検察の極めて政治的な不作為


 小沢民主党代表の秘書の逮捕・起訴以来、日本の政治が検察発の乱気流によって混迷の度を深めていると思うのは私だけだろうか。


 同秘書が起訴されて早四週間近くが経つが、初公判の日程といった、起訴の次に当然来るべき動きが何も報じられないのは奇怪極まる。


 同じく気になるのは、小沢氏の場合より悪質な可能性がある自民党議員や、政治資金規正法違反の疑いが濃厚な千葉県知事の場合に、検察が動く気配がないことだ。与党議員の場合については、関係者の在宅起訴の可能性も取りざたされるが、仮にそうなっても小沢氏側の場合との不均衡は無視できない。そしてこれまでのところ、検察には何らの動きも見られない。


 検察は捜査が政治的影響を与えるのを嫌うという。それはそうあるべきだろうが、しかし現状では検察は、与党側或いは県知事という権力者側に対して不作為を決め込み、かつ小沢氏秘書の事件の店ざらしを続けることで、結果的に極めて政治的な動きをしていると言わざるをえない。


 検察は自らの不作為によって社会における公正さを危うくしている感が否めず、憂慮に堪えない。