だからダメな自民党とその支持者――千葉1区の場合


 そもそも本ブログは議員の世襲に断然反対の立場であり、そのような事態を即座に否定的に断罪する見方をしているが、そうでない見方の人にとっても、今の自民党のていたらくが相当程度、自民党の政治家の中に世襲議員が増えたことに由来しているという判断は納得のいくものなのではなかろうか。


 より具体的に言えば、ほかでもない安倍と福田の首相職放り出しは、安倍も福田も世襲議員であるということと無縁でないように思われる。親が政治家をやっているから自分の家の家業は政治家だ、自分の身分は政治家という身分だなどと、およそ民主主義国家にふさわしくない封建的・身分制的な考えを安倍も福田も持っていたのではなかろうか。さもなければあのような驕った態度(特に安倍)や無責任極まる職務放棄など、できるものではない(そもそも、叩き上げの政治家ならもっとしぶとく職に居座っただろう――善悪は別にしてだが)。思い出すだに腹立たしい所業であり、重ねて安倍晋三福田康夫には政治家廃業を求めておきたい。


 しかし、自民党を虚弱ならしめたそのような世襲議員が今なお懲りずに輩出されるのはなぜか。やはり、後援会組織を維持するためには政治家の世襲が一番まとまりやすいという選挙区事情があるのだろうと思われる。しかし、この事情とやらは、より一層掘り下げて考えてみる必要がある。なぜなら、後援会組織をなぜ維持する必要があるかと言えば、それが何らかの利益をもたらすからであり、そして、利益をもたらすそのようなシステムができあがっているからこそ、後援会組織を壊したくない、ということになっているのではないか――こう思われるからである。これは要するにいわゆる利権構造そのものである。と考えてくると、世襲議員を輩出する選挙区こそ、世間から批判されてしかるべき政治風土の土地だと言ってよいのではなかろうか。


 このように考えてくると、朝日新聞の次の記事は見過ごしにできないものである。

自民・臼井元法相引退へ 後継は県議の長男か
2008年9月11日12時21分


 法相や防衛庁長官を歴任し、現在、自民党総裁選挙管理委員長を務めている同党高村派臼井日出男衆院議員(69)=千葉1区、当選8回=が今期限りで引退する見通しとなった。長男の千葉県議臼井正一氏(33)が後継として名前が挙がっている。


 衆参の議員を務めた父の元総理府総務長官臼井荘一氏の秘書などを務め、80年に衆議院議員に初当選した。

 この記事に出てくる長男が今度当選しようものなら、この地域は3代目の政治家を輩出することになる。どうしようもない、最低の選挙区の一つだと言わざるをえない。政治は家業であってはならない。


 議員の世襲は、断固、政治から駆逐されなければならない。改めて強くそう思う。