自民党の政治家よ、「事業仕分け」を今ごろやって喜ぶな


 NPO構想日本」が主体となって、文部省の政策について「事業仕分け」が昨日から行なわれている。昨日と今日の2日間で日程が終了するので、今日あたり、それに関する何かニュースが出てくるかもしれない。


 「事業仕分け」とは、私の理解が間違っていなければ、要するに1つ1つの事業についてその必要・不必要を判断し、かつ必要な場合に誰がそれを担うのが最善かを判断する、その判断を外部有識者(及び他の自治体、つまり同業他社、の関係者)を交えて行なうというものである。歳出の無駄の削減を実際に行なうためには、このような見極め作業が不可欠であることは言うまでもない。今回のこの試みはもちろん大いに歓迎すべきことであり、今後これが全省庁、及び全特殊法人などなどに広まることを期待したい。


 ただ、本来から言えば、そういう見極めをやること、これこそが予算審議の意味なのではあるまいか。今の日本の政治の仕組みでは、国民の代表が行なう予算審議に当てられる時間は、通常国会が始まる1月20日ごろから年度末までのわずか2ヶ月間にすぎない。これでは細目を一々詰めて必要・不必要を判断するには時間が足りないのではないかと思われるが、ともあれ、本来ならこういうことは予算審議の場においてこそ行なわれるべきである。そしてもちろん、政府・与党がやる気がありさえすれば、そんなことはとっくの昔に実現できたはずなのである。(さらに政府・与党は、予算審議より前の段階でも、同様な見極めを行なうことができたはずである。)


 今回の「事業仕分け」については自民党の政治家も一枚噛んでおり、その1人である河野太郎などは、構想日本の名前を一言も出さずに、自分の手柄式にブログで書いてはしゃいでいる。つくづく馬鹿な奴だと言わざるをえない。既に書いたように、自民党には、やる気がありさえすればこんなことはとっくの昔に実現可能だったのである。それを今になってやって手柄だと称するとは、馬鹿さ加減にもほどがある。


 しかも、河野太郎のブログの中で書かれているところによれば、「園田座長から、おい、全部の省庁をやれよ、というドスのきいた一声だけ」があったとのこと。園田とは政調会長代理の園田のはずだから、要するに自民党の幹部連中には、自分たち自身がそんなことをする気は全くない、ということがここで露呈しているのである。だから、自民党はダメなのである。


追記(8月6日)
 事業仕分けの結果を報じた朝日新聞の記事が目についたので、以下に引用しておくことにする。

10事業「不要」と判定 自民PT、文科省ヒアリング
2008年8月5日21時33分

 自民党の「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム(PT)」が4、5日、文部科学省に対してヒアリングを実施し、政策の必要性について判定する「政策棚卸し」をした。結果的に約160億円相当の10事業が「不要」、約1430億円相当の6事業が「今のままなら不要」と判定された。


 省庁の事業について、こうした形で仕分けされたのは初めて。とりまとめ役の河野太郎衆院議員は「引き続き、他の省庁についても実施したい」と話した。ただ、結果は政府の判断に直接結びつくわけではなく、「不要」と判定された中には自民党が積極的に推進してきた事業も多いため、今後の扱いが難しそうだ。


 棚卸しは民間シンクタンクの「構想日本」が協力。自治体職員や教育関係者も参加し、公開で実施された。


 その結果、文科省がこれまで進めてきた自然体験や道徳教育のためのモデル事業はいずれも「評価の物差しがない」「国が一律に行うのは適切でない」などの理由で、「不要」と判定された。また、全国学力調査は「全員を対象に毎年実施する必要がない」、奨学金貸与事業は回収が進まず、延滞額が増えていることなどから、「今のままなら不要」とされた。


 鈴木文科相は自身が取り組んできた体験活動の推進が「不要」とされたことについて5日の会見で「これから、政務調査会にだんだん上がってくる。まだまだ、議論の入り口だと思っている」と述べるにとどまった。一方、河野氏ヒアリング終了後に「事業の目的は非常にいいが、個別の事業を見ると、目的と関係ない場合も多い。そこは与党の一員としても反省しなければいけない」と語った。