安倍政権の内閣改造・党役員交替への「期待」


 言うまでもないが、「期待」とは、皮肉で言っているのである。例えば朝日新聞のこの記事毎日新聞のこの記事読売新聞のこの記事などでいくつか情報が漏れてきているが、それを基に「期待」を記しておくことにする。


 まず幹事長には麻生太郎が就任する見込みとのこと。ヤッター! 麻生太郎と言えば思い浮かぶのは「舌禍の人」という表現である。幹事長ポストとは、政府・与党の中でも記者会見、記者との接触の機会が最も多いポストだと思われるが、そのポストに、口を開けば問題発言という人間を据えるとは、安倍晋三もよくよく思慮がないというか、運がないというか。ともあれ、ご愁傷様と予め言っておくのが適切だろう。


 官房長官には町村信孝が就任する見込みとのこと。官房長官で重要な条件の一つは人相だと私は思う。テレビに映ることが最も多いポストだけに、どういう面構えをしているか、人当たりの良さそうなツラかどうかは、想像以上に重要なことなのではないかと思われるのである(表面的・皮相的な見方と批判を受けるかもしれないが、しかし人間の顔には、どう隠そうとしても、その人間の人生がにじみ出るものである)。その点から言って私の印象では、町村信孝には、いつも薄ら笑いを浮かべて人を馬鹿にしたところがある。政権浮揚につながる人事ではまずないだろうと思われる。


 読売新聞の記事によれば、舛添要一厚生労働相に入るかもしれないという。確かに舛添は今回の選挙では安倍晋三を盛んに批判していたので、そういう輩を取り込むことで内閣が変わったと人々に思わせることは不可能ではないかもしれない(といっても実際には、トップが変わらない以上、何も変わるはずもないのである、正直なところ)。問題は、舛添に果たして大臣が務まるかどうかという点である。見るからに横柄な人間である舛添が、指導力を発揮すると称していろいろなことを言えば、厚生労働行政は混乱に陥るだろう。しかも、先の選挙での争点から見て、この厚生労働相職は、実は今の安倍政権にとって最も重要な職になっていると言ってよいかもしれない。だとするとどうなるか。舛添の失敗が即政権の命取りになる可能性は決して少なくないのである。ともあれ、お手並み拝見といったところだろう。


 首相補佐官なるものは無用の長物であることがこれまでの11ヶ月の安倍政権のていたらくからよくわかった。しかしなお、安倍はこの制度を持ち続けたいようで、中山恭子女史を拉致問題担当として残し、他に民間人を起用したいとのこと。やりたければやれば良いだろうが、民間人を起用したならなおさら、起用された当の民間人はやることがないのに気づいて呆れてしまうだろう(自民党の人間なら、まだしも自分で動いて党とのパイプを利用して何かすることもできるかもしれないが)。首相補佐官制度は全く無意味であることが、今回の内閣改造によって証明されることとなろう。もちろん、拉致問題担当も含めて――拉致問題の解決のために安倍が何もできないことは、これまでの安倍政権の歩みがこれを証明しているのだから。


 今夜には認証式になる運びとのこと。何か付け加えるべきことがあれば追記で書いていくつもりだが、ともあれ、政権浮揚など期待すべくもない、その意味で、日本の政治が一日も早く迎えるべき政権交代のためには「期待」できる内閣改造・人事刷新だと言っておくことにする。


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。


追記
 町村信孝でなく与謝野馨官房長官になったらしい。人当たりからすればまだしもましだろうが、ただ与謝野氏は病気持ちではなかったか(少し前までは病気のため静養していたように記憶しているが)。官房長官のような激務が務まるのかどうか。


 ところで、ブログを書き続けることの効能の一つは、過去の出来事を忘れずにいるという点にあるだろう。その意味で言うと、
二階俊博総務会長については・・・「これこそが売国政治家・・・自民党の二階俊博衆議院議員
伊吹文明文部科学相については・・・「教育再生特別委員会での首相・文科相の不埒極まる発言


 こういうろくでもない連中が党の要職を占め、また内閣に居残ることを見ても、今回の内閣改造がいわゆる人心一新からは全く程遠いものであることは明らかだろう(言うまでもなく、人心一新はトップが交代して初めて可能になるのだが)。


 もう一つ注目していたのは農水相が誰になるかで、今日本は農業問題をめぐって厳しい国際交渉の中にあるだけに、ここには(自民党政権であろうがなかろうが)強力な政治家を配置するのが妥当だと思われたのだが(具体的には、農水相の経験のある中川昭一政調会長あたりが適役ではないかと考えていた)、このポストにはまたもや新任が配置された。安倍政権が農業問題にきちんと取り組む姿勢に乏しいことが窺われる。農村部であれだけ負けたのに、結局安倍は何もわかっていないようである。


 防衛相にはベテランの高村正彦が就任とのこと。この御仁は確か外相の時盛んに外遊を行なっていたので、多少は外国の要人とも面識があるのかもしれないが、防衛相の場合一番問題なのはアメリカとどうつき合うか、或いはむしろどう対峙するかである。この点は今後注視していかなければなるまい。