都知事選いろいろ

 選挙戦もそろそろ終盤戦にさしかかってきたようで、気の早い人々(というわけでもないか)はもう投票を済ませているようだ。そういう人々にインタビューしたこういう記事を目にした。以下、その記事の引用に、誰に投票したかに関する私のやじ馬的勝手読み(もちろん独断と偏見に基づくものである)を添えてみた。

都庁のある新宿区。繁華街・歌舞伎町にある区役所で投票を済ませた会社員の男性(38)は「顔ぶれが豊かで迷ったが、世代交代した方がいいので」と前回都知事選で託した人から変更した。

 この人が投票したのは、現知事以外の候補だろう。

ボランティアに出かける途中で立ち寄った介護スタッフの女性(74)は「知事の仕事は八十歳まで大丈夫。年齢よりもリーダーシップ」と語った。

 この人が投票したのは明らかに石原現知事だろう。キーワードは「リーダーシップ」ということらしい。石原氏が「ババア」発言の主であることは、自分とは無関係と思っておられるようだ。

無職の男性(65)は「以前、タレント出身の人に投票して知事になったが、何もせず失望した。実績がないと信用できないな」と新人を選択肢から除外した。

 この人が投票したのは誰か、必ずしもはっきりしない。ひょっとすると、浅野候補も新人とみなしたかもしれないが、そうだとすれば、浅野陣営の運動になお問題があることになるかもしれない。なぜなら、他の候補と異なり、浅野候補は知事経験者であり、都知事選でこそ新人だが、経験の面では石原現知事以上の経験を有するからである。

若者でにぎわう渋谷区では、無職の女性(78)が候補者を選んだ理由について「個性が強い人がいい」ときっぱり。

 この人が投票したのは誰か、これだけではちょっとわからない。常識的に考えれば、「ババア」発言の主であるはずはないのだが。

都内に引っ越して初の都知事選という会社員の男性(24)は八日に仕事が入っているため事前に投票した。「身近な感じはしないが、せっかくなので投票した。公約よりも実行力で選んだ」

 この人が投票したのは、これまでの報道等から勘案すると、たぶん現知事だろうと思われる。本ブログの以前の記事で指摘したように、浅野候補には、宮城県知事として情報公開の徹底という、東京マラソン開催などよりも遥かに困難なことをやってのけた実績・実行力があるのだが、そのあたりはよく浸透しているのだろうか。

浅草など下町を抱える台東区無党派という事務員の女性(59)は「前回期待して投票した人は天狗(てんぐ)になった。もっと良い人がいればいいのだけど、人ではなく政党で決めました」と話した。

 この人が投票したのは、浅野候補かもしれないが、或いは共産党がはっきり推薦している吉田候補かもしれない。ただ、「前回期待して投票したが天狗になった」人とはもちろん石原都知事だろうが、彼にお灸を据えたければ、そのためには石原氏を落選させる必要がある。そのあたりまでよく考えての投票行動だったかどうかは、疑問なしとしない。

家業の食堂を手伝う女性(64)は「五輪は反対だけど、投票には影響しない。前は入れなかったけど、今回は強いリーダーシップに期待した」と理由を説明した。

 この人が投票したのは石原都知事だろう。どうも「リーダーシップ」という言葉はもっぱら石原氏支持の言葉として使われているように見える。言うまでもなく、情報公開の徹底や、食糧費の調査なども、強いリーダーシップなくしてはできないことであり、また浅野氏自身も、知事に求められる資質としてリーダーシップということを挙げていたのだが、その言葉はこのような人たちには届いていないようである。くどいようだが、この女性もまた、石原氏が「ババア」発言の主であることは、自分とは無関係と思っておられるようだ。



 次にこの記事。
慎太郎知事 ヤジにブチッ「うるさい、黙ってろ!」…8日都知事選
 殿様ご乱心と言うよりはむしろ、心理学で言う「抑圧」状態にあった彼の本性が再び噴き出してきたということだろう。この一件から見ても、再選されれば石原氏が再び傲慢にふるまうであろうことは、火を見るより明らかである。まあ、それを都民が望むなら、そういう結果になるわけだが。



 次にこの記事。
浅野氏「怒っている。だから戦う」…8日都知事選
 「人間、誇りを傷つけられた時はケンカをしなきゃいけない。私は今、怒っている。だから戦うんです」・・・遅きに失した感もなくはないが、しかし当然こうでなければならない。チャンピオンに対して怒りをぶつけない挑戦者などというものは形容矛盾なのだから。いよいよここへ来て浅野氏は挑戦者らしくなってきた。