自民党の救い難い鈍感さ――「雇用関連政策の司令塔」、何と初会合


 表題の件を伝える朝日新聞の記事を見て自分の目を疑ったのは私だけだろうか。引用しておくと、

自民・生活防衛緊急対策本部が初会合
2008年12月24日23時30分


 自民党は24日、雇用関連政策の司令塔となる「生活防衛緊急対策本部」の初会合を開いた。本部長の麻生首相は「(現状は)異常な事態で何が起きるか予想を超えた状況にある。情報を共有しておく必要がある」と語った。


 対策本部は当面、内定取り消しや非正規労働者の失業など雇用の実態を調べ、資金繰りの悪化など中小企業が直面する課題の対策を検討する。

 今ごろ「雇用関連政策の司令塔」の初会合などをやってどうするのか。しかも、この対策本部とやらは、当面「雇用の実態を調べ」、また「資金繰りの悪化など中小企業が直面する課題の対策を検討する」のだという。調べるといい、検討するといい、全くもって遅すぎである。


 雇用については今さら言うまでもあるまい。既に日々続々と解雇(非正規労働者の雇い止めを含む)が行なわれつつある。これを単に調べるだけでは全く不充分であって、既に火事は起こっているのだから、消火をする、すなわち現に対策を打つのでなければならない。この遅れは人命にかかわることであり、政府・与党の不作為は何としても許しがたい。


 また、中小企業の資金繰りの悪化というが、その山の1つは言うまでもなく年末である。四半期の期末であり、年末であり、年度末と並んで資金繰りの上では重要な時期である。対策を打つのなら本来この時期に間に合うように対策を打たなければ意味がないが、そのような対策を政府・与党は何ら用意していない。拱手傍観しているだけである。この遅れもまた、いかに非難しても非難しすぎということはない。中小企業の経営者にとっては、会社が倒産してしまえば、まさに元も子もなくなるのだから。もちろん、そこで働く人にとっても同様である。


 今回の世界的経済危機において、日本はまだしも軽傷だったと言われてきた。が、その負傷の度合いが、以上見てきた政府・与党の無策によって、重傷へと深まるかもしれない。馬鹿な政府を持つと全くろくでもないことになる――日本国民は、かつて(2005年の総選挙において)馬鹿な政府・与党を選んだばっかりに、ここで高い授業料を払わされることになるのかもしれない。