アメリカの未曾有の金融危機を受けて、どうするべきか


 例によって断り書きから始めるが、私は経済学部の範疇に入る学部を出はしたが、市場原理至上主義を掲げ思想的に偏向しているいわゆる近代経済学などは全く学ぶ気にならず、ひたすらそういう授業を避け続け、ほうほうの体で卒業した口である。よって、経済には全くの素人であり、以下に書くことも素人の全くの妄言にすぎない。


 そう言った上で書くと、どうも本当に、アメリカの金融危機はとてつもないもののように思えてきた。アメリカという国がこれを機に沈没ないしは没落する事態は、今や決して空想物語ではなくなってきている。


 そう言う根拠があるのかと問われるなら、ないとも言えるし(というのも、自分の頭で経済情勢を理解して言っているわけではないので)、あるとも言える。あるというほうについてだけ、情報源を記しておくことにするが、例えば有名なメールマガジン田中宇の国際ニュース解説」である。このメールマガジンは最近やたらと陰謀説的な多極化の話を盛んに書いており、率直に言ってあまりまじめに受け止めていなかったが、しかしそうは言っても、今回の事態を既に3か月前にそれなりに予見した記事を出していることは見逃せない。そこで、この9月半ば以降の金融危機関連の記事
リーマンの破綻、米金融の崩壊
銀行破綻から米国債破綻へ?
全ての不良債権を背負って倒れゆく米政府
米経済の崩壊、世界の多極化
をたて続けに読んでみたが、改めてその深刻さが窺われる。というのも、田中氏の広範なサーヴェイが示しているところによれば、今アメリカで起こっているのは金融危機だけではないからである。つまり、金融危機のもととなった不動産不況は言うに及ばず、さらにアメリカの主要産業(とりわけ自動車産業)が不振であり、また、年金制度は運用の失敗で怪しくなってきている、と。


 また、次のようなブログがある。
Nevada(金融危機特集)
率直に言ってこのブログはかなりたちが悪い。というのもこのブログの著者は、金融通を自称しつつ、危機意識を煽るような情報を盛んに発信しているからである。金融市場ではそのような噂自体が金融機関の倒産やその他の危機の引き金になりうるにかかわらず、である。したがって、この情報を見る読者は、相当程度、まゆにつばをつけるなり自分で割り引くなりしてから、情報に接するようにしたほうがよいだろう。ただ、その上で言えば、やはり、出てくるのは次から次へと暗澹たる気分にさせる情報ばかりである。


 少なくとも、今後遠くない将来に米ドルが無価値な紙切れになる事態は、各人が想定の範囲内としておいたほうが良いように思われる。無論、そうならないことが望ましいのだが。


 ではアメリカは、破局的な事態を避けるために何をするべきか。もちろん、私ごときが何か言ったって仕方ないのだが、しかしやれることがあるとすれば、その1つは、イラク及びアフガニスタンにおける軍事介入を今直ちにやめにして、米軍を撤退させることである。自国の金融市場及び国内の状況がめちゃくちゃなのに、外国で散財を続けることなど、どう考えても理屈に合わなさすぎる。しかもその米軍がもたらしているのは、無益な死者ばかりなのだから。そして浮いた金で、とりあえず、住宅を失った人々に安価な(ないしは無料の)住宅を提供するとか、そのような国内向けの財政出動を行なうべきだろうと思われる。


 では日本はどうするべきか。本来ならば米国債を買うのはやめにするべきだろうが、それを日本がやると、それこそアメリカの没落が早まる危険性がある。しかしもちろん、紙くずになる危険のあるものをやたらと買い続けるのは、どう見ても賢明とは言えない。名案はないが、例えば、バブル期に日本の企業がアメリカの不動産を買いあさったことがある。あれと同じようなことをして米ドルをアメリカに還流させることをするぐらいしか、方法はないのではなかろうか(無論私はわからないで言っているのである)。


 手持ちの米ドルをどうするかはともかくとして、今やアメリカですらイラク及びアフガニスタンから撤退すべきなのであるから、まして日本は、イラク或いはアフガニスタンでのアメリカの戦争(軍事攻撃)に今さら加担するべきでは全くない。むしろアメリカに今や説得して、イラクアフガニスタンでの軍事行動をやめさせるように仕向けるべきである。今、破綻国家になる恐れが最も高いのは、ほかでもないアメリカなのだから。そしてアメリカが破綻した時、その影響は計り知れない。ゆえに、日本はアメリカの破綻を食い止めるため、しかしもちろん同時に、万が一アメリカが破綻してもそれに巻き込まれないために、行動する必要がある。