現下の大不況を乗り切るにはワークシェアリング――まずは公的部門から


 経済について書く場合、本ブログの書き出しはいつも同様である。すなわち、私は経済に関するド素人だと言ってよいが、しかしそのド素人であっても、書きたいこと、書かなければならないと思うこともあるのである。


 先日の記事で、政府が出した遅すぎ、ピントはずれの「生活防衛のための緊急対策」を批判する中で、今やるべきこと(雇用対策)の1つとして、公的部門でのワークシェアリングということを書いたところ、同一人と思われる人から繰り返しコメントが来た。たぶんご自身公務員か何かなのだろう、公務員の賃下げが民間の賃下げをも惹起すると言って、要するに公務員の賃下げは良くないとの主張のみ。私に言わせれば既得権益の擁護の典型と言えるような主張を展開していた。


 ところが、経済情勢が今やどんどんひどくなりつつあることは、あらゆる所からの情報で報じられている。真面目な国会議員は地元の情勢にも詳しいもので、私は政治家のブログなどを少なからず閲覧するようにしているが、例えば共産党国対委員長の穀田恵二議員の12月20日づけの活動日誌には次のようにある。

丹後地方の機械・金属関連企業は大打撃−経済危機から中小企業を守れ!


本日、早朝から自宅を出発して、京都府北部・京丹後市峰山町の丹後機械工業協同組合事務所を訪問し、10月以降の経済危機の下で大打撃を受けていると言われる丹後地方の機械・金属関連企業の状況について聞き取り・調査を実施しました。


丹後機械工業協同組合の古川康夫理事長からは「大変厳しい状況だ。銀行などには(融資のランクが下がると困るので)『3割減った』と説明しながら、実態は『3割に減った(7割減った)』という会社も多数あるというおどろくべき実態が語られました。


午後は、丹後地域職業訓練センターの会議室に場所を移して、『こくた恵二と機械金属経営者の懇談会』と題して、丹後地域で金属加工業を経営している中小・零細企業の「社長さんたち」と懇談をおこなう。ここでも、おどろくべき実態が当事者の口から次々と語られました。


「ホンダが生産調整をおこなうという報道が発表された翌日に、ホンダからの仕事が9割キャンセルになった」「10月11月の売り上げは、それまでの半分以下。仕事料も6割ぐらい」「古い機械のローンを返し終わって、新しい機械を入れたとたんにこの不況。返済の見通しが立たない」といった、急激な受注減の様子や、「私のところは6人雇っている、みんな地元の顔見知り。簡単には首は切れない」「中小企業にとって人材が最も大事。技術を覚えてもらうのに年数もかかるし、どんなに不況でも辞められてしまったら次の好況時に仕事が受けられなくなる。自分の給料がたとえゼロでも従業員の給料を払うのが中小企業の経営者だ」という話は、減益とはいえ今でも黒字の大企業がいとも簡単に『派遣切り』『雇い止め』を大規模におこなっていることと実に対照的だ。
(以下略)

 このような窮境にある民間部門に雇用創出の余裕などないことは明らかである。であれば、今はやはり、公的部門での雇用創出がまず図られるべきである。そして、地方自治体などが軒並み財政赤字を抱えていることを思えば、人件費の総額を(増加しないよう)抑制しつつ雇用創出を図るべきであり、したがって、一人当たりの単位時間賃金を切り下げる形でのワークシェアリングしか方法はないのではないだろうか。


 もちろん、他の政策をやるななどとは言わないが、公的部門でのワークシェアリングは今早急に実施されるべき政策の筆頭に挙げられると言ってよいのではなかろうか。(なお、言うまでもなく、好況時になれば、民間部門が雇用を創出するようになるので、公的部門の人員は削減していくことが望ましいのだが。)



 追記
 全くの備忘までだが、「高知白バイ事故」の番組のリンク
http://www.tv-asahi.co.jp/d-sengen/story.html?07
は、12月22日限りとなっていたが、今(12月23日午前1時30分すぎ)のところまだ閲覧可能なようである。私が言うまでもなく、多くの人が知るべき、日本の警察・裁判史上の汚点と言うべき出来事であり、しかも(冤罪で捕まった被疑者が実刑に処せられたことで)現在進行中の出来事である。


 
 追記2(12月24日)
 本文中で「同一人と思われる人から繰り返しコメントが来た」と書き、そのコメント内容を要約したところ、何やら長文のコメントを再度載せてきた。しかし、本ブログの過去記事など一切目にしないで書いたらしく、あまりにひどい内容だったので、管理者権限で削除させてもらった。


 証拠として、その削除したコメントの一部を掲載し、批判を加えておくことにする。

もなか
『(前略)
まず、貴殿の主張は、要約すれば、
「未曾有の大不況で解雇された派遣社員の職を
公的部門のワークシェアリングをはかることで確保せよ」
とのことだと思います。
ここで黙殺されているのは言うまでもなく、
派遣社員を容赦なく解雇しているグローバル大企業の責任です。
(後略)』(2008/12/24 22:51)

 何を言っておられるのやら。グローバル大企業の責任については別の過去記事でちゃんと書いてあるではないか。何とかも休み休み言ってもらいたいものである。こういう方のコメントに一々つき合うつもりは当方には全くない。