第32期囲碁名人戦の素人予想−−ぶっちぎりで挑戦者の勝ちか


 言うまでもなく、本ブログの予想に何の権威もあろうはずもない。現在9月6日で、まだ第1局の1日目途中だが、これまでの打ち手を見た限りでは、明らかに挑戦者の踏み込みの方が優っている。手順はこちらで見ることができるが、右辺の石を捨てる代わりに黒47で上辺を取り込んだかと思いきや、白に48−50−52と打たれるままに簡単に生きを許してしまい、では大事な中央の模様が地になるのかと言えば、白が66から68と、簡単には叩き潰せない頭を出してきており(こちらは黒71まででいったん止まったかのごとくだが、今度は白72から模様消しが始まっている)、中央の模様が消されるであろうことはほぼ必定の情勢である。そうなれば、既に右辺と左辺で相当の確定地をつけている白が大優勢となることは明らかである。模様にこだわる余り、戦いを避けた(つまり、緩い手を連発した)ことが、名人・本因坊のこういう苦境を招いていると言ってよいのではあるまいか。


 昨期の名人戦はもっと切った張ったの応酬で、力強さがあったように思われる。もちろんまだ碁が終わったわけではないので、名人・本因坊の奮起を期待したいが、この調子で行くと、挑戦者がぶっちぎりで名人位を奪取することもありえない話ではないように思えてきた。今後の展開にさらに注目したい。


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。


追記
 「中央の模様が消されるであろうことはほぼ必定の情勢である」というのは少々言いすぎだったかもしれない。第1日終了時点での盤面を見ると、まだ白から荒らす余地はあるようだが、しかし中央の模様が全部消えるということにはならなそうである。とはいえしかし、トッププロの戦いで単に大模様を囲ってそれで勝ちというふうにはなかなか行かないだろう。名人・本因坊が白の地を今後どれだけ荒らせるかが勝敗を決めるのではなかろうか。


追記2(9月7日)
 挑戦者大優勢などと書いたところ、予想が見事に外れて、名人・本因坊が大模様を見事に囲って逃げ切り、勝利してしまった。こういうこともあるものかと思う。挑戦者は、昨期でも出た形勢の楽観視が裏目に出て敗れたようである。しかし、本来踏み込みの極めて鋭い碁風の挑戦者のこと、これで収まるような器ではあるまい。第2戦以降は血の出るような切り合いを期待したい。