臓器移植問題に関して


 或るところで聞いた情報を備忘的に記すにすぎないが、長野日報において次のようなニュースが少し前に報道されていたらしい。まず引用しておく。

社会 : 乳児の拡張型心筋症 複数症例で心不全改善・県立こども病院
更新:2009-4-4 6:00


 県立こども病院(安曇野市)は3日、重度心臓病の拡張型心筋症について、従来は成人対象のペースメーカー治療「心臓再同期療法(CRT)」を乳児に応用し、今春までに複数症例で心不全を改善する効果を得たと発表した。心臓移植が唯一の根治手段とされる現状だが、薬物治療との併用で症例と研究を蓄積させ、CRTの有用性を確立していく構えだ。


 同療法には幅4.5センチ、重さ約50グラムの小型ペースメーカーを使用。患者の左心室と右心室、右心房の心筋にペーシング装置と接続した電極付きリードを縫い付け、心臓の収縮のタイミングを一致させて心不全改善につなげる。


 同病院循環器科・心臓血管外科の医療チームは2004年から、生後8―12カ月の乳児に計5例の治療を実施。元々心臓がほぼ停止状態で死亡した1人を除き、4人は治療後に薬物の投与量が減った上、いずれも帰宅可能なまでに回復した。1例目の男児は、薬物治療を続けながら小学校に通学しているという。


 乳児だと10万人に2.6人という発症率の低さ、処置の難しさなどから、これまでに症例は全国で10件弱と少ない。ただ同病院では「各診療科が集約された施設での治療が条件となるが、全国の小児系病院や大学病院を探せば40余りの施設で治療が可能」と推測し、協力した取り組みの必要性を訴える。


 会見した安河内聡・循環器科部長は「ペースメーカーの身体適用が条件ではあるが、最終手段の移植を待たずに、薬物治療と並行できる有効な療法。早期実施例ほど改善効果も高い」と話した。年内にも学会を通じて全国規模の調査を行い、症例および改善事例をまとめる方針。


 拡張型心筋症は、心臓を動かす心筋が伸び血液循環機能が低下する難病。臓器移植法により15歳未満のドナーからは臓器提供ができず、重症だと海外での心臓移植に頼らざるを得ず、乳幼児の治療は強心剤などの薬物治療が主流となっている。

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 記事の最後に書いてあるように、今とりわけ政治の場で問題になっているのは、子どもの臓器移植(特に心臓の移植)をどうするかという点である。それだけに、この記事が語っている治療法、すなわち移植によらない治療法が試行されそれなりに成果を収めつつあるということは極めて重要なのではないかと思われる。


 なお、脳死臓器移植に関する本ブログの立場は、既に過去記事に記したのでここでは繰り返さない(リンクはこちら)。一言で言えば、私は脳死臓器移植には断然反対である。


 最後に、この記事で紹介されていた長野県立こども病院の関連のページへのリンク(こちら)を掲げておく。