安倍の妄言を野放しにするべからず

 日本人は平和ボケだとは、改憲論者などによってしばしば語られてきた言葉だが、最近の日本人はむしろ逆なのではないかと思われてならないことがままある。日本人はむしろ、戦争の危険に対してあまりに無頓着にすぎるのではないか。それは例えば、次の記事に対する、メディアを始めとする各界の反応がきわめて鈍いのを見て、思うことである。
「「自衛隊の海外活動ためらわない」首相、NATOで演説」
 間違ってはならないが、NATOとは軍事組織である。軍事組織の会合の席上で「日本人は自衛隊が海外で活動することをためらわない」と言うことは何を意味するのか。PKOはおろか、PKFにすら参加することを日本は辞さないと言っているようなものではないか(多国籍軍に加わって先制的な武力行使をするのは、その目と鼻の先だろう)。ちょっと待て、いつそんなことを日本がして良いことになったのか? そんなはずはない。日本の国のあり方を根本において規定している法である憲法は、国の交戦権を否定しているのだから。


 安倍はいったい自分を何様だと思っているのか。この世襲議員の思い上がりをこのまま放置していて良いわけはない。


 折しも、アメリカを中東での軍事行動の泥沼に引きずり込んだ張本人であるチェイニーが近く訪日を予定しているようである。
「米副大統領、早ければ来月訪日へ イラク政策など協議」


 このインターネット上の記事で奇妙なことに落ちているくだりに、次のようにある(朝日新聞1月13日夕刊1面)。すなわち、チェイニーの訪日がこのほど、早ければ来月にも行なわれるのは、「日本政府としては、イラク特別措置法を延長する改正案の国会提出を4月中にも見込んでいることも視野に置いていると見られる」とのこと。


 これもきわめて問題的な話である。なぜと言うに、米国こそイラクへの増派をこのほど決めたが、例えばイギリスはどうかと言えば、その政治情勢から見て、むしろ可能なら撤兵したいぐらいの状況にあるのではなかろうか。よりによってそういう時に日本が自衛隊派遣の延長を決めるとなると、単なる延長では済まなくなる可能性は決して皆無ではないだろう。


 チェイニーのような疫病神に日本に来てもらうべきではない。そして、自衛隊は安倍のおもちゃではない。こういう声をもっと大きく上げるべき、今は時ではないだろうか。


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。