政治献金のあり方に関して民主党(野党)が打ち出すべきは、個人献金への税制優遇


 小沢氏の代表留任を決めた民主党への逆風が続いている。前回の記事で書いたように、小沢氏の留任というのは最善の選択ではなかったと私は思っているが、小沢氏が代表を辞めるにせよ辞めないにせよ、今回の検察の捜査が暴走と呼ぶべきものだったことは明らかであり、小沢氏の法廷闘争を民主党は断然バックアップするべきである。そして他方で、そのこととは別に、民主党は、政治献金のあり方についてという問題を始めとして、今の政治が抱える様々な問題について自らの立場を鮮明にし、再び与党に対して攻勢へと転じるべきである。


 この場合もちろん、「そのこととは別に」という状況を十全にするためには、小沢氏が代表を辞任するほうが明らかに好都合なのだが、その点は民主党自身が決めるべき問題である。小沢氏が代表であり続けるなら、民主党が政治献金のあり方について何か言ったとしても、「で、小沢氏の問題はどうなるんですか?」とメディアはしつこく尋ねてくるに相違ない。そして民主党は、小沢氏が代表であり続ける以上、そのような質問に丁寧に答え続けなければならないだろう。これは、小沢氏を代表に留任させることによって民主党が支払うべきコストである。


 ともあれ、政治献金の今後のあり方について、民主党は(或いは、野党一般は、と言ってもよい)どういうことを主張するべきか。やはり私は、民主党は企業・団体献金の全面禁止(さらに企業・団体によるパーティー券購入も禁止とする)を打ち出すべきだと思う。政治とカネの問題で、今や地に堕ちている政治に対する評価を回復させるには、このくらいのことを言う必要があるように私には思える。つまり政治家は、(自らが獲得する収入の他には)基本的に政党助成金と個人献金によって政治のための資金を獲得するように努力するべきである。


 ただ、これだけだと、それこそ一部の金持ちしか政治家になれないことになる可能性がある。そこで、(諸外国と比べて日本が低水準にあるとされる)個人献金の規模をもっと拡大する必要があり、そのためには税額控除の拡充、具体的には、(寄付額の上限を設けた上で)個人献金分を全額税額控除とするのが望ましいと思われる。


 実は、これは私の独自な考えではない。民主党の論客、長妻昭衆議院議員夕刊フジの3月19日づけコラム
http://naga.tv/masscomm/090319fuji.pdf
で提示している考えである。長妻議員のこの案に私は大賛成である。


 この考えのとりわけ良いところは、官僚制度がこれまで(ほぼ)独占してきた所得再分配(及びそこから派生するあらゆる種類の無駄遣い)を、これによって官僚の手から(一部とはいえ)取り上げることができる、という点にある。つまり、政治献金をめぐる改革が官僚制度批判につながるというわけである。これは民主党が政権奪取の暁に行なおうとしている公務員制度改革にも極めて合致している話ではなかろうか。


 攻撃は最大の防御と言うではないか。民主党は、まず政治献金のあり方についてという問題を皮切りに、速やかに反転攻勢へと転じてほしいものである。