冬柴国交相がするべきは給与返上ではなく大臣辞職


 まず、朝日新聞の記事を引用するところから始めることにする。

11カ月「ただ働き」に 冬柴国交相また給与自主返納へ
2008年6月17日13時18分


 国土交通省北海道局長らによる官製談合事件を受け、冬柴国交相は17日の閣議後会見で、監督責任を取り3カ月間、大臣給与を自主返納する考えを明らかにした。相次ぐ不祥事により、冬柴氏の返納期間は在任21カ月のうちすでに8カ月に及んでおり、これで計11カ月が「ただ働き」になる。


 冬柴氏は事件について「談合、特に官製談合など言語道断。ひとごとでなく職員一人ひとりが反省してもらいたい」と危機感をあらわにし「私の責めは非常に重いと自覚している」と述べた。逮捕された品川守局長を同日付で官房付とし、宿利正史官房長が併任する人事も明らかにした。


 これまでの自主返納は、タウンミーティング問題(06年12月から2カ月間)、水門談合(07年3月から3カ月間)、道路特定財源問題(今年5月から3カ月間)によるもの。冬柴氏は「(事案そのものは)自分の時のことじゃないのに……」と本音もこぼれた。

 この記事の記者がどういう意図からこの記事を書いたかは必ずしも明らかでない。しかし、(改めて)次のことを気づかせてくれた、その限りでは有用な記事だと考える。


 それは、冬柴がすべきことは、どのように考えてみても給与の返上などということではなく、大臣辞職だ、ということである。


 ここで言いたいのは、道路会計の10年間にわたる特定財源維持を決めた主務大臣が冬柴だから辞職するべきだ、ということだけではない。上の記事に鑑みるだけでも、冬柴がすべきは大臣辞職である、ということをここでは言いたいのである。考えてみれば、こういう場合、つまり自分の部下が不祥事を行なった場合のトップの責任の取り方は、どうあるべきだろうか。民間企業でも、社長など経営陣が辞任することはよくあることである。まして、事は国民全体にかかわる機関である行政府における不祥事である。そして、他でもなく大臣は、行政府を監督するために、立法府での決議によって派遣されているのである。そして、言うまでもないが、冬柴氏が給与返上を決めたということは、自分の監督がうまく行っていないことを自ら認めたということである。であれば、冬柴大臣は、立法府を通じて国民から託された使命を果たしていないのだから、なすべきは辞職、これのみである。


 彼の在任期間中に発生したことでないから辞職は不要かって? そんな言い草は民間企業でも通用しない。ならば行政府では、なおさら通用しないことは明々白々ではないか。


 その冬柴を、公明党に遠慮して切れないでいる福田首相も、当然ながら辞めていただかなければならない。これまた明白。