小沢民主党代表の辞任――辞めただけでは党勢回復にはつながらない


 突然の辞任となったわけだが、本ブログでは既に以前から、小沢氏は代表を退いたほうが民主党にとっては良いと主張してきた(それほど力を込めてではないが)。但し誤解のないように言っておくと、小沢氏が秘書逮捕の件で法的責任を有すると考えているからでは全くない。法的には小沢氏側は全く罪なしであり、問題ないと私は思う。改めて言うまでもなく、今回の秘書の逮捕容疑となった件については、政党支部献金を受け取っていれば何ら問題なかったわけであり、問題がないからこそ資金管理団体で受け取った、と主張している小沢氏の説明は全く納得がいくからである。代表を退いたほうが良いと考えたのは、法的観点からではなく、政治的観点からの主張である。つまり、秘書逮捕の件を民主党をめぐる争点の中心から外したほうが良いという政治的配慮から、そのように主張してきたつもりである。


 ともあれ、民主党は新たな代表を選ぶこととなった。これについては、本ブログの立場ははっきりしている。つまり、菅直人代表代行が次期代表になるのが最も望ましいと私は思う。理由はいろいろあるが、まず何より、氏の厚生大臣としての実績(官僚の抵抗を排して薬害エイズ問題をめぐる実質的進展を可能にした、等)から見て、菅氏なら官僚の抵抗を排していわゆる「官僚主権」から「国民主権」への転換を実現できるだろうと期待できるからである。また、これまた重要な観点だと思うが、菅氏は代表として行なった選挙(1998年参院選、2003年総選挙)で一度も負けていない。加えて、菅氏には、今日の政治リーダーに必要な重要な資質である構想力が豊かに具わっている。これら諸点を考慮するなら、菅直人氏こそが次期代表、そしてもちろん、次期首相にふさわしいと思われる。


 次期代表についてはともかくとして、誰が代表になっても、民主党がやるべきことは実にたくさんある。小沢代表が辞めただけでは民主党の党勢は回復しない、それほどに、今回の支持率低下の影響は大きいと思われる。そもそも、民主党を支持する人々の中の少なからぬ割合が小沢代表の留任・続投を支持しており、そのような人々にとっては、小沢氏の辞任はマイナスでしかなく、その結果民主党支持をやめる人が出てきても不思議ではないからである(もちろん、本ブログ自身は、政権交代に期待するゆえに民主党に期待するという立場に立っているので、小沢氏が辞めたからといって民主党支持をやめるわけではもちろんないが)。


 次期代表のもとで民主党は、マニフェストを策定するなど政策を明確化することがまず早急に必要であり、その中には、次の総選挙で訴えるべき主な論点、すなわち年金をめぐる問題や、政治献金をめぐる問題や、世襲制限に関する点、さらにその他にもあるだろうが、そういった主要な論点を盛り込む必要があろう。さらに、既に述べたように小沢氏は法的には全く罪なしなのだから、民主党はその立場から、検察を批判しかつ検察にちゃんとした説明を求めることを、これまで以上に頻繁に行なってよいと思われる。


 反転攻勢はとにかく矢継ぎ早に行なう必要がある。代表選が終わったなら民主党は直ちにそのようなことへと向かってほしいものである。