宮城県、独自課税に追い込まれる


 もちろん、今さら都知事選ではないかもしれないが、都知事選との関連で本ブログが応援した浅野史郎氏に関連する記事が目に入ったので、とりあげておきたく思ったまでである。


宮城県、独自課税導入へ 法人事業税に上乗せ

2007年07月04日16時57分


 宮城県村井嘉浩知事は、産業振興と震災対策の財源確保のために、地元企業を対象に独自課税を行う方針を固めた。県税の法人事業税に上乗せする方式を採る。県財政が逼迫(ひっぱく)しており、地域経済の振興策を講じるために負担を求めざるを得ないと判断した。今秋にも県議会に条例案を提出する。実現すれば、自治体が法人事業税の超過課税を導入するのは約30年ぶり。


 導入が有力なのは「みやぎ発展税(仮称)」で、年間28億円の財源確保を見込む。来年度導入を目指して、近く概要を公表する。税率や徴収対象企業は検討中。
 「みやぎ発展税」は地震対策と産業振興に充てる。用途を狭く限定しない方針で、製造業の集積を進め、観光資源・知的財産を活用した商業・サービス業を強化。農林水産業の競争力向上にも使う。近い将来の発生が予想される宮城県沖地震に備えて施設を整え、防災体制の充実にも用いる。


 宮城県地方交付税の削減や公債費負担が響いて財政事情が悪化。村井知事が就任後の06年に作った財政再建計画によると、県が何も対策を講じない場合には06〜09年度に約2260億円の財源不足が生じることが分かった。社会保障費用などが膨らみ、再建策を実行しても09年度末には181億円の財源不足に陥る見通しだ。
 このため、村井知事は昨年から研究会を設けて新税導入の是非を検討。3月には事業税に上乗せする「みやぎ発展税」と、県民税に上乗せする「みやぎ環境税」の導入が「制度上可能」とする報告を得ていた。
 法人事業税は、企業が都道府県から受けるサービスの負担費用にあたる。宮城県などの地方で税収が伸び悩んでいる。


 〈法人事業税〉法人の所得などに課せられる都道府県税で、「財政上その他の必要がある場合」は標準税率を超えた税率で課税できる。標準税率は基本的に資本金1億円超は年間7.2%、1億円以下は9.6%。総務省によると東京、神奈川、静岡、愛知、大阪、京都、兵庫の7都府県が超過課税しており、標準税率に対する超過分は愛知県が3%で、他は5%。

 言うまでもなく、この記事で問題になっている公債費負担とは、浅野氏が知事の時代に積み上げられた公債の利子負担のことだろう。浅野氏は自分が知事をやっていた時代に県の借金が積み上がったことに対してさほど責任を感じていないように見えたが(「国の方針に従ったまでだ」というようなことを言っていた)、ツケは確実に回ってきている。


 氏が福祉政策を自分の専門分野とするのを悪いと言うわけでは無論ない。しかしそれと同時に、収支を極端に悪化させない金銭感覚を持ち合わせることは、重要ではないだろうか。福祉の名のもとに湯水のごとく散財することが許されるわけでは決してないのだから。


 石原慎太郎の方が金銭感覚において優れているなどということはもちろん全く正しくないのであって(新銀行東京の大赤字を想起するべきである)、その他の点も考えるなら、浅野氏を応援したことは決して間違いではなかったと思うが、しかし浅野氏とて完璧ではなく、批判されるべき点もある(しかもこの批判は、浅野氏が知事職に就く資格を有するかどうかを疑問視させかねない程度の重大な意義を有するものだと言ってよい)。そのことを今回の記事は示していると言えよう。


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。