再度言う、アメリカの新政権誕生に合わせて日本も新政権を


 同じことを繰り返し書くのはいかにも芸がないが、しかし事は芸の問題ではないので、改めて書いておきたい。アメリカの新政権誕生に合わせて日本も新政権を樹立することが極めて重要である。首相の麻生太郎が魯鈍であり首相としての適格性をあまりにも欠いているため、今の麻生政権には、これから起こるであろう国際政治の激動に際して、日本の舵取りをうまく行なうことが全く期待できないからである。


 今の自民党がいかにダメかということは、加藤紘一氏の次の言葉からもわかる。すなわち、氏のWebサイト上の質問コーナーに載った
渡辺喜美氏が、民主党提出の衆院解散を求める決議の衆院本会議に、賛成しました。このことについて、どうお考えですか?」
という問いに対して、加藤氏の答えは次のとおりである。

今、麻生政権の支持率低下にともない、出口のない閉塞感が自民党を覆っています。心情的には渡辺さんの造反はよく分かるのですが、多くの議員は、「彼は圧倒的に選挙に強く、民主党の候補者もいない。恵まれているから、ああいう行動がとれるんだ。自分たちにはムリだ」という諦めにも似た羨望のようなものが漂っているのを感じます。だから、彼の動きはなかなか広がっていかないでしょう。

 つまり、先の12月24日の衆議院における、野党提出の解散要求決議案の採決の際に、賛成した自民党議員が渡辺喜美氏一人だったのは、渡辺氏が選挙に強いからできたのであって、自民党の他の連中は選挙にひょろ弱く、反党的な行動をして自民党を除名されでもしたら選挙を戦えないから、渡辺氏のように行動できないのだ、というのである。どこまでバカなのか、こいつらは、と思わざるをえない。今自民党を出なかったら、それこそ、選挙が戦えないことは明白であり、むしろ今こそ離党して、新党を立ち上げるべきなのではないだろうかと、私などなら思うところだが。


 自民党が弱いのは、長年期待している政権交代のためには好都合であり、それ自体としては歓迎してよい。
(但し、その先を言うなら、民主党が長期政権を築くのは、これは民主党自民党化をもたらすだけであり、決して望ましくない。したがって、自民党は野に下っても、数年後には再び政権を狙えるようになってもらわないと困るのであり、その意味からは、自民党の弱体化が一方的に進むのはあまり喜ばしくない。)
 しかし今問題なのは、そういうちっぽけな話ではない。これから世界の政治が大きく動こうとしているのである。そのような時にあって、どうして日本は、愚劣極まる首相を放置しておいてよいだろうか。良いわけがないのである。国際政治の場裏では、それこそ生き馬の目を抜くようなことが次々起こる。しかも、これから世界が突入することになるかもしれないのは、アメリカの国際的地位の相対的低下、そしてそれに伴って、国際政治の地図の大幅な塗り替え、といったような(もちろん将来のことは正確には誰にもわからないのではあるが)、劇的な変化の時代である。政治的人材の粋、経済的人材の粋等々がそれぞれの場で全力を発揮してようやく、日本という国の国運も開けてくるかもしれない――我々はそのくらいの気構えでいなければならない、と私は思う。今が100年に1度の危機だと言いながら、来年度予算案を成立させればそれで良いなどと考えるような愚劣極まる政権にこの国を任せておくことは、ほとんど自殺行為だと言うべきではあるまいか。自殺行為でなくとも、墓穴を掘る行為である可能性は十二分にある。


 日本の政治家(特に与党の政治家)には危機意識が薄すぎるのではあるまいか。そもそもその時点で政治家失格なのだ、ということを知るべきである。