政治認識の基本に属すること――政党支部の数


 何事を語るについても必要最小限の基本的知識というものはあるのであり、政治に関してもそれは例外ではない。次に紹介する東京新聞の記事も、その基本的知識に属する話だと言ってよい。

政党支部9103で最高 85%は自民
2008年2月21日 06時35分


 総務省は20日、2008年の政党交付金助成金)を受け取るために必要な届け出を行った6政党の1月1日現在の支部数を発表した。支部総数は9103(前年比83増)で過去最高を更新した。うち自民党が7726(同79増)と全体の約85%を占めた。


 政党支部は、禁止されている政治家個人の資金管理団体への企業・団体献金の受け皿になっていると指摘されている。


 その他の政党支部は、民主党が552(同7増)、公明党が440(同1減)、社民党が292(同11減)、国民新党が89(同12増)、新党日本が4(同3減)。共産党は届け出をしていない。(共同)

 私が政党支部の数について聞いたのは数年前、菅直人氏が何かの演説の中でこの問題に触れて「民主党は400を少し超えるくらいだが、自民党には7000もの政党支部がある」と言っていたのを聞いたのが最初である。


 ここに出てくる政党支部の数が多いか少ないかについて、一つの指標となるのは選挙区の数である。小選挙区が300あり、また参議院の地方区も各都道府県に分かれて存在している。それら選挙区ごとに1つの政党支部はあってよいと考えると、だいたい400ぐらいが適当な数ということになるのではなかろうか。公明党の数あたりがそれに当たると言えるかもしれない。民主党はやや多いが、これが民主党自民党化を示しているのだとすれば大いに問題である。このあたりは、今後注意して見ていくべき点かもしれない。


 しかし何といっても問題なのは、自民党のケースである。なぜ1選挙区に平均10を遥かに超える数の政党支部がなければならないか。言うまでもなく、政治献金をより多く受け取るためである。では、なぜにそこまでカネが必要なのか。これは、政治家でなく、かつ政治家と特別な関係を有していないふつうの市民には全く理解できないことだと言わざるをえない。「なんとか還元水」などとわけのわからない、説明になっていない言葉を残して自殺してしまった例の農水相のことが想起されるが、政治家とカネをめぐるこのあたりのことは、かくも説明のつかないことのようである。このような政党である自民党に、政治とカネの問題を何とかすることなどできるわけがない。政治とカネの問題にメスを入れられないということは、つまり自民党には、今の政治の仕組み(言うまでもなく、この政治の仕組みに、官製談合であれその他のあらゆる税金の無駄遣いであれ、そういった諸々のものがかかわっているのである)にメスを入れることなどできないということである。


 であるなら、そのような現状を改めるには、いったん自民党を野党に落として金銭的に干上がらせるしか方法はないではないか。これほど自明なことがなぜ一般の国民に浸透しないのかと、つくづく思わざるをえない。