不祥事の巣窟、防衛省?


 題には「?」を付してはいるが、率直に言えば「?」を取ったほうが良いのではないかという思いも強くある。なぜかと言えば、いわゆる「軍事機密」にかかわる省であるため、防衛省をめぐる契約であれ予算執行であれ、金の流れは不透明になりがちだろうと思われるからである。水がよどむところには汚物もまた溜まる。


 言うまでもなく、先日の記事で書いたように、防衛省(当時防衛庁)の情報隠し(その結果としての、政治家をコケにした態度)は目に余るし、さらに実力事務次官だった守屋氏の接待疑惑は、どう考えてもそこで終わらせてよいはずがない。あれだけ接待を受けておいて、便宜の一つも図らなかったわけはないのであり、収賄であれ何であれ、必ずや犯罪が出てくるのではなかろうか。当然ながら捜査はそこまで、すなわち関係者の逮捕にまで進んでもらわなければならない。


 その上で言えば、防衛省をめぐる今回の不祥事は、外から見えにくいこの役所を政治がどうやって統制するかという問題を考える絶好の機会であると思われる。この機を逃さず、どうやってこの役所の透明度を高めるか(もちろん、国の安全保障にかかわる部分の機密――というようなものが日本にあるならば――はこれを保持しつつ、である)、政治家はぜひ知恵を絞って考えてもらいたいものである。例えば、一般競争入札がなるべく広く用いられるべきことは言うまでもないが、それに限らず、随意契約によるのであれ、契約が締結された後についてはできる限り情報を公開して、事後的なチェックを強化するといったことができるのではなかろうか。防衛省内部の不祥事を自ら捜査し摘発する権限を有する機関を省内に設けることも一法かもしれない(例えば国税庁にはそのような組織があると聞く)。給油活動の継続は日本の安全保障にとって重要だなどという馬鹿げた議論をする暇があるなら、こういう問題をこそ真剣に考えろと、特に防衛問題にかかわる政治家連中には(大して希望できないが)希望しておきたい。


 この点の重要性は計り知れない、ということをここで強調しておきたい。周知のように、アメリカではもはや政治と軍需産業がこの上ない癒着を遂げており、対イラク軍事攻撃も、チェイニーのハリバートンや、ブッシュ政権と様々に結びついているブラックウォーターのような軍需関連企業を儲けさせるだけにしかなっていないのではないかという疑念がある。そんなことのために他国の国民が万単位で死んでいるのである。日本は決してアメリカのようになってはならない。


追記
 防衛省の発注をめぐっては朝日新聞の次の記事を目にした。備忘のために引用しておくことにする。

防衛省発注、9割が随意契約 山田洋行
2007年10月24日08時18分


 軍需専門商社「山田洋行」(東京都港区)が02〜06年度の5年間、防衛省(庁)から受注した装備品納入の契約のうち、9割超が競争入札によらない随意契約だったことが23日、同省が民主党に提出した資料で明らかになった。全体の契約は中央調達分だけで計117件、約174億7000万円。省全体の随意契約率は8割前後で推移している。


 資料によると、全体に占める随意契約の内訳は02年度が36件のうち35件、03年度が28件のうち27件、04年度が18件すべて、05年度が20件すべて、06年度が15件のうち12件だった。割合で見ると、件数では約96%(112件)、金額では約94%(約164億8000万円)となっている。最も高額だった随意契約は、05年2月に結んだ「次期輸送機用エンジンシステム」の約26億円。


 防衛施設庁をめぐる官製談合事件に揺れた06年度は、15件すべてが一般競争入札の対象だった。しかし防衛省によると、最終的に12件が、入札者や落札者がいないなどの理由で随意契約になったという。