新銀行東京は清算あるのみ


 存続の是非が目下問われている新銀行東京については、少し前の記事で書いた時と同様、言いたいことは表題で尽きている。が、それだけでは芸がないので、当の問題に関して参考になると思われる情報・見方を紹介しておくことにする。


 1つは「月刊誌FACTA」の07年1月20日発売号に載ったという記事である。といっても、当の記事の存在を私が知ったのはごく最近で、同誌の編集長である阿部氏のブログでその記事が紹介されているのを目にしたからである。詳しくは、ありがたいことに現在無料で公開されている当該記事を参照するのが良いだろうが、ポイントを私なりに拾っておくと、

  • 新銀行東京の設立は石原の2期目出馬の際の目玉公約の1つだった。
  • その「ビジネスモデル」とやらは、「主に年商5億円以下の中小・零細企業を対象に、わずか3日間の審査のうえ、無担保無保証融資を行う」というものだった。(こんな貸し方できちんと貸金の回収ができたら奇跡である。)
  • この新銀行東京に対しては2006年12月に金融庁から、経営実態に関し説明を求める通知が送られている。
  • しかし、その通知を送った金融庁は、2007年春に改選期を迎えていた石原のことを慮ってか、行政指導にまで踏み込むことはしなかった。(その結果誰が知事に選ばれたか、そしてその選ばれた知事が問題に対してどのように対処したか、と言うよりむしろどのように対処しなかったかは、ここで改めて言うまでもない。)

 ともあれ、新銀行東京の問題に関心を持つ人には、同記事は一読の価値があると思われる。


 もう1つについては、残念ながらここで詳細に紹介することはできない。知る人ぞ知るメールマガジン「Japan Mail Media」で見た新銀行東京関連の記事「Q.902配信日:2008年03月17日 新銀行東京が巨額の損失を出し、都が救済することになったようです。この問題をどう考えればいいのでしょうか」という問いへの答えがそれなのだが、このページにその記事が掲載されるのは来月の第二水曜日だとのことであり、それ以前に私が勝手に内容を明かしたりすると訴えられかねない。そこで、予告編的な記述に止めざるをえないが、私が面白いと思ったのは「評論家・会社員」の水牛健太郎氏の回答である。すなわち氏によると、新銀行東京の経営に携わった都庁の人々は或る意味で実に見事にやったのではないか、というのである(その場合の「或る意味」とは、経営的な意味、ではもちろんない)。これは痛烈な皮肉を込めた答えなのだが、しかし単なる皮肉ではないというところにこの回答の面白味がある。ではどういう意味で「単なる皮肉でない」かということになるが、そこまでを今Web上で書くことは無理だろうから、これ以上は記さない。ともあれ、水牛氏の今後の活躍に期待したいということだけは、ここで書いておきたい。