自民党総裁選報道へのけじめは?

 今年2006年で最大の政治イベントとなるだろうと、年初から騒がれ続けた自民党総裁選がついに告示され、三人のさえない候補者が出揃った。

 これをとりあげる各紙の社説もまたさえない。

 「権力闘争の色彩は薄い。「自民党をぶっ壊す」と叫んだ小泉首相のようなメッセージもない。かつてなく緊張感に乏しい自民党総裁選が告示された。」

 「自民党総裁選が8日告示され、安倍晋三官房長官谷垣禎一財務相麻生太郎外相の3氏が立候補を届け出た。既に党内の大勢は安倍氏支持に傾き、これまでの3氏の論戦も全く盛り上がらない。だが、総裁選は実質的に首相を選ぶ場だ。消化試合で終わらせるわけにいかない。」

 「自民党総裁選を“消化試合”という声があるが、そうではあるまい。これからが本番だ。」

 「五年半の小泉時代を継ぐ自民党総裁選が告示された。安倍晋三氏の独走は揺らぎそうもなく、盛り上がりを欠くこと甚だしいが、論戦まで大ざっぱな消化試合では禍根を残す。何より党が暗くなる。」


 自民党が暗くなるかどうかなど、こっちの知ったことではないが、いずれにせよ低調極まりないことは確かである。


 しかし、もともと候補者にろくなのがいないことはわかりきっていた。タマが低劣なのだから、どうして低調でない総裁選などが予期・期待されえただろうか。


 靖国問題との関連で、福田元官房長官の去就を気にする向きが相当あったが、これも最初からおかしい。なぜなら、福田は官房長官当時、小泉が靖国に行ったことを受けて記者会見で質問された時に、「首相個人の問題だ。何がおかしいのか」と言っていたからである。もし問題が国政運営にかかわるほどの重要問題であると思っていたのなら、そして小泉を批判するべきだと思っていたのなら、福田はこの時にこそ批判しているのでなければならなかったはずだ。マスメディアは期待する相手を全く間違っていた。(言うまでもなく、本当に期待するべきだった人物は、加藤紘一氏である。)


 そして、もともと低調な総裁選しか期待できなかったのであれば、この実に馬鹿馬鹿しい出来事を2006年の最大の政治イベントに祭り上げてこれまで大騒ぎしてきたマスメディアの報道は、いったい何だったのだろうか。


 マスメディアには、これまでのインクと紙と電波の壮大な無駄についてきちんと反省し総括をしてもらわなければならない。