでは消えた。「ねじれ国会」で福田内閣の支持率が低迷する中、政権の浮沈を占う補選にだれを……。


 古賀氏は首相に旧知の官僚の名を告げた。内閣官房地域活性化統合事務局長、山本繁太郎氏(59)。直ちに首相官邸の二橋正弘官房副長官を訪ね、山本氏擁立に向けて「仁義」を切った。


 3日後、外堀を埋められ官邸に赴いた山本氏に、首相はいつにない真剣な表情で語った。「非常に大事な選挙。しっかり頼む」


■「道路なら山本」


 山本繁太郎氏は1カ月前まで内閣官房に詰めていたが、もともとは旧建設官僚だ。「道路族のドン」となる古賀誠氏と縁が深まったのは80年代後半。ちょうど道路局に籍を置いていたころだった。


 バブル真っ盛りで、族議員と官僚の蜜月時代。東京・赤坂の高級料亭に呼ばれた山本氏は、古賀氏らの前でふざけて座敷の鴨居(かもい)にぶら下がった。ナマケモノのまねだ。すると鴨居がガタッと外れた。山本氏は焦ったが、古賀氏は「面白いなあ」。外れた鴨居に自分もぶら下がり、座敷に落としてしまった。


 山本氏は抜群の陽気さと人なつっこさで相手の懐に飛び込む「破天荒な役人」(旧建設省OB)として永田町に知れ渡った。旧建設省国土交通省になった後、事務次官に次ぐ国土交通審議官にまで上りつめた。


 補選の投開票日の2日後、ガソリン税暫定税率を復活させる税制改正関連法案が再議決できるようになる。古賀氏ら政府・与党の幹部は再議決する構えだが、暫定税率の復活には世論の反対が根強いため、選挙の争点となることは避けたい。さすがの山本氏も「地域活性化」は訴えるものの、道路問題への発言は「議員になってから……」などと言葉を濁していた。


 ただ、暫定税率の期限が切れた1日、下松市での集会では珍しく本音を漏らした。


 「一般道路事業だけが借金もせずにやれたのは50年前の(道路特定財源)制度が続いてきたおかげ。2区を2週間走り回って、まだ道路整備を急がなくてはならない所がたくさんあると思った」


 7日の岩国市での集会。選対幹部の県議は「道路なら山本」とばかりに声を張り上げた。


 「地方には車が必要! 道路が必要なんです! 山本さんは国交省一筋。道路局にも長くいらっしゃいました」


■「ここらで見直し」


 3月29日に岩国市であった国道バイパスの開通式。あいさつに立った自民党岸信夫参院議員や福田良彦・岩国市長らは「道路はつながらなければ意味がない」などと、口々に道路特定財源暫定税率の維持を訴えた。


 だが、民主党平岡秀夫氏だけはとうとうと制度の沿革を説明し、反論した。


 「ここらで見直さないといけないのではないか」


 平岡氏も官僚出身だが、その歩みは山本氏とは対照的。旧大蔵省から内閣法制局を経て、40代半ばで国税庁課長を辞め、政界に。憲法や法律に詳しいだけでなく、理屈っぽい性格もあって「民主党の法制局長官」と評される。


 党内「左派」とされる「リベラルの会」の代表世話人も務める。小学校の遠足で広島の原爆資料館を見学して以来、平和問題にはこだわり続けた。一方、昨年6月には、テレビ番組で少年犯罪をめぐり「悪いことをした子どもたちはそれなりの事情があったんだろう」などと語り、ホームページで「おわび」したこともあった。


 その平岡氏が初めて国政に挑んだ00年に選挙応援に入ったのが、山口県宇部市生まれの菅直人代表代行。以来、2人は多くの場面で政治行動をともにしてきた。


 菅氏は党内や地方組織に異論を抱えながらも、道路政局の先頭に立ち、議論をリードしてきた。古賀氏への「口撃」も激しく、古賀氏の地元、福岡県八女市の橋を視察し、「(橋や道路の建設が)道路族がいるところだけ優先されているようにも見える」と追及。名指しこそ避けたものの「道路族は国交省からエサをもらって利益を守る番犬」とののしった。


 補選はさながら「古賀VS.菅」の代理戦争の様相を呈しつつある。菅氏は11日に早速2区に入る。補選は狙い通り「再議決の是非を問う国民投票」となるだろうか。