世論調査の見方と、民主党のやる気の見極め方


 民主党が300議席を超える勢いだとの調査結果を新聞各社が報じている(例えばこちらこちら)。


 ということは、民主党は前回総選挙の自民党並みに勝ちそうだということになるわけだが、私の記憶違いでなければ確か民主党は前回の総選挙で、それ以前の総選挙の時よりも得票を伸ばしており(少なくとも比例区では)、そして前回の総選挙では投票率が数%伸びたが、投票率のその伸び分が自民党に回ったので民主党は敗北した、ということだったはずである。とするならば、仮に新聞社の調査どおりになったとしても、実際の得票数では民主党自民党との間に天と地ほどの差があるわけでは決してない、というふうに考えるのが妥当だろう。もちろん、選挙は投票箱の蓋を開けるまでは何がどうなるかわからない代物だから、優勢が伝えられる民主党側とておごり高ぶるなどということはみじんもないだろうと思うが、仮に勝利したとしても、なお決しておごるべきでないことを、現在の調査の結果は示しているように思われる。


 民主党支持者の中には、今の調査の報道を聞いて浮かれる向きもあるかもしれないが、今の世論の動向はそのような浮かれ気分を正当化するものでは決してないのである。このことを、民主党及び民主党支持者は肝に銘じる必要があろう。



 ところで、民主党が政権を取った場合の国民の反応は「不安」だというのが、現在の報道の紋切り型である。これはとりわけ、民主党は官僚政治の打破を言うが本当に官僚をコントロールできるのかどうか、という点にかかわっているように思われる。


 しかし、言うまでもなくこういうことはやりよう次第なのであって、やり方如何では問題なくできるはずである。私ごときが偉そうに言うほどのことではなく、民主党でも当然考えられているだろうが、ここであえて一つのやり方を書いておきたい。


 すなわち、民主党が政権を取った時には、各分野で積極的に推進する政策とそうでないものとを明確に区別して、推進する政策には優先的にこれだけの予算をつけ、そしてそうでないものについては、従来どおりにやるものとそうでないものとに分け、そうでないものは当然廃止、或いはその方向で縮小することとし、これに対して従来どおりやるものについては例えばこれまでの予算の5%減ないしは10%減でやるということにし、どうやって予算を減らすかについては官僚に考えさせるのである。


 書いてみて、我ながら少しも大した話でないと思うが、要するに言いたいのは、以前から営々として行なわれてきており今後も一応必要性が認められるものについて、予算の削減努力を官僚の側に課する、ということであり、これに対して官僚の事務方のトップができないと言ってきた場合には、官僚の中でできるやつがいるかどうか見て、できると言ったやつにやらせて、できないと言ったやつを更迭すればよいまでの話である。官僚を操縦するとは、要するにこういうことなのではないだろうか。


 そして当然、こういうこと(無能な官僚の更迭、降格)ができるようにするよう、民主党は政権奪取の暁には、関連する法律(給与法などでしょうか)を直ちに改正する必要が出てくるだろう。したがって、官僚をコントロールできるかどうかに関する国民の不安を民主党が払拭できるかどうかは、民主党がそのあたりの法改正に直ちに着手しこれを実現していくかどうか、というあたりから見極めることができるのではないだろうか。


 政権直後の行動において民主党の本気度が試されていると思うのは、私一人ではあるまい。