スピードが速すぎる社会


 つなぎ法案の問題性について書いた記事が一番上に来る状況を数日間続けていたが、周知のとおり事態は急転し、法案撤回、審議のやり直しと相成った。もちろんそれ自体は、つなぎ法案の問題性を思うなら大変結構なことなのだが、とはいえしかし、物事の展開が実に速い、速すぎることを思わせられる。


 これに限らず、今の社会の中で起こっていることは何にせよスピードが速すぎる。その最たるものは、一般人にとっては、e-mailなどの発達によって文字情報のやりとりの速度が極めて速くなったことだろうが、もちろんそれに限らず、例えば金融市場関係での情報の伝達とそれが市場(株価・為替レートなど)に反映する速さなど、(私は知らないが)滅茶苦茶に速くなっているのではあるまいか。


 私自身性格的に言って極めてせっかちであり(例えばスーパーなどで買い物をした時、釣り銭を受け取るのと立ち去る一歩を踏み出すのがほぼ同時であったりする)、そういう自分のことを棚に上げて言うのもなんだが、しかしともあれ、世の中の物事が動く速度は、これは少し速すぎないだろうか。


 そして言うまでもなく、速さは無代価で達成されているわけではない。具体的な論拠を持ち合わせてはいないが、速さを追求するための無駄というものは相当にあるのではなかろうか。また、物事が速く動くことによるリスク(の増大)ということも当然ながらある。


 本来もっと具体例を挙げて話すべきだろうが(それはまた後日を期することにする)、思うに、今の社会に必要なのは、もっとスローダウンすることなのではあるまいか。実はそれこそが、環境問題を始めとする様々な問題に対処する最善の方法(というよりむしろ、最善の原則)なのではないかと思う。そしてもちろん、その手始めは金融市場においてこそ必要である。