2度にわたってみっともない負け方をした羽生「名人」


 竜王戦第6局が終了。終わってみれば、第5局に続いて羽生名人の一方的な負け将棋だった。


 第6局のポイントはやはり封じ手近辺の指し手にあっただろうと思われる。というのも、2日目に入ってからの局面はほとんど一直線の将棋、すなわち変化の余地がほとんどない将棋のようだったからである。竜王戦のブログを見ると、敗者のコメントとして「2筋から逆襲される形になってまとめるのが大変だった」とあるが、しかしそう言うのなら、封じ手で3六歩とやるのはいかがなものだったろうか。


 私は、いっそのこと2七歩と謝るぐらいの手を指すべきではなかったかと思っている。もちろん、飛車先を切っておいて2七歩と自分から打つくらい愚かしいことはないのだが(そもそも2四へは角行ではなく飛車が行くべきだった)、悪いのならそうするほうがまだ息の長い将棋になっただろう。加えて、2七歩打ちは、持久戦に持ち込もうという意思表示でもあるわけで、そうなってくれば、後手陣には発展性がないが、先手陣はどんどん、本矢倉から穴熊へと発展の余地がある。単なる謝りだけではない意味があるように思うのである。もちろん実戦では、2七歩に対しては角の退路を断つ3五歩などが懸念されるが、これに対しては(さしあたり一歩損にはなるが)3六歩と直ちに突いておけば、角がタダでとられる心配はないだろうと思う。


 それにしても、第5局といい第6局といい、羽生は一方的な、みっともない負け方をしている。もともと、羽生が序中盤が必ずしもうまくないことはよく知られているが、しかしこれではねえ、と言わざるをえない。本当に名人なのか、とすら思えてくるが、そこまで言うのは失礼かもしれないので、断言はすまい。しかしいずれにせよ、この調子では、将棋界初の、7番勝負で3連勝の後4連敗という不名誉な記録の樹立も可能性大ありだと言わざるをえない。主催新聞社は第7局までもつれ込んで大喜びだろうが、この7番勝負は、今の棋界第一人者羽生の凋落の始まりとなるのかもしれない。そんな感懐(ないしは不満)すら思わせるような、今回はお粗末な内容の将棋だった。