政治家失格の柳沢発言

 柳沢氏の「女性=子を産む機械」発言は、本来、柳沢氏の政治生命を絶つほどの失言だと言わざるをえない。いくら撤回しても、彼の頭の中にああいう考えがあることが露見してしまった以上、言い逃れはできない。大臣を辞めるのは当然、議員辞職まで考慮されてしかるべきである。柳沢氏は今の内閣の中では比較的有能な大臣だと思っていたが、もはや擁護の余地はない。


 首切りが一日遅れれば遅れただけ、日本は政治的後進国、国際社会の笑いもの状態を長引かせることになると思わなければならない。


 ついでに言えば、今回の問題は政治家だけが問われている問題ではないと言わなければならない。むしろ、日本の世論がこういうことを許容するかどうかが問われているのである。政治家だけでなく、日本の世論の見識もまた問われているのである。新聞各紙の社説では当然批判の声が並ぶべきであり、またそうでなければならない。


 とにかくこういう恥は一刻も早く拭わなければならない。「日本は欧米じゃない」などと言っている状況では全くないのである。柳沢氏が一刻も早く辞任して、国会が一日も早く正常化することを強く望む。


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。


追記(2月5日)
 ところがきわめて残念ながら――と書かねばならない――、新聞各紙の社説は、柳沢厚生労働大臣の辞任を求めるものばかりでは必ずしもなかった。それのみか、今朝の朝日新聞の1面見出しを見て私は我が目を疑った。愛知県知事選挙及び北九州市長選挙の結果が与党1勝1敗(愛知で与党勝利、北九州で敗退)となったのを受けて、朝日新聞は、与党に頼まれたのかどうか知らないが、「柳沢氏辞任ひとまず回避」という見出しを打ってのけたのである(当該記事のリンクはこちら)。ほとほと呆れ果てた。記事の中身は必ずしも「ひとまず回避」という調子ではないようだが、1面トップの見出しは社としての判断を表現したものと言ってよいだろう。購読紙を乗り換えることを真剣に検討するべきかもしれない。


追記2(2月6日)
 柳沢大臣がまたもや愚かな発言をした(例えばこの記事を参照)。江田五月参議院議員が言っているように、まさに「病膏肓に入る」である。間違いなく、柳沢氏はふだんよりも強度の緊張状態にいる中でこの2度目の失言をしたのだろう。こういう緊張状態の持続は極めてよろしくないから、人間的に見ても、氏は大臣を辞任することにして、しばらく休養をとってもらうのが良いのではあるまいか。


追記3(2月22日)
 依然として柳沢厚生労働大臣は辞任していない。全く日本の政治の低レベルぶりには呆れるほかないが、毎日新聞2月18日朝刊掲載の「発信箱:なぜ私たちは…」という記事によると、在京特派員の反応は次のようであったらしい。

 柳沢伯夫厚生労働相の「産む機械」発言を聞いた在京特派員が口をそろえた。「普通なら、政治家として終わりだ」。

当然そうだろうと思う。これが国際常識なのである。