改めて教育基本法改正問題について

 といっても、具体的にここで書くのは、ビデオニュース・ドットコム「マル激」の最新番組
教育基本法愛国心のふぞろいな関係>http://www.videonews.com/on-demand/291300/000942.php
についての感想である。やはり3時間を超える番組は見るべきでない、という印象が残ったのが率直なところである。


 教育基本法改正政府案の強行採決が懸念されていた当日(12月8日)に国会まで行って収録したという、神保氏のジャーナリスト魂自体は大いに買いたいと思う。しかし、そこから先が駄目である。


 民主党参議院議員鈴木寛氏というのは、今回の番組まで知らなかったが、なるほど教育について面白い考えを持っているようではある。しかし、今国会で問題になっている採決の問題に関して、それをどうやって阻止するかといった点について(私の記憶する限りでは)一言も言葉がなかったのはどういうわけか。また、自身の案が安倍によってパクられているとのこと、そうなるぐらいに魅力がある案なら、なぜそれを以て民主党の教育問題の議論で主導権を握らなかったのか、そして主導権を握って民主党の機関を使い、教育改革問題の本丸は地方分権との関連にこそあるとなぜ宣伝してこなかったのか。またそもそも、本来教育の地方分権のためにこそ導入された制度である教育委員会制度を長年来骨抜きにしてきた文部科学省のやり方について、鈴木氏はこれまでにどれほど国会の場で追求してきたのか。一言で言えば、どれほど本気で政治をやっているのだろうか。今は特に、多数の横暴を目の前にして少数野党には絶望的な抵抗の努力が求められているはずである。その努力について語らない政治家から真剣味を感じろと言われても、それは無理な話である。


 また、宮台氏が今回の改正問題について何ら興味を持っていないことは既に以前の番組での氏のコメントから既知だったが、これもまた話にならない。理念法が今回のようにねじ曲げられていくことに対して何ら関心を示さないようでは、次に来る憲法改正問題でも、氏の姿勢は同様なのではあるまいか。一方で「フック」などと言って扇動を語り、他方でこういう問題には無関心、である。氏の考えをすべて否定するつもりはないが、民主主義とはどういうものかという点で何か履き違えをしているのではないかと思わざるをえない。


 「マル激」の後半では、鈴木邦男とかいう右翼者に対する宮台氏のおべんちゃらがやたらと耳についた。印象ではそれしか残っていない。おべんちゃらを聞いたことで、言っている本人(宮台氏)とおべんちゃらが献じられる当人(鈴木氏)とに対して、率直に言って私は関心を全く失ってしまった。宮台氏は、鈴木氏のすばらしさを本当に知らせたければ、その点が本人の口から語られるようにこそ仕向けるべきだったろう。今回の放送は全く逆効果だった・・・とはいえ、私自身は鈴木氏に少しも興味はないので、別に良いのだが。


 最後に、今回のタイトル。最近再登場した石原何とかという女優(の亡霊)がその昔出ていたとかいう「不ぞろいの・・・」とかいう番組(よく知らないが)の話題にひっかけて「教育基本法愛国心のふぞろいな関係」として、時事ネタも盛り込みましたと言いたいのだろうが、失礼ながらアホかと思う。今回のテーマに対する不真面目さしか、これでは伝わってこないではないか。


 ビデオニュース・ドットコムにはもっとましな番組が作れると思うからこそ、あえて苦言に終始した次第である。


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。