なぜ民主党は都知事候補を擁立できないのか

 民主党による都知事選の候補選びに関して、東京新聞の記事によると、「4月の東京都知事選に向けた民主党の候補者擁立作業で、司令塔である小沢一郎代表、菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長の傍観者的な姿勢が目立っている」とのこと。


 同じ記事の中には、今回の都知事選について

民主党にとって、全国の注目が集まる都知事選は「勝てば七月の参院選まで一気に勝てる」(都選出議員)重要な選挙。

というコメントもあり、そのことは、何も民主党の政治家が言わなくとも自明である。ところが、今に至るまで民主党は候補の擁立ができていない。なぜなのか。


 これに関して、新聞によっては、民主党都知事候補として菅氏の名が取り沙汰されている。例えば「選挙:東京都知事選 民主・鳩山氏「菅氏待望論が党内に強い」」という記事や「東京知事選:浅野氏が出馬否定 菅氏待望論加速か」という記事がある。


 しかし、菅氏の名を取り沙汰するこの話には裏があるらしい。すなわち、有田芳生氏の「すでに末期症状の安倍政権」という記事によると、

 本人が何度も可能性がないと語っているのに、いまだ菅直人さんの名前がマスコミで報じられるのは、実は意味がある。世論の期待が高まっているからではない。
 民主党内で菅さんの力を削ぎたいと思っている勢力が意図的に都知事候補として情報を流しているのだ。立候補すれば衆議院議員を辞めなくてはならない。都知事選で敗北すれば、さらに党内での発言力は低下する。そんなくだらない思惑で繰り返し名前をリークしている。菅さんにとっては迷惑至極な話だ。

ということらしい。


 この話が事実だとすれば、民主党はとことん情けない政党だと言わざるをえない。東京新聞の記事と合わせて読むと、「民主党内で菅さんの力を削ぎたいと思っている勢力」の中心人物は鳩山幹事長かとも思えてくるが、それはともかく、菅直人がいなくなれば民主党はもはや第二自民党化が確定的である。それはつまり民主党の存在意義の消滅にほかならない。


 これだけではまだ情報が十分でないと思われたので、このページから見ることのできる鳩山幹事長の記者会見を視聴しても見たが、鳩山氏は「都知事候補の擁立は都連の仕事だ」と繰り返していた。今のこの時期に、本当にその程度の認識で良いのだろうか。鳩山由紀夫という人の政治家としての基本的資質を大いに疑いたくなる。


 民主党のだらしなさは目を覆うばかりだと言わざるをえない。


追記
 これを書いた直後に、「小沢代表:都知事選へ菅氏以外の候補擁立に努力」という記事を目にした。遅きに失したという感じだが、しかし小沢代表がはっきり言って、菅氏の出馬を否定したのは良いことである。都連に任せるなどという寝ぼけたことを言わずに、執行部が自ら出動して、都知事選の候補決定に尽力するべきではないだろうか。石原都知事はもう十分だという都民は少なくないのだから。