MD計画は直ちに中止せよ


 まず朝日新聞の記事の引用から始める。

2度目のMD実験、迎撃には失敗 海自イージス艦
2008年11月20日16時26分


 防衛省は20日、弾道ミサイル防衛(BMD)の海上配備型迎撃ミサイルSM3を搭載した海上自衛隊イージス艦「ちょうかい」が、米ハワイ沖で発射試験を行ったと発表した。発射には成功したが、標的のミサイル迎撃には失敗した。海自のイージス艦による発射試験は昨年12月に続いて2度目。


 前回の試験では「こんごう」が迎撃に成功したが、今回は昨年と違い、標的の発射時刻などは事前にイージス艦に知らされていなかった。


 防衛省によると、米海軍はSM3の発射試験を過去に15回実施し、迎撃を3回失敗しているという。

 「発射には成功した」とは泣かせてくれる。発射に失敗してミサイルが爆発でもすれば、当の軍艦もろとも撃沈である。言うまでもなく、発射の成功などは一々成功と言うに値しない。こういう馬鹿げた発表をするとは、よほど「成功」という言葉を入れたかったからに相違ない。


 それはもちろん、肝心要の迎撃が見事に失敗したからである。


 今回迎撃実験が失敗したことは何を意味するか。要するに、今進められつつあるMD計画は役に立たないということである。


 迎撃の精度は百発百中でなければならない。当然であって、なぜなら、100発核弾頭が飛んできて1発だけ撃ち落としそこねたとして、その結果はどうなるか。結果は自明であって、だから、精度は百発百中でなければならないのである。


 1発のミサイルを作るのに、また発射実験をするのに、それぞれいくらかかるのか私は知らないが、いずれ膨大なカネの無駄であることは明らかである。しかも今回の結果は、このMD或いはBMDなるものがまだまだ役に立たないものであることを証明している。そして日本は今、ここ数十年でかつてなかった大不況へのとば口にさしかかっている。


 であるなら、無駄はこれを極力排除し、削った無駄カネを日本の国内経済の振興へと回すことが必要である。よって、MD計画を直ちに中止すべきことは、これ以上ないくらい明白・当然なことではあるまいか。