民主党長妻議員の活躍に期待する


 来たるべき総選挙の際に民主党はどのように自らをアピールするのが良いか。やはり、いくつか目玉が必要で、その1つはやはり厚生労働省関係、特に社会保険庁関係ではないだろうか。


 先日の新聞記事で「厚生年金の支給額の算定基礎となる標準報酬月額の改竄」の話が出ていた。やや古いものも含めてリンクを掲げておくことにする(記事はいずれも朝日新聞)。


年金記録改ざん「所長の指示」 社保事務所元課長が証言
厚生年金の改ざん調査 標準報酬が急減なら本人通知
職員主導の年金記録改ざん1件 社保庁、190件調査へ


 また、現在インターネット上で見られるこの番組も必見である。
愛川欽也パックイン・ジャーナル - 社会保険事務所元課長 年金改ざん実名証言


 社保庁の職員自身が(徴収率アップのために)改竄を働きかけたという事例は、現在までのところごく少数しか報告されていないが、実際にはもっとずっとたくさんあるだろう。これは極めて悪質であり、本来なら、標準報酬月額を低くしてその結果保険料を低額で済ませた企業自身と、改ざんを勧めた社保庁の当該職員の両方が(年金加入者に対して損害を与えたという理由で)罰せられるべきだが、今の政権ではそのような処罰は望むべくもない。


 民主党はこのケースをもっと国民に広く知らしめて、現政府・与党では全くだめだということを国民にわからせるべきだろう。


 そして、こうなってくるととりわけ活躍が期待されるのが、やはり長妻昭議員である。上記の社保事務所元課長の証言も、(私の誤解でなければ)「消えた年金」問題に関する民主党部門会議の席上で聞かれたのだろうが、もちろん長妻議員もこれに参加していて、年金の運用失敗(積立金が5兆円減少)などを問題にしている。


 さらに、議員のWebサイトには次のような注目すべき情報もある。
「【ムダな予算】平成21年度予算概算要求ヒアリング」
http://naga.tv/0809011mudayosan.htm
 これによると、長妻議員ら民主党の議員は、省庁が出してきた概算要求について説明を受けたようで、上記のページで長妻議員は様々な疑問点をメモという形で指摘している。読むと、官僚のでたらめさにあきれるばかりである。一部のみ引用しておくと、

ヒアリング時の気付いた点(メモ)>
(全体)
・廃止した事業について、これまで効果があったのか、検証する必要がある。
・各省庁で温暖化防止の教育に関する要求をしている。二重行政ではないか。
・すべての新規事業がどのように効果を上げるのか、厳しくチェックすべき。
・民間などに丸投げする委託事業はすべての事業をゼロベースで見直すべき。
・概算要求段階で、天下り団体に流れる資金の推計を、天下り団体ごとに提出すべき。


環境省
環境省自身が、日本の環境予算の対GDP比といった、基礎的なデータを把握していなかった。


国土交通省
・日本の公共事業関連費は、特別会計、一般会計、地方、高速道路も入れると合計いくらかが不明という。そのうちの維持費の金額についても明確でない。


厚生労働省
・国会で、介護報酬引き上げの法律ができたにもかかわらず、50億円(人材確保策)しか予算がついていない。法律が無視されている。介護報酬を月給2万円上げると対象者が90万人で、2160億円年間必要なはずである。


 確かに与党でも現在、NPOの協力を得て「事業仕分け」という名で予算の見直しが行なわれているが(これについては本ブログのこの過去記事を参照)、与党の場合は、やろうと思えばできたのにこういうことをこれまで全くやってこなかった点でまず責められなければならない。ともあれ、民主党が予算の無駄をチェックするこういう活動を進めていることは、もっと知らしめられるべきだろう。


 私は、民主党はなるべく早くに小沢次期政権の閣僚名簿を発表するべきだと考えているが、その際には、以上の問題に鑑みるなら、やはり菅代表代行を副首相兼厚労相とし、その下で長妻議員に副大臣ないし政務官(或いは社保庁長官?)に起用し、民主党政権厚労省及び社保庁を徹底的に改革する、とアピールするべきではないだろうか。これは非常に効くのではないかと期待される。