浅野史郎氏の都知事選出馬を期待・歓迎し、そして

 浅野史郎氏が東京都知事選に出馬する可能性が高まってきたようである。本ブログの昨日の記事でも書いたように、浅野氏の出馬は願ってもないことであり、これに大いに期待し、出馬が確定となればこれを歓迎したい。


 以下、論評は一切省略するが、メディアの関連記事は以下のとおり。
毎日新聞
2月27日朝刊「選挙:東京都知事選 浅野氏の去就見極め 民主、党内人選が迷走」。
3月1日の朝刊に出るのであろう記事「都知事選:浅野前宮城県知事が「前向き」意向表明
3月1日の朝刊に出るのであろう記事「都知事選:出馬前向な浅野氏巡り民主党は分裂状態
東京新聞
2月28日朝刊に載ったのであろう記事「都知事選 浅野氏、出馬へ調整
(2007年02月28日 20時50分)(共同)となっている記事「浅野氏が出馬に意欲 都知事選、来週にも決断
朝日新聞
浅野氏、都知事選出馬へ 「市民の思い真剣に受け止め」
<読売新聞>
浅野氏が都知事選出馬に意欲、来週にも最終決断


 TBSの記事は最も詳細なので、以下に引用しておくことにする。

<浅野氏、都知事選出馬の意向固める>


 東京都知事選挙への出馬がとりざたされていた浅野史郎・前宮城県知事が出馬の意向を固めました。これを受けて、候補者選びが難航していた民主党では浅野氏を支援する方向で調整を始めています。


 28日午後1時半、浅野氏は記者の前に軽やかに登場しました。
 「都知事選への出馬について、真剣に考えさせてもらいたいと思うように、少しフリーズが解けてきている状態です」と出馬に前向きな姿勢を示した浅野氏。27日はこう言っていました。
 「数日前の状況からフリーズしちゃっています。(Q.フリーズはいつごろ解ける?)春分の日というのは3月21日ですか。その頃には氷は解けるのですかね」(浅野史郎宮城県知事・27日)
 「氷」は予定より早く解けたようです。
 「(Q.フリーズが解けた一番のきっかけは?)多くの方々の声がだんだん聞こえてきた。ドアをドンドン叩く音が聞こえてなかったんだけど、かなり心のドアに響いてきたということです」(浅野史郎宮城県知事・28日)


 心のドアに響くまでいろいろありました。始まりは民主党からの出馬への打診でした。市民グループのエールも加わりましたが、今月中旬、民主党からの出馬要請を断りました。しかし25日、市民グループの出馬を求める会に出席。
 「きょうは言葉もありません。びっくりして、もちろん感激して」(浅野史郎宮城県知事・25日)
 「心と体がついていかないという感じですかね。言語を失ってしまった、歌を忘れたカナリアみたいな」(浅野史郎宮城県知事・27日)


 そして28日、「カナリア」は歌を思い出したのか上機嫌でした。
 「いつまでも『フリーズ』とはいかない。今度は『プリーズ』かな」(浅野史郎宮城県知事・28日)
 浅野氏周辺は、すでに本人が出馬する意向を固めて準備に入っていると語っていて、このことは民主党幹部にも伝えられている模様です。
 「(Q.民主党のパーティーに出席しますか?)しません。呼ばれてもいません。(Q.呼ばれたら?)出ません」(浅野史郎宮城県知事・28日)


 浅野氏が参加しないと明言したそのパーティーが28日夜、東京都庁のそばのホテルで開かれました。
 「都知事選に勝たなくてどうすると、そう思ってお集まりいただいたんだと思います」(民主党 円 より子 議員)
 民主党都知事選に向けた候補者擁立の最終期限と位置づけたパーティーです。しかし・・・。
 「(候補者は)最終局面の調整をしている。必ず対立候補を立たせていただきます。今しばらく、その名前を控えさせていただくことをお許しください」(民主党 円 より子 議員)


 「東京決戦」と題して開かれたパーティーだったにもかかわらず、民主党は候補者の名前を公表できませんでした。ただ、このパーティーの日にあわせて浅野氏が出馬の意向を固めたことに、「気を遣ってくれたのではないか」と話す民主党幹部もいます。
 「うれしい話ですが、もう一歩踏み込んで『出る』と言ってくれればもっと嬉しかったんですけど。ほとんど『出る』という表明に近いといいますか、もう、そのものだというふうに受け止めたいです」(民主党 小川敏夫 都連幹事長)


 浅野氏としては政党色を排除したいものの、カネや人といった政党の応援は必要。こうした現状から浅野氏が民主党に配慮して発言したのが実情とみられています。しかし、都議会議員の中からは、民主党の推薦を望まない浅野氏への不満もあり、党が一丸となって浅野氏を応援できるかは不透明です。
 「浅野さんが『推薦』となれば、それでいいが、そうでなければ当初のとおり、党内からきちっと候補者を立てて、旗を立てて戦うのが原点」(東京都議)
 「決定はしていないでしょ、まだ何も。これから我々が思うところは(党本部に)伝えていきたい」(東京都議)
 「民主党の方で独自の候補を探しているということですから、その方が出られれば、私の出る幕はもちろんないだろうと思います」(浅野史郎宮城県知事・28日)


 これまでに現職の石原慎太郎氏のほか、共産党が推薦する吉田万三氏、建築家の黒川紀章氏が名乗りを上げている東京都知事選挙。告示は3月22日です。(28日22:55)

浅野氏自身がやる気になるのであれば、これを歓迎しない手はない。



 但し、今のままではまだまだ、世論の盛り上がりは十分でないように見受けられる。今の日本の政治状況では、(善悪は別にして)地方の首長選挙では無党派で戦わないと勝てないだろうから(この点についての本ブログの立場については昨日の記事を参照)、つまり市民が、或いはこの場合で言えば都民が、自ら支援の声を上げる必要がある。


 例えば、東京では来週の金曜日に、浅野氏を都知事選に出馬させようという会合が行なわれるようで(詳しくはこのページを参照)、それに参加するのも一つの手だろう。


 ほしいままに「三国人」「ババア」など暴言を繰り返す石原都知事(しかも、彼は作家であり言葉の重みを重々知っている人間だから、あのような発言はすべて確信犯的な発言なのである)、その石原氏は「新銀行東京」をつくって赤字を垂れ流し、さらに日の丸・君が代のことで他の地方に見られない極端な締め付けを教育現場に対して行ない、身内の人間に甘い汁を吸わせて何ら恥じるところなく、都庁には週に2・3日しか出勤せず(給料泥棒)、しかも出張で豪華施設に宿泊することを全く気にやみもしない。どうしてこのような輩に都知事を続けさせて良いだろうか(良いわけがない)。しかもそれだけでなく、東京都は情報公開度が全国最低水準にあるとのこと。また築地市場が、埋立地であり汚染が心配される豊洲へと移転されようとしているとのこと(例の東京オリンピック計画との関連らしい)。今の都政の問題は、挙げればきりがない。石原3選は断じてあってはならない。


 一方の浅野氏だが、何もミーハー的に浅野氏が良いと言っているわけではもちろんない。氏には「浅野史郎・夢らいん」という自らのWebサイトがあり、そこにいくつか講演記録も出ているが、例えばこの講演記録を読むと、氏が地方政治とその問題をどのように見ているかがわかり、きちんとした見識の持ち主であることがよくわかる。また言うまでもなく、氏が宮城県知事だった頃、宮城県は情報公開度で全国トップクラス、いや確かトップそのものだったはずである。そのようなことを実現する手腕の持ち主が今どれほど東京都政に必要かは、論を俟たない。


 浅野氏が出馬する以上、出馬の可能性はないだろうしその必要もないだろうが、もう一人、近年の地方政治において手腕を発揮した人物をあえて挙げるなら、挙げるべきは前長野県知事田中康夫氏だろう。氏の何よりの功績は、借金漬けの地方自治体が多い中にあって、在任期間中に長野県の借金を減らしたことにある。このあたりの氏の工夫については、氏が代表をしている「新党日本」の「Webラジオ」を聞くとよくわかる。


 ともあれ、最も大事なのは打倒石原である。


 それにつけても、議員の世襲は政治から駆逐されなければならない。石原家の場合もまた、その例外ではない。


追記
 民主党衆議院議員で近く北海道知事選に立候補する予定の荒井聡氏のWebサイトに次のような記事がある。

2007/02/25 福祉フォーラムに浅野さんが来てくれました
北海道庁で共に仕事をした仲、そして宮城知事選挙に出馬の背中を押した仲でもあります。
13年前、浅野さんが私を訪ねて、
「荒井、俺宮城県知事選挙に出ようか迷ってるんだ」
「やめとけ、お前黙っても局長になるじゃないか。そんな冒険するな」
「そうかな」
「ところでお母さん何といってる」(母親は息子に冒険させないものです)
「それが、母がやれというんだ」
「(あんぐり、しばし沈黙、)それならやれよ」
ふたりで町の中を旗もって走り回る選挙戦でした。
「ところで友情はありがたい。さらに言えば東京知事選に出馬しろよ」
返事は内緒です。

ここで、荒井氏の健闘にも期待する旨記しておきたい。