都知事石原慎太郎の許されざる奢り


 都知事石原慎太郎(言うまでもないが、「石原慎太郎都知事」と書かないのは、石原が「新銀行東京」「首都大学東京」などと語順をひっくり返す馬鹿さ加減を皮肉るためである)の言動・行動には一々怒りを覚えるが(これについては本ブログの「記事一覧」中の「都知事選」の欄の過去記事を参照されたい)、2016年の五輪開催をめぐる一連の発言には、深甚なる怒りを改めて覚えさせられた。石原慎太郎はどこまで奢り高ぶっており、どこまで愚かなのか。ここであえて記録にとどめておきたい。言うまでもないが、石原慎太郎は本来直ちに都知事をやめるべきであり、ついでに言えば政治家をやめるべきであり、さらに言えば・・・と、ここまでは書くまいが、ともあれ人間として最低の部類の輩だと評さざるをえない。


 私が心の底からの怒りを覚えたのは朝日新聞の次の記事を読んだ時である。

石原知事、五輪招致150億円「痛くもかゆくもない」
2009年10月10日5時31分


 16年夏季五輪招致で敗れた東京都の石原慎太郎知事は9日の定例記者会見で、税金100億円を含む招致活動費150億円について「財政再建の余剰分であり、東京の財政は痛くもかゆくもない」「余剰分で夢を見ようと思って(招致活動を)やったのは間違いじゃない」と述べた。


 活動費は3年分で、税金のほか、企業からの寄付など民間資金50億円が含まれる。使途を公表する方針を打ち出している石原知事は会見で、外部監査による検証も検討する考えを示した。


 一方、ブラジル・リオデジャネイロの招致活動に関して「ブラジルの大統領がかなり思いきった約束をアフリカの(国際オリンピック委員会委員の)諸君としたようだ」などと発言し、リオの招致委員会が反発している問題については、「私の言ったことが正しく理解されていない」「(ブラジルが)悪いと言っているわけじゃない」と釈明した。

 100億円の税金を使っておいて、「東京の財政は痛くもかゆくもない」だと? まず言うまでもなく、100億円の金は石原らが無駄に使ってよいような金額では全くない。それだけの金額があれば、例えば雇用対策のために何ができただろうか。東京都庁がある新宿では毎夜、実に多くのホームレスが段ボールを広げて寝ている。今回の暴言は、石原はこういう人々のことをなんとも思わないと言っているように私には聞こえて仕方がない。


 また、石原は、ブラジルの招致活動について自分の発言が正しく理解されていないなどと言っているが、自分で自分の言ったことを理解していないようであり、全く無恥な輩である。参考までに、そのあたりを報じた朝日新聞の記事を引用しておくことにする。

石原知事発言「裏取引」にリオ招致委、非難の声明
2009年10月6日20時41分


 16年の夏季五輪開催地に選ばれたブラジル・リオデジャネイロの招致委員会は5日、東京都の石原慎太郎知事が、ライバル都市のイメージを損なう論評を禁じた国際オリンピック委員会(IOC)の規則に抵触する発言をしたと非難する声明を出した。IOCに正式に抗議するという。


 リオの招致委は朝日新聞の取材に、「4日の記者会見で『裏取引』があったかのように言及した部分だ」と説明した。


 石原知事は4日の会見で、「例えば、ブラジルの大統領が来てですね、聞くところ、かなり思いきった約束をアフリカの(IOC委員の)諸君としたようです。それからサルコジ(仏大統領)がブラジルに行って『フランスの戦闘機を買ってくれるなら(五輪招致で)ブラジルを支持する』とか」などと発言。開催地選考に関しても「目に見えない非常に政治的な動きがあります」と話していた。


 リオの声明について、都幹部は「人づての情報を確認せずに口にした知事は、やや軽率だったかもしれない」と声を落とした。別の幹部は「東京は20年五輪に再挑戦するかもしれない。IOCの心証を損ねないよう、誠実に対応しないといけない」と話した。


 IOCは、開催候補都市に向けた行動規範で「ライバル都市のイメージを損なう恐れのある論評を慎まなければならない」としている。(平山亜理=リオデジャネイロ、岡雄一郎)

ブラジルとフランスの間でどういうやりとりがあるか、私は知らない。しかしここで問題なのは、言ってみれば週刊誌に載るようなゴシップ的な記事のたぐいの話を、政治家が公けの場で発言してしまうという、分別のなさなのである。石原慎太郎という人間には品格がないから、場もわきまえず見境なく発言してしまって、こういう結果を引き起こしてしまうのである。2007年の都知事選で石原慎太郎を支持した有権者はこの事実と向き合わなければならない。そして、このようなことは、果たして国際的に見て極めて恥ずかしいことでないかどうか、自ら考えるべきである。


 私一人ではどうしようもないが、しかし石原慎太郎都知事から辞めさせようという運動がもしあるなら、今すぐにでも参加したい気持ちである。こういう輩が都知事の座にとどまり続けるのを容認するのは極めて不名誉なことだということを、東京都民は身にしみて感じる必要がある。