自民党中川幹事長の不見識、その他

 自民党で不見識を誇る中川という人間は、政調会長職だけでなく幹事長職にもいるらしい。次の記事
「中川氏、郵政反対組に「踏み絵しっかり踏んでもらう」」
http://www.asahi.com/politics/update/1029/003.html
を目にして改めて思ったことだが、中川秀直曰く、


・(郵政民営化法案に反対して自民党を離党した衆院議員らの復党問題について)「郵政民営化の実現を支持することが絶対条件であり、二度と反党行為を行わない条件で、しっかり総括をしてもらわないといけない。その踏み絵はしっかり踏んでもらう」

・(郵政反対組について)「実はほとんどの人は総選挙後に郵政法案へ賛成票を投じている。それがあまり知れ渡っていない」


この言葉にはさまざまな不見識が含まれている。


 まず、郵政民営化法案に反対して自民党を離党した衆院議員は、復党するためには郵政民営化の実現を支持することが絶対条件だ、とのことだが、この発言はどのように考えてもおかしい。まず、郵政民営化法案に反対して自民党を離党し、かつ今日衆院議員である人々は、昨年の総選挙で「郵政民営化法案反対」を旗印にして選挙戦を戦い当選した人々である。彼らが郵政民営化の実現を支持することは、昨年の総選挙で彼らに投票した人々に対する裏切りであり、もしそのような裏切りをするなら、当然当の衆院議員自身の人間としての品格は地に堕ちると言わざるをえない。(もし中川の言うとおり、そういう衆院議員たちが「総選挙後に郵政法案へ賛成票を投じている」のなら、既に地に堕ちているということになろう。)そして、そういう人々に復党を働きかけている中川は、ほかでもなく、そういう衆院議員たちに有権者への裏切りを促しているのである。これを不見識と呼ばずして何と言おうか。


 さらに、「実はほとんどの人は総選挙後に郵政法案へ賛成票を投じている」という中川のセリフには、それら衆院議員たちの有権者への裏切りを何とも思わない感覚が満ち満ちていると言える。実に驕った発言である。


 そして最後に、「踏み絵はしっかり踏んでもらう」という発言だが、「踏み絵(或いは絵踏み)」ということが歴史上どのような事態を指すか知っているなら、このような乱暴な言い方は慎むべきではなかろうか。或いは、このような言い方をすることで、それら衆院議員たちに文字どおり「煮え湯を飲んでもらう」ということを言おうとしているのなら、傲慢ここに極まれりだと言わざるをえない。


 こういう不見識丸出しの輩が幹事長を務めている自民党という政党がどれほどの政党かが、よくわかる発言だと言えよう。


 最後に、外国特派員協会でのこの講演
http://www.videonews.com/press-club/0610/000912.php
(ビデオニュース・ドットコムのこの手の放送の視聴は以前は無料で可能だったが、残念なことに最近有料となったようである)の中で講演者は、中川秀直というこの政治家に対して或る右翼が「中川さんは女性に対して日本一(或いは「世界一」?)優しい政治家です」というほめ殺しをやっていると言っていた。ほめ殺しを賛美するつもりは毛頭ないが、これに対して中川がどう対処するかは、果たして見ものではある。