石原都知事の「犯罪」

 昨日まで石原都政検証の記事の転記を行なってきたが、特にその最後の「石原知事発言録」が振るっていた。そこで、石原都政の一番の問題点を考えてみたい。


 石原都政の一番の問題点、それは、文学者である石原氏が振るう言葉にこそ存する。格闘家が自分のパンチなりプロレスの技なりを使って人を傷つけたなら、その格闘家は凶器を使った「犯罪」を行なったとみなされる。それと同様に、文学者(イコール、言葉の専門家であれ言葉の格闘家であれ、ともあれそのたぐい)である石原氏が言葉によって暴力を振るう場合、それもまた同じ意味で「犯罪」だと言ってよいのではないか。表題に掲げた「犯罪」とは、そのような意味で言ったのである。


 言葉によって平気で他人を傷つける人間。このような人間に、弱者に対する配慮を本質とする福祉を語る資格などあるはずもない。しかし、その石原氏が多くの都民の支持を得ている(この点に関する最も新しい調査としては例えばこちらを参照)ことは何を意味するのか。自分は福祉の厄介になどならない、さらには、福祉などに金をかけるな、という思いがあるからだろうか。後者はやや言いすぎかもしれないが、前者のような考えを持っていて、かつ石原氏を支持している人は少なくないだろうと思われる。ところが実際には、福祉の必要などということは、当人が思いもしない時に生じることが往々にしてあるのである。その時に低福祉の行政が待ち受けていたとして、それでは既に遅すぎることになりはしないだろうか。


 さらに言えば、石原現知事は、この種の暴言を振り回すことによって、強い知事との虚像を振りまいている。これもまた、詐欺的な言葉を弄しているという意味で、「犯罪」的と言えるかもしれない。


 これからもさらに石原都政の検証を続けていきたいと思う。


追記
 石原慎太郎がなぜ支持率が高いかについて興味深い分析を見たので、ここで言及しておきたい。言うまでもないが、それら分析の著者と本ブログの立場は必ずしも同じでないし、また、分析の著者相互でも立場は必ずしも同じでない。
 「Munchener Brucke - なぜ女性が石原慎太郎を支持?
 「ネット発 声を挙げよう blog (仮称) 石原都知事の支持率の読み方