なめられている自民党政治家、その「政権担当能力」?


 朝日新聞のこの記事についてだが、

海自給油量誤り 大臣答弁前に伝えず 防衛省内に検討会
2007年10月22日14時17分


 海上自衛隊の補給艦が03年2月に米補給艦に行った給油に関して、海上幕僚監部が03年当時から給油量が20万ガロンではなく80万ガロンだったことを把握しながら隠蔽(いんぺい)していた問題で、防衛省は22日、調査報告書をまとめた。この問題で、福田首相(当時は官房長官)は同年5月9日に、石破茂防衛相(同防衛庁長官)は15日に20万ガロンだと説明したが、同幕僚監部内で誤りを把握したのは5月9日だったことが分かった。政府部内で誤りを把握しながら、誤った説明をしていたことになる。


 福田首相は22日昼、首相官邸で記者団に対し、「とんでもないことをしてくれた。その部署の責任者の判断でやったと思うが、組織全体が疑われる。私まで疑われる」と述べた。同省は22日、石破防衛相を中心として、シビリアンコントロール文民統制)を確保するための検討機関を設置することを決めた。


 同省は同日午前、03年2月25日に海自の補給艦が行った米補給艦への給油量の訂正と、航海日誌を破棄した問題に関する調査結果について与野党に説明した。


 報告書によると、インド洋に派遣された海上自衛隊の部隊指揮官からの電報を03年2月26日に海上幕僚監部防衛部運用課が受領。その後に運用課で給油量をパソコンに打ち込む際に、米補給艦ペコスと米イージス駆逐艦ポール・ハミルトンへの給油量を取り違えて入力した。


 実際にはそれぞれ80万ガロン、20万ガロンだったにもかかわらず、ペコスへの給油量を「20万ガロン」と間違えた。


 03年5月6日に、キティホークの空母戦闘群の司令官が、日本側から米補給艦を通じて計80万ガロンの給油を受けたと記者会見で明かしたことを受け、5月8日に石川亨統合幕僚会議議長(当時)が記者会見。同議長は、誤って入力された記録を元に「海自から米補給艦に約20万ガロンの補給を実施した」と語った。


 海上幕僚監部内では5月9日に、防衛課長や装備部需品課の担当者らが誤りに気づいたが、上層部や内局への報告を行わなかったという。報告書では、その理由について、直接の担当部局でなかったことや、燃料転用問題が沈静化しつつあったことが原因だとしている。


 政府は、幕僚会議議長の会見内容をもとに応答要領を作成。福田官房長官(当時)が5月9日の記者会見で、石破長官(同)が15日の国会答弁で「約20万ガロン」と説明し、イラク作戦への燃料転用を否定した。


 同省では、「担当課長レベルで重大な情報の取り違えに気づいていたにもかかわらず、報告が一切行われなかったことは、文民統制にかかわる極めて重大な問題」とし、石破防衛相をトップとする再発防止のための検討委員会を設置した

 野党を批判するのに口を開けば二言目には「政権担当能力」と言う輩が世の中にはごまんといる。そういう連中が身にしみて知るべきことが今回の一件なのではないだろうか。すなわち、自民党の政治家は官僚になめられきっており、官僚連中が持っている情報を正しく受けることすらできておらず、それを今回の一件で民間団体や野党から指摘されるまでわかっていなかったのである。これがいったい「政権担当能力」を持つ政党のザマだろうか。


 繰り返すが、自民党の政治家は官僚になめられきっている。長年政権与党にある政党の政治家にしてこうなのである。野党の政治家においてをや、ということは言うまでもあるまい。日本の政治のガンがいずこにあるかということもまた、この一件を通じて明らかになったのではあるまいか(読解力のない人のために書いておけば、もちろん官僚或いは官僚機構こそがガンなのである)。


追記
 これまた言うまでもないかもしれないが、なぜ政治家が官僚になめられるか、その理由の一端を例えば日本経済新聞の次の記事が示している。

首相、土曜日返上で勉強会・秘書官「宿題たくさん」
 福田康夫首相は20日、皇居で皇后陛下の誕生日祝賀に出席した後、都内のホテルに直行し、秘書官5人と昼食を兼ねた勉強会を開いた。


 「土曜日返上」の勉強会には「これまで国会答弁など目の前の議論しかできていなかった」(首相周辺)との反省がある。社会保障や予算編成への対応など内政課題を中心に、約2時間半、議論した。


 秘書官がそれぞれの担当分野について問題提起し首相が見解を述べるという形式。ある秘書官は終了後、「首相からたくさん宿題をもらった」と苦笑していた。(23:01)

 総理大臣になってから官僚をつかまえて泥縄式のお勉強である。これじゃあ話にならない、のである。


追記2
 最新の世論調査で福田政権が支持率を10%以上下げるという結果が出た。記事はこちら

毎日新聞調査:内閣支持率は46% 11ポイント下落


 毎日新聞が20、21の両日に実施した全国世論調査(電話)で、福田康夫内閣の支持率は46%で、発足直後の9月25、26日に実施した前回調査から11ポイント下落した。「支持しない」と答えた人は前回比5ポイント増の30%だった。男女別では、男性は支持39%、不支持37%、女性は支持51%、不支持24%で、前回比の支持率下落幅は男性13ポイント、女性8ポイントだった。また、不支持理由で「首相の政策に期待できないから」が11ポイント増え46%になったのが目立った。


 政党支持率自民党が前回比5ポイント減、民主党が1ポイント増で、ともに27%で並んだ。【古本陽荘】

 「鬼の首を取った」と喜ぶのは早いだろうが、しかし国会中継などを少しでも見ていれば、福田政権が安定感のある政権どころではないことはすぐにもわかるはずである。政治資金の問題に関するいい加減な答弁など、小泉政権に劣らずひどいものだと評してよい(安部へなちょこ坊ちゃん政権は論外として)。


 ともあれ、野党はこれに浮かれることなく、着実に政府・与党の不始末を追及してもらいたいものである。